パパ活?
おそくなりました。なかなか気持ちが向かなかったのです。
あれから子供が離れずに俺の毛皮を持っているから、
仕方ないと、背中に乗せて街まで走った。
「がぅぅ(背中から落ちないようにな)。」
『うん。パパ。』
何故か会話が出来るが便利だし、そんなもんだと思おう。
「止まれ!…お前…スノーか?背中の子供はどうした?」
…そうだよな。門番に止められるよな。
「がぅ(拾ったんだ)。」
「いや、何か言ってる気がするけど、分かんねぇよ。」
そりゃそうだよな。
『パパぁ…』
ギュゥ。
背中にいた子供が俺の毛をより強くにぎってくる。
「パパぁ?スノーがパパ?」
門番の視線が背中の子供と俺を行ったり来たりしている。
「…まぁ、なついてるのは分かるが…。ギルドに行くのか?」
コクン。俺は頷く。
「なら、そこで相談してくれ。俺には分からん。」
おいおい、匙を投げるの早すぎないか。
「よし、次のヤツ。許可証を持ってるか?」
…まぁいいや。
子供を背負ったまま、街の中にへと入っていく。
「スノーちゃん…スノーちゃん?背中に乗せてるのは何?」
「おっ!スノー元気か?…背中に何乗せてんだ?」
街の住人が寄ってくる。
ギュゥ。
「子供?スノーお前、何で子供乗せてんだ?」
街の住人が子供を触る。
ギュゥ。
痛い痛い。
「がぅぅ(みんな、離れてくれ)。」
俺は止まらずにギルドへと向かう。
「お、おいスノー…」
「行っちまった…。」
ふぅ~
やっとこさギルドへと着いた。
背中の子供も人混みから離れたせいか、キョロキョロ辺りを見回していたが、
ギルドに近づくと、また背中の毛を強くにぎってきた。
「がぅ(大丈夫だぞ)。」
『ほんと?』
「がうぅぅぅ(俺が普段から暮らしている場所だからな)。」
ギルドの入り口から入っていく。
「おい!スノーが子供を連れて帰ってきたぞ!」
「何だと!?」
「犬が子供を産んだのかぁ?ハハハ…」
おい、酔っ払い。後で覚えておけよ!
いつものカウンターへと歩いて行く。周りの冒険者がガン見してくる。
ギュゥ。グェ。
子供が毛をにぎってくる。冒険者がガン見してくれるおかげで
子供が首を絞めてきた。苦しいわ。
俺専用のカウンターで受付嬢が待っている。
「こんにちは、スノー。子育てについては他の受付嬢に聞かないと分からないわ。」
「がぅ(そんなんじゃねぇよ)。」
「まぁ、そうよね。何で子供を確保することになったの?」
「がぅぅぅ。がぅ、ぐるぅ、がぅぅぅぅ。がぅがぅ(それはな…かくかくしかじかなんだ)。」
「何それ…魔物の捕獲…最近はそんな依頼ないよ。」
「がぅ(やっぱりな…)。」
「とりあえず、調査員を派遣するわ。スノーにはこれをお願いするわ。」
「がぅ?(なんだ?)」
「子供の服よ。そのままの恰好で子供を放置するのはかわいそうじゃない?」
「がぅ~(そう…だな、忘れてたわ)。」
「がぅがぅ?(おい、服を着れるか?)」
フルフル。
首を横に振って背中から降りようとしない。
「がぅ(ダメだわ。)。」
「でも、スノーが世話するしかないよね?」
「がぅ…(えぇ…)。」
『パパァ…』
「パパ?スノーあなた、パパなの?」
「がぅぅ?(俺が人を産めるとでも?)」
『パパ。捨てないで。』
「でも、パパって言われてるよ。」
「がぅ(パパじゃねぇ)。」
『パパはパパァ。』
ギュゥゥゥゥゥゥ。
グェェ。
苦しいだろ!
「そんなになついてるんだから面倒みてあげなよ。」
「がぅ…(えぇ…)」
ギュウゥゥゥゥゥ。
「がぅぅ。がぅぅ(分かった、分かった。面倒見るから、そのかわり文句言うなよ。)。」
『パパ!パパ!大好き』
「がぅがぅ(はいはい。)。」
「じゃあスノー、またね(…スノー、貴方もそんな顔するのね…)。」
「がぅ(おう。)。」
俺は子供と背中に服を口に加えてギルドを出ていく。
う~ん、とりあえずいつもの所にいって考えるか。
時間はあるしな。おいおい考えよう。
子供を育てる狼…上手く育てられるのでしょうか…