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彼女は勘違いの度が過ぎる  作者: 平菊鈴士
5/6

昼休みの時間です。

「うわぁ〜。」

「綺麗なお弁当ですね〜。」

 今は昼休みです。この時間に生徒は、お昼ご飯を食べるのです。

 この学校には食堂も、購買もあり、お弁当を持って来る人もいるのです。

「そんなことありませんよ〜。」

 そう言いながら私は、お弁当を隠しました。


 私は本当は、皆さんのお弁当が羨ましいのです。

 食材の彩りやバランスが整えられた綺麗なお弁当より、自分が好きな料理の入ったお弁当が欲しいのです。今まで一度も、そんなお弁当を食べた事が無いのですもの。


 ふと横を見ると、二階堂君も一人でお弁当を食べていました。

 (あ………。二階堂君のお弁当、サンドウィッチなんですね………。なんだか、羨ましいなぁ………。)


 そんな事を考えていましたら、


「………これ、食うか?」


 二階堂君が手にしていたサンドウィッチを渡して来ました。

「ま、まだ食って無いやつだし、………い、いらんならいいけど。」

 (え!良いのですか!?)

 すると、

「ちょっと二階堂君。朝川さん困ってるじゃないの。」

 一緒にお弁当を食べていたクラスメイトの女子が、二階堂君に注意しました。

「あっ、すまん。………邪魔したな。」

「えっ、あっ………。」

 二階堂君がそのまま、自分の席に戻ってしまいました………。


  □ □ □


 (そりゃそうだよな………、お嬢様育ちの朝川さんは、こんなもの欲しがってた訳じゃないよな………。)

 俺は、朝川さんがサンドウィッチをチラチラと見ていたのに、気付いていた。

 俺のサンドウィッチには、「金平ごぼう」を挟んでいた。「和」と「洋」の究極サンドウィッチ。最も気に入っているサンドウィッチが、単に物珍しかっただけなのだろう。

 (はぁ、………話掛けるんじゃなかった。)

 俺が肩を落とした時、


「あ、あの!」


 あの朝川さんが、俺の横に来た。

「な、何?」

「そ………その、………サ、サンドウィッチを、………く、く、く………、」

 俺は察した。

 (そうか、周りが無理に俺を押し除けた様になったから、朝川さんがフォローしようとしてくれてるんだな………。俺の顔を立てる為に。)

 スッと、弁当箱の中に残っている最後の切り札サンドウィッチを、朝川さんに差し出した。

「ど………どうぞ。」

「あっ、あああ、ありがとうございます!!!」

 俺のサンドウィッチを、両手で大事そうに持っている。その顔は、

 (なっ!?反則だろそれはっ!?)

 頬を軽く赤らめて、満面の笑みを浮かべていた。


  □ □ □


 (やりました!二階堂君のサンドウィッチ、GETです!)

 私は、物凄く嬉しかったです。初めての皆さんと同じお弁当を、何より二階堂君のサンドウィッチを、食べる事が出来るのだから!

 我慢ならず私は、その場でサンドウィッチに(かぶ)り付きました。


 ーーー絶品です!


 サンドウィッチに金平ごぼうと言う、異色の組み合わせ。それが意外な程マッチしているのです!一緒に挟んである鶏の照り焼きも、肉肉しくって美味しいのです!

 悶えるのを何とか我慢してると、いきなりバタンと二階堂君が机に突っ伏してしまいました。

「ちょっ、二階堂!?」

 慌てるクラスメイトの男子達。

「だ、大丈夫………。」

「ホントかよ?」

「ああ、………あまりの可愛さに桃源郷見えただけだから。」

「うん、ダメだこりゃ。保健室行くぞ〜。」

 二階堂君は男子達に肩を担がれながら、ズルズルと教室を出て行きました。


 (?)


 二階堂君の呟きがよく分かりませんでした。私はそのまま、モグモグとサンドウィッチを食べました。

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