初めての授業です。
「では、早速数学の授業を始めます。」
新任だと言う、高塚先生の授業が始まりました。初めての普通の授業。
とっても楽しみです!
ちなみに私は、数学はそれなりに解けます。一番得意な教科は化学ですから、私は理数系ですね。
ふと隣の二階堂君を見ると、何故か頭を抱えています。
(もしかして、数学苦手なのかな?)
なら、私が教えてあげよう!そして距離が縮まるかも………。
□ □ □
(最悪だ………。)
俺は、最初の授業から頭を抱えた。俺はとにかく数字が嫌い。数学なんて、絶対解ける訳無い。大体、あんな訳の分からない数字の羅列見せられて、解ける訳無ぇだろうがよ………。
中学生の頃から、どうしても数学が好きになれなかった。
何とか赤点を回避していると言うレベルだった。
(こんな問題、大学レベルじゃなきゃ解けねぇだろうがよ。)
早々の苦手科目に、頭がズキズキと痛み始めた。
□ □ □
「あの………。」
数学の授業が終わった直後、私は思い切って、二階堂君に話し掛けました。
「えっ!?お、俺か!?」
「あ、はい。二階堂君ですよ。」
そう言いながら私は、小脇に抱えていた数学の教科書を出した。
「えっと、二階堂君って数学苦手なんですか?」
心臓の鼓動がうるさい。彼にも聞こえてないよね?
「え、あ、う………。」
二階堂君は、奇妙な声を上げて顔を真っ赤にした。そして、
「す、すいません!!」
「あ、ちょっと!」
音を上げながら椅子から立ち上がり、そのまま教室を走って出ていってしまったのです。
私は、二階堂君を引き留めようとした手を、そろそろと下ろした。
「………全く、二階堂君ちょっと失礼じゃない?」
「ホントホント。」
「えっと、朝川さん。気にしないでくださいね?」
周りに集まってきたクラスメイトさん達は、何故か必死に宥めてくれた。………らしいのです。
ごめんなさい皆さん。またしても私は、二階堂君の事で頭が一杯になっていました。
(真っ赤な二階堂君。………可愛い。)
□ □ □
(お、俺の馬鹿野郎!!折角朝川さんから話し掛けてくれたってのに!!)
赤く熱い頬を、思い切りぶちたい衝動に駆られながら、俺は廊下に出た。
あの、朝川さんから話し掛けた。
あの高嶺の花、朝川さんからだ。
(………何やってんだよ俺。)
有り得ないと思いつつも、話し掛けてほしいと思っていたのに俺は、突然の事に驚いて逃げ出してしまった。
(馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!)
自分の意気地の無さに、腹が立った。
「………畜生。」
(もう一度、話し掛けてくれるかな………?)
(………いや、今度は俺から話してみよう。)
そう、心の中で決意した時、授業開始のチャイムが響いた。
「あ、………やべ。」
この日の二時間目・地理の授業に俺は遅刻し、担当の先生から大目玉を食らってしまった………。
その所為で、休み時間の決意が下校時刻まで霧散してしまい、人気の無い家路で俺は、大声で自分を詰った。