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彼女は勘違いの度が過ぎる  作者: 平菊鈴士
3/6

初めての授業です。


「では、早速数学の授業を始めます。」

 新任だと言う、高塚(たかつか)先生の授業が始まりました。初めての普通の授業。

 とっても楽しみです!

 ちなみに私は、数学はそれなりに解けます。一番得意な教科は化学ですから、私は理数系ですね。

 ふと隣の二階堂君を見ると、何故か頭を抱えています。

 (もしかして、数学苦手なのかな?)

 なら、私が教えてあげよう!そして距離が縮まるかも………。


  □ □ □


 (最悪だ………。)

 俺は、最初の授業から頭を抱えた。俺はとにかく数字が嫌い。数学なんて、絶対解ける訳無い。大体、あんな訳の分からない数字の羅列見せられて、解ける訳無ぇだろうがよ………。

 中学生の頃から、どうしても数学が好きになれなかった。

 何とか赤点を回避していると言うレベルだった。

 (こんな問題、大学レベルじゃなきゃ解けねぇだろうがよ。)

 早々の苦手科目に、頭がズキズキと痛み始めた。


  □ □ □


「あの………。」

 数学の授業が終わった直後、私は思い切って、二階堂君に話し掛けました。

「えっ!?お、俺か!?」

「あ、はい。二階堂君ですよ。」

 そう言いながら私は、小脇に抱えていた数学の教科書を出した。

「えっと、二階堂君って数学苦手なんですか?」

 心臓の鼓動がうるさい。彼にも聞こえてないよね?

「え、あ、う………。」

 二階堂君は、奇妙な声を上げて顔を真っ赤にした。そして、

「す、すいません!!」

「あ、ちょっと!」

 音を上げながら椅子から立ち上がり、そのまま教室を走って出ていってしまったのです。

 私は、二階堂君を引き留めようとした手を、そろそろと下ろした。

「………全く、二階堂君(アイツ)ちょっと失礼じゃない?」

「ホントホント。」

「えっと、朝川さん。気にしないでくださいね?」

 周りに集まってきたクラスメイトさん達は、何故か必死に宥めてくれた。………らしいのです。

 ごめんなさい皆さん。またしても私は、二階堂君の事で頭が一杯になっていました。


 (真っ赤な二階堂君。………可愛い。)


  □ □ □


 (お、俺の馬鹿野郎!!折角朝川さんから話し掛けてくれたってのに!!)

 赤く熱い頬を、思い切りぶちたい衝動に駆られながら、俺は廊下に出た。

 あの、朝川さんから話し掛けた。

 あの高嶺の花、朝川さんからだ。

 (………何やってんだよ俺。)

 有り得ないと思いつつも、話し掛けてほしいと思っていたのに俺は、突然の事に驚いて逃げ出してしまった。

 (馬鹿、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!)

 自分の意気地の無さに、腹が立った。

「………畜生。」


 (もう一度、話し掛けてくれるかな………?)

 (………いや、今度は俺から話してみよう。)


 そう、心の中で決意した時、授業開始のチャイムが響いた。

「あ、………やべ。」


 この日の二時間目・地理の授業に俺は遅刻し、担当の先生から大目玉を食らってしまった………。

 その所為で、休み時間の決意が下校時刻まで霧散してしまい、人気(ひとけ)の無い家路で俺は、大声で自分を詰った。

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