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彼女は勘違いの度が過ぎる  作者: 平菊鈴士
2/6

初めてのHRです。

「初めまして。このクラスの担任になった、『月野(つきの)』だ。教科担当は国語。よろしくな。」

 初めてのHR(ホームルーム)で、そう月野先生は自己紹介した。

 だけど、………すみません!!

 私は殆ど聞いてませんでした!何故なら………、

 (はぁ………、格好いいなぁ~………。)

 隣で座っている二階堂君ばかりに気を取られ、横目で見ていたからです。

 今日の二階堂君は、きちんと髪をセットしていた。あのぼさぼさの髪でも、ワイルドで格好良かったですけど、しっかりとセットした髪も、真面目っぽく見えて惚れます………。


 (もう、ずっと眺めてたい………。格好良すぎます~………。)


  □ □ □


 何かHRが始まってから、ずっと見られている気がする。感じる視線の先をそっと見ると、

 (!?)

 何とあの朝川さんが見ていた。横目でちらちらと、俺を見ている。

 って待て待て、一回落ち着け俺。

 何も、俺を見ているとは限らないじゃないか。俺の方向の、先にあるものを見ている可能性もあるだろう。

 もう一度、ちらっと朝川さんを横目で見る。

 (………やっぱ、俺見てる!?)

 横目で見るタイミングが合ったのか、朝川さんはさっと視線を外した。その後、恐る恐るまた俺を横目で見た。小さい会釈も交えて。

 嘘、嘘だろ!?何で俺を!?

 はっ、もしかして、入学早々のぼさ髪を思い出して、今の俺と比較しているのではないか?と言うことは、

 (入学早々は派手な恰好してたくせに、いざ授業が始まったら直しちゃうんだ。)

 (変な(ひと)………。)

 何て幻滅されてんのか!?


 うおおおあああっ!!それだけは避けたかったのに、何故じゃあああっ!!


 勝手に灰になった気がした。


  □ □ □


 横目で二階堂君を見ていたら、視線が合ってしまった。

 すると何故か、急に恥ずかしさが込み上げてきて、パッと顔を反らしてしまった。だけどやっぱり気になって、また恐る恐る横目で彼を見た。また視線が合ってしまったので、そっと会釈する。

 途端に何故か、二階堂君は固まってしまった。その表情は、言うなれば………『絶望』?

 えっ、でも何で?

 はっ、まさか挨拶が煩わしいと思っているの!?

 (俺に挨拶なんかすんなよ、鬱陶しい………。)

 って思っているの!?

 うわ~、最悪だ。嫌われたくない~………。何でなの………?

 私は落ち込んでいる傍ら、ここでもクールを貫いている彼が、またしても格好良く見えた。

 (どこまで私の心を、貴方は鷲掴みにするの………?)

 赤い顔はかなり熱く、重く、くらくらしていた。そしてそれが、何故か心地よく感じていた。

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