初めてのHRです。
「初めまして。このクラスの担任になった、『月野』だ。教科担当は国語。よろしくな。」
初めてのHRで、そう月野先生は自己紹介した。
だけど、………すみません!!
私は殆ど聞いてませんでした!何故なら………、
(はぁ………、格好いいなぁ~………。)
隣で座っている二階堂君ばかりに気を取られ、横目で見ていたからです。
今日の二階堂君は、きちんと髪をセットしていた。あのぼさぼさの髪でも、ワイルドで格好良かったですけど、しっかりとセットした髪も、真面目っぽく見えて惚れます………。
(もう、ずっと眺めてたい………。格好良すぎます~………。)
□ □ □
何かHRが始まってから、ずっと見られている気がする。感じる視線の先をそっと見ると、
(!?)
何とあの朝川さんが見ていた。横目でちらちらと、俺を見ている。
って待て待て、一回落ち着け俺。
何も、俺を見ているとは限らないじゃないか。俺の方向の、先にあるものを見ている可能性もあるだろう。
もう一度、ちらっと朝川さんを横目で見る。
(………やっぱ、俺見てる!?)
横目で見るタイミングが合ったのか、朝川さんはさっと視線を外した。その後、恐る恐るまた俺を横目で見た。小さい会釈も交えて。
嘘、嘘だろ!?何で俺を!?
はっ、もしかして、入学早々のぼさ髪を思い出して、今の俺と比較しているのではないか?と言うことは、
(入学早々は派手な恰好してたくせに、いざ授業が始まったら直しちゃうんだ。)
(変な男………。)
何て幻滅されてんのか!?
うおおおあああっ!!それだけは避けたかったのに、何故じゃあああっ!!
勝手に灰になった気がした。
□ □ □
横目で二階堂君を見ていたら、視線が合ってしまった。
すると何故か、急に恥ずかしさが込み上げてきて、パッと顔を反らしてしまった。だけどやっぱり気になって、また恐る恐る横目で彼を見た。また視線が合ってしまったので、そっと会釈する。
途端に何故か、二階堂君は固まってしまった。その表情は、言うなれば………『絶望』?
えっ、でも何で?
はっ、まさか挨拶が煩わしいと思っているの!?
(俺に挨拶なんかすんなよ、鬱陶しい………。)
って思っているの!?
うわ~、最悪だ。嫌われたくない~………。何でなの………?
私は落ち込んでいる傍ら、ここでもクールを貫いている彼が、またしても格好良く見えた。
(どこまで私の心を、貴方は鷲掴みにするの………?)
赤い顔はかなり熱く、重く、くらくらしていた。そしてそれが、何故か心地よく感じていた。