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彼女は勘違いの度が過ぎる  作者: 平菊鈴士
1/6

入学式で会いました。

 今日は、待ちに待った高校の入学式!

 そして私・朝川(あさかわ)妃奈子ひなこ)は、中学時代では出来なかった事をしたいのです!それは………、


「私、恋愛します!!」


 私の実家の朝川家は、様々な事業を連発成功させた事業家です。今や誰もがその名を知っている程で、私はそこの長女です。

 その為か、私は名門私立校しか通ったことがなく、生徒の皆さんは私を前にすると、途端によそよそしくなります。

 私はそれが嫌でした!

 だから私は、お父様に無理を言って地元の公立高校・海代(かいだい)高等学校に通うことにしたのです!私はこの日を、どれ程待ち遠しく感じたことか………。

 私も、一高校生の生活を送ります!


 桜舞い落ちる校舎へ続く道。

 私は髪を靡かせて、鼻唄を歌いながら校舎に向かった。すると賑やかだった周りの声が、何故か急に静かになった。気になって振り替えると、


 ―――一人の男子生徒がいた。


 一八〇センチ程の背をし、髪をぼさぼさにしていた。その髪を掻き、眠そうな目をしながら歩いていた。そんな彼を見た私の第一印象は、

 (ワイルド!!)

 ぼさぼさの髪が何故か、格好良く見えたのです………。


  □ □ □


 俺は二階堂(にかいどう)(とおる)。一般家庭の一般生徒だ。地元の小・中学校に通い、近いと言う理由が主にこの高校に通うことにした。

 そして俺は高校に入学して、恋人を作ると言う目標を持っているのだ。

 俺がこの道を歩いた途端、皆が俺を見て黙り込んだ。理由は分かっている。俺の髪型だ。大方、こんな髪をした俺を見て、不良学生だとでも思っているのだろう。

 しかし、それは違う。俺は不良なんかじゃない。この髪は………、


 ―――単に時間が無く、髪をセット出来なかっただけだ。


 第一印象は最悪だろう。入学早々にやっちまった………。

 ………俺、恋人出来るかな?


  □ □ □


 翌日、彼は髪を整えて学校に登校しました。

 (一日で髪を戻すなんて………、校則を意識した真面目な生徒なんだ!)

 またしても、彼の評価が私の中で上がったのです。


 彼と同じクラスになれました!よしっ、これで彼と話が出来ます!!

 そして何と言う偶然か………、隣の席になったのです!

「あの、朝川妃奈子です。よろしくお願いしますね。」

 彼は一瞬目を見開いた後、ふいっとそっぽを向いて、

「二階堂徹………よろしく。」

 ぶっきらぼうに返事をしたのです。周りは、その態度が気に入らなかったのか、私の周りに集まって来ました。

「大丈夫ですよ。徹は無愛想だけど、悪い奴じゃ無いんです。」

 周りの方達には申し訳無いのですが、この時の私はこの弁明を聞いていませんでした。何故なら、

 (何てクールなの!?格好良い!!)

 ………彼にまた、惚れていました。


  □ □ □


 俺の隣、まさかの朝川グループの長女じゃねぇか!しかも座って早々、こんな俺に挨拶するとは!?

 この時の俺の精神状態は、かつて無い程不安定だった。だから俺は、思わずぶっきらぼうに返事しちまった。

 (やっべー!折角俺に挨拶してくれたのに、こんな返し方は無いだろうが!?)

 横目で朝川さんを見ると………、

 (えっ!?)

 頬を赤くして、惚けていた。………何で!?

 (えっ!?まさか、………こんな俺に惚れたのか!?)

 そう考えると、俺は(かぶり)を振った。

 (いやいやいや、相手は朝川グループの長女だぞ!こんな凡人の俺とは天と地の差があるんだ!そんな人が、俺なんかに惚れる筈がある訳無いんだ!何を自惚れてんだ、俺は!?)

 絶対あり得ない。だけど、あの赤くした頬はどんな意味があるんだ?

 俺の頭の中は、入学式早々にフル回転していた。

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