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第1話 「この世界は狂っている」


 嫌な夢を見た・・・

いや夢なのだろうか?夢にはリアルすぎる・・・

こことは違う世界で誰かさんの一生の一部が場面場面に夢で出てくる時がある

これは私の脳が勝手に作り出した空想なのか、はたまた何かの因果によって見せられてるのか、私「ローラ・ベルニール」(13才)にはまだ深く考えるほどの哲学力は無かった


ただ一つ、その誰かさんと私には共通点があるというのが分かった

別にその夢で影響された訳でもないし

その誰かさんがそうだったから、私もそうしようとした訳ではない

物心を覚えた頃には、私もそうだった・・・


私は・・・・「___・・・

「「ローラー!朝よー!ご飯出来たから降りてきなさーい!」」


「んんっ・・・、眠ぃ・・・」

「なんか、今・・・夢見てたような・・・まあ、いっか」


相変わらず声が大きいママの声で目を覚まし

私「ローラ・ベルニール」の一日が始まるのであった・・・


_____________________

_______________


「おはよう、ママ」

「おはよう、ローラ、今日学校は、実践試験だったわよね?」

「あー、そうだよ・・・」

「頑張ってね!ママ応援してるから!!」

「アハハ・・・アリガト・・・」


私はその質問に目を逸らしながら答える・・・

ママはその反応を見て何か察してる様子だった


「さ、朝早いんでしょ?さっさとご飯食べちゃいましょう」

「うん・・・って、ママなにこれ?」

「何って?麺スープよ?」

「いやなんか、麺が青いというか?これってもしかして・・・」

「あー、それね!それはねー・・・」


「お隣さんからもらった新鮮なスライムよ、それを麺状に切ってオークの骨から取ったダシで味付けしてゴブリンのお肉をトッピングしてみたわ!あっさりしていて食べやすいわよ!」


「ね、ねえ・・・ママ」


「なーに?ローラ、早く食べないと冷めるわよ?

「・・・それとも何?未だに、あんな「変な考え方」を持ってるとか言わないわよね・・・ほら、お食べなさい」ニコッ・・・


「っ・・・・!」


ママの雰囲気が一変した

ママの表情は笑顔で保っているが、何か周りに黒いオーラが見える

怒ると本当に怖い、我も強くなるし、口を開けばマシンガンのように母親とは思えないあらゆる言葉が出てくる

口論になれば、確実に私は泣き怯え、負けるだろう・・・


だから私は、こういう行動しかとれない

「あっ!私ったらいけない、勘違いしてたわ!今日の学校の集合時間もっと早かったんだ!ご飯食べる時間ないかも!」


「・・・・・ふーん」

ママは疑いの目で私を見る

もちろんこれは嘘だ、しかし嘘をついたからには貫き通さなければならない、そうしなければいけない、私の理念に基づいて


「じゃ、じゃあ行ってくるね!ママ」

「はいはい、いってらっしゃい」


ママは呆れてはいるが玄関まで見送ってくれた

私自身、作ってもらった料理を食べないという行為に、罪悪感でいっぱいだ

だけど今はこうするしかないのだ・・・

ごめんなさいママ・・・そしてモンスターさんも・・・


私は家を逃げ出すようかのように玄関を飛び出し、学校に向かった

__________________

_____________


ここは「サンブック王国」

千年前、ただの更地であったこの地で

人間軍と魔王率いるモンスター軍は大きな戦争を起こした


結果は人間軍の圧勝

とある詳説によると、思ったほどモンスターは強くなかったらしい、なんで今までこんなにビビっていたのか不思議なぐらいに


そして人間はその勝利を機に、この地に国を建てた

それがこの「サンブック王国」となる

今やこの国は、この世界最大の国となり、1000年間とくに争いもなく平和な国を保ってきた

治安は良く、公共の設備は充実してるし、国民が安心して過ごせるような整った制度に、階級制度のない平等な国、完璧すぎて世界中のあらゆる国が「サンブック王国」の国政や文化を丸パクリするという・・・

なのでこの国を出ても、次に着く国は「サンブック王国に似た国」なのだ

もはや「サンブック王国」が世界の中心、いや全てだと言ってもいいほどだ


私はそんな恵まれた国で生まれ、特に変哲もない平凡で平和な日常を13年間続けてきた

家庭状況だって至って普通、父は今日たまたま家にいなかったけで、とても優しいしカッコイイ、母は怒ると怖いけど、普段は優しいし、私の為に裏で色々と努力をしてくれてるのを私は知っている


私は本当に恵まれてる、今まで何不自由ない人生を送って・・・

「「へい!!おまちっ!オークの照り焼きだよ!!」」


平和な国に生まれた事を、親に感謝しないと・・・

「「この鞄!なんとリザードマンの革を使ってて、驚きのこの値段8,900ゴールドなんです!安いでしょう!」


ああ、なんて平等な素晴らしい世界なんだろう・・・

「「おらっ!ゴブリン野郎、さっさと働けボケェ!さもないとお前の兄弟全員ぶっ殺すぞ!!」」


「・・・・・・・・」


「ピギィ!!ピギィッ!!」

「ほら行け!いっとくがお前らには死ぬまでこき使わせてもらうからな!覚悟しとけ!ガハハハハハ!!」


「・・・・・くっ」


そう、ここは平等な世界・・・

でもそれは、「人間」だけが平等な世界

他の生物、いわゆる「モンスター」には関係ないこと


これは1000年前の戦争で、モンスターが人間に降伏した時に出来た絶対的な従属関係が現代まで続いてきた事に原因がある


そのせいか、今や、平気でモンスターを食い殺しても、平気でモンスターを道具のように使い殺しても何もお咎められない、それどころか・・・

それが当たり前、それが普通の常識、殺すことが正義、ほとんどの国民がそう思っている・・・


なら私はどうだ・・・?

私は違う、そんな常識を認めていないし、おかしいと思う

モンスターと戦いたくもないし、死ぬとこも見たくないし、食べたくもない

だから私はママが作ってくれた朝ごはんを食べる事ができなかった


私がこの思想を持っている事をママは知っている

知ってるがゆえに、無理にでもモンスターを食べさせようとするのだ

決して嫌がらせとかではなく、私の為にやってくれるのは理解している

だけどどうしても無理なものは無理なんだ・・・


私にとってモンスターは一つの生き物

私たち人間と一緒で生きている・・・

1000年前に争った敵かもしれないけど、今は関係ない


この国は間違っている、この世界は間違っている

だから変えなければいけない!!


誰が?「私だ」

どうして?「モンスターが可哀そうだからだ」

いつ?「・・・ち、近々だ」

どうやって?「・・・・・・」


物心を覚えて10年弱、この世界はおかしいと思い続けてきた・・・

だけど・・・私には特別な能力はないし、特化したステータスもない

学力も平均ぐらいだし、歌は下手な方だし、料理もできなくて、唯一できるとしたら「回復魔法」だけ、というても同学年で上から数えて6番目ぐらい


こんな私に、世界を変えれる訳がない・・・・・

ただ悩み続けるだけの人生なのだ・・・


(信念に貫き進んで・・・)


「!?」

「だ、誰!?」


・・・・・・・・・。

誰もいない・・・?今のは空耳?

でも今の言葉、どこかで聞いたことあるような、とても懐かしい感じがする

昔、誰かに教わった言葉なのかな?先生?ママ?パパ?


・・・・・まあ、いいか

これ以上深く考えても疲れるだけだし、今は学校へ向かおう


とりあえず最後に話をまとめさせてもらうと

「この世界は狂っている」それに尽きる・・・



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