7話〜キスの夢と料理する男
更新遅くなってごめんなさい!
今週は仕事の都合で投稿できない日があります!
300PV達成しました!本当にありがとうございます!!
俺とエイミーが村に入ってから3時間は経過しただろうか。
周囲は真っ暗な中まだ起きる気配は無いようだ。
何故か目をつむっても眠る事は出来ず、ずっとスマホをいじって何か無いかと探っていたのだが、分かったのは
何故か充電が減らず俺が持っていると常に充電されているという事。
ゼウ宛に今の所返事はないがメッセージを送れること、
カメラ機能で高精度撮影できてその容量は無限である事、
あと時間は合ってるか確認しようがないが、大体の把握には有効である事。
そして一番の発見は俺がインストールした覚えのないアプリだ。
それをタップすると、勝手にマイクの許可がとられ真っ白な画面に
『ピンチになった時一度だけ使える必殺技だ。
“ゼディウス サンダー”
と大声で叫べば発動するぞ!』
クソだっさい!!絶対使いたくないな、いくらピンチを回避出来ても周りからの視線が冷たくなりそうだ…
「ふう…」
息を吐くとともにようやく俺にも眠気がやってきた。改めて時間を見ると夜の11時で俺の睡魔は前の世界から依存しているようだ。
時差ボケってやつかな、と
そんなことを思いながら俺は目を瞑った。
ーーーーーーーー
「健也、やっと起きたわね。早く準備しなさい」
聞き慣れた美奈の声で目を覚ます。
俺の体には見慣れた布団が掛けられていた…
夢…だったのか?
周りにはいつも見ていた俺の部屋、隠すつもりもないエロ本が辺りに落ちている。いたって普通の部屋だ
まぁ、それでもいいか
「あと5分寝かせて…」
再び布団を引っ張り顔を覆う、だがそれは美奈の手によって阻止されてしまう。
「あんたが起きないと私も遅刻しちゃうんだから!」
いつも通りのことを言う美奈に少しだけ泣きそうにもなるが
「そうだな…キスしてくれたら起きるかもなぁ」
俺は体を起こしながらそう冗談めかして言ってみせる
こんなやりとりもなんだか懐かしく思えてしまう。高校に入ってから徐々に来なくなったが中学の頃はこうして美奈が来てくれてたっけ…
大抵俺が茶化して美奈が「バカァ」とか言いながら去っていくんだが
「もう仕方ないわね」
え!?ちょっ待てよ!いやいやおかしいだろっ
だがそんな動揺も御構い無しに美奈は、俺の方に寄ってきて顔を近づけてくる、そしてもう少しというところでピタッと止まり、ちょっと悪い笑みを見せた
「ばぁかっ本当にするわけないでしょ」
いつも通りの反応にホッとすると同時に俺の中で、衝動が湧き上がった
もう一度会えた感動と死の間際の告白があいまってしまったのかもしれない。
美奈の顔を両手で挟むように掴む。美奈のほっぺたは想像以上にプニプニとしており少しだけ温かかった。今度は俺が顔を近づけるが、美奈の方は一瞬抵抗するようなそぶりを見せるが、すぐにおとなしくなって目を瞑った。
俺の方も美奈と同じことをしてやろうと思ったが、それよりもキスがしたいという欲求の方が強かった。俺も目を瞑り更に顔を寄せると
「ケ、ケンヤさん!!ちょ、ちょっと待ってください!!」
ん!?
目をもう一度開く
すると目の前に居たのは美奈ではなく、前に見た時よりも肌の質感が良くなってすべすべになっており、後少し近づければ触れてしまいそうな唇はプルプルと水分を含んだ健康的なものだった。
よく見れば髪も細く弱々しかったはずが、今では強くしなやかに、そして艶やかになっていた。
「…エイミーなのか?」
あまりの変化に俺は疑問を持ってしまった。変わってないBカップのおっぱいや足が露わになっている服装から間違いなくエイミーなのだが、かなりの変貌ぶりについ聞いてしまった。
だが俺の疑問には反応せず
エイミーの顔がどんどんと赤くなっていく。頭から湯気が出て来そうだ。
それを見て今自分が何をしているか理解しかけた瞬間
「あたしの孫に何してんだいっ!」
その声とともに後頭部をフライパンみたいな金属体で強打された。
「「!?」」
その衝撃により後数センチと近づいていた唇の距離は0となってしまう。
周囲の音は一斉に止まったように思えた。
俺も突然のことで固まってしまうが、俺の触感は正確に仕事をする。
瑞々しいエイミーの唇はかなり柔らかく包まれるような気分になる。そして、鼻腔を擽るようにほんのりと桃のような香りがした。
心拍数が上がったせいか、時の流れがゆっくりに感じ触れ合っている時間は無限にも思えた。
だが、ずっとそうしていることは当然だができないわけで、俺とエイミーは後頭部を殴って来たおばあちゃん?に引き離された。
離れたエイミーの顔はあからさまなほどに真っ赤に染め上げら俺の方も自分でわかるくらい熱くなっていた。
「ちょっ、お前エイミアに何してんだっ!」
飛び掛って来たのはこの村多分唯一の男である、少年タルだ。
必死になりながら半泣き状態で怒っている…これは…エイミーに惚れてるな!
確信を得た俺は心の中でニヤリと笑う。
「言い訳はしない、エイミーがよければ責任を取るつもりだ」
タルを煽るために言っているが、言葉に嘘偽りは無い。心を全力で込めて言う。
「け、ケンヤさん!とりあえずその話は保留にしましょう!」
俺の発言に慌ててエイミーが止める。
保留という辺りが生々しくて、少し笑みを浮かべてしまう。そんな俺を見ていたのはタルだけだったようで、悔しそうに下唇をかみしめていた。
「絶対負けないからな」
タルは小声で俺にそう言ってくる。
「なんの話だ?」
俺は男に遠慮するような人間ではないからな。潰すなら若いうちからだ!
この少年顔立ちはいいからな!
僻みじゃない!違うったら違うぞ!
ーーーーーーーーー
やっと落ち着きを取り戻したムロメ村だが、俺の緊急回復薬のせいで新たな問題が浮上していた。
先ほどのエイミーの激変から、大体は予想ついていたのだが、村人全員が美人化していたのだ。
もしかしたらタルもその影響を受けてイケメン化していたのかもしれない。
村長に至っては髪の毛まで増毛したせいで顔全部が毛むくじゃらになっている。
この村にはタル以外男はおらず、他は年老いた女性ばかりだったが、今では20〜30代くらいにしか見えない。ピッチピチの全盛期だ!
そんなことを考えているうちに、前に出た村長は喋り始めた。
「まずは全員無事じゃったことを、ケンヤ殿に感謝しなければならないな」
声からして若返った村長の言葉に反応して、全員が一斉に振り返る形で俺を見る。
中には感謝の念ではなく殺意の波動を含んだ視線が2つほど混じってはいるが…
「俺は自分にできることをしただけですよ。みなさんが無事でよかったです」
猫の皮を存分に被って、敢えてわかるようにエイミーにアイコンタクトを取ると、片方の殺意が一層強まるのを感じるがとにかく無視する。
そんなやりとりを知らない、純粋な村民たちは俺に対して尊敬の視線さえ送ってくる。ただでさえ感謝されるというある種の快感がある状況なのに、そのほぼ全てが美人という。気を抜けば鼻血が出てしまいそうだ。
それからは村長とか“長”のつく人特有の無駄に接続詞が多い長話が始まり、危険を察知した俺は早々と村長の家から出た。
目的が無いわけではない。
俺にはやりたいことがあったのだ。
実は昨日緊急回復薬を飲ませ終わって、スマホを見始める前に、あのイノシシもどきこと、グレートボアを解体して置いたのだ!
元々、モテるためにある程度の料理はしていたのだが、勿論イノシシを解体したことなんてなかった。
だが、そこはゼウのくれた鑑定スキルを使うことで難なくクリアできた!
このスキルは物を判別するだけでなく、動画付きで料理を解説してくれる、まるでデリッ○キッチン!
それで一通り予習してから俺は料理に取り掛かった。
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