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神秘を求める男〜女体を求める異世界人〜  作者: 環 九
第1章〜始まりの村で〜
5/59

5話〜異世界の少女と異世界に来た男

異世界物語始動です!

更新遅くなりましたごめんなさい


感想&評価よろしくお願いします!!!

俺は後ろに倒れ空を見上げる態勢になる。

空の色はこれでもかというほど青く澄み渡り、雲ひとつない快晴だった。

もう一度スマホの画面を見るが、メッセージが何件かきている他は何もなく、インターネットにも繋がらない状態だった。

「まぁこのメッセージは多分俺につけてくれたスキルとかの話だろう。ゼウがそんなこと言ってたし。とりあえず落ち着ける場所探してからだな。」


寝そべったままポケットにスマホだけを戻し、身分証の入ったケースをもう一度眺める。カードといってもデジタル的なものではなく、木製の薄い名刺サイズの板に手書きで

旅人 ケンヤ 登録所 第2 アズシン 冒険者機関

と書かれてよくわからない家紋のようなハンコが押されているだけだ。

多分だけど、このアズシンというのは国名なのだろう。まぁ地図とかもないからどこにあるのかもわからないが。

まぁそれよりも人を探すのが異世界モノの定番ってやつだよな。それにゼウからの頼みもあるし…


そう次の予定を考えながらも、ぼけっと清らかな空を見ていると、風に乗って女の子の悲鳴が聞こえた。


「Bカップだ!!」


ガバッと立ち上がり、叫んだ。そして俺の体は自然と声の方向へと向かい走り始める。

その瞬間俺は違和感に気づいた、体があまりにも軽すぎる。

走るために踏み込む足は、容易く地面に足跡を作り出し、それによって生まれるエネルギーは自身の推進力へと変換される。

風の音がうるさいくらいに耳に響く。

その常軌を逸した俺の足は、声の聞こえた2キロ(・・・)の距離を、ものの30秒程度で走破して見せた。

到着した先は木々が生い茂る森の中で、目的の人は探す必要もないくらい目立つ場所に居た。


体長3メートルはあろうイノシシみたいなやつが3体。樹齢100年はあろう大木の周りをぐるぐると走り回っているのだ。

その地響きは、和太鼓のようで一歩一歩が周囲の木々を震わせている。

そして悲鳴の声の主であろう少女はその大木に背中を預ける形で、座り込んで震えて居た。

地響きに巻き込まれるように小さく「助けて」とつぶやいて居た。


「安心しろ、俺の手がとどく場所で女性が傷つくことは決してない」


少女の頭に手を置いて、どこぞで聞いたようなキザっぽいセリフを吐く。

周囲のイノシシもどきは、俺が簡単に間を抜けたことに驚いたような顔をして立ち止まった。

俺の手と声に反応した少女は顔を上げて、俺を見る。


ライトブラウンの瞳は涙を浮かべながら俺のことを弱々しく見つめる。長く伸ばされた瞳と同じ色の髪や、少しだけ日に焼けた肌からは少し栄養失調のような様子が(うかが)えるが、紛れもない美少女!そして俺の推測通りBカップだった。

さらに言えばノーブラで服装も適当な布をワンピースのようにして着ているだけなので、今のアングルであれば容易く胸の膨らみの桃色のさくらんぼもしっかり見ることができた。

気を緩めてしまうと表情に出てしまうことを恐れ、ぐっと力を込める。

「こ、ここはグレートボアの縄張りで、逃げないと!!」

状況を飲み込めて居ない少女は、目の前に現れた俺に対して心配する声をあげる。自分が危険な状況だっていうのに、なんていい子なんだ!

っていうかグレートボア?あぁ、このイノシシもどきの名前か。

ちらっとそのグレートボアとやらに視線を移すが、どうやらこちらの様子を伺っているようで、3体並んでこちらを睨んでいる。

「まぁ多分大丈夫だ、俺に任せな」

特に根拠のない自信を言葉にして少女を安心させようとする。

かがんでいた体を起こし、グレートボアの方へ体を向ける、その時身分証を落としてしまい、少女の元に落ちる

「たび…びと?」

声だけで絶望しているのがわかる、今まさに自分の体躯の数倍はあろうかというモンスターに自信満々に向かって行く男の職業が、冒険者などではなく旅人なら一度救われるかもしれないと思った希望もあっさりと絶望に変わってしまうだろう。

「ダメ!グレートボアはDランクの魔物で、旅人のあなたが勝てる…あいてじゃ…な…い?」

少女が叫んでいる間に俺は、様子を伺ったまま動かない…正確には動けないでいたグレートボアの1体を力任せに殴った。


「あー…ゼウのやつちょっとは常識的に力をつけて欲しかったぜ」


俺が殴ったグレートボアの体は発泡スチロールを殴りつけたように粉々に砕け散り、それでも相殺(そうさい)しきれなかったエネルギーは後ろの木々をなぎ倒すまでに至った。


「え…?お兄さん…何者ですか?」


あっけなく倒したことで少し不機嫌な顔をしていた俺に、少女は再び怯えた表情をしながら問いかけてきた。

それに対して俺は口角を上げてニヤリとした表情で

正義(おんな)の味方だ」

とまたしてもキザっぽく答えた


残ったグレートボアも戦意喪失しなかったのか、俺に突っ込んできて、今度は手加減しながら倒すことができた。

最初は気づかなかったが俺の視界にはいくつかパソコンのウインドウのようなものがあって、その一つにグレートボアの食材としての価値が記されていたため、1体はまた粉々にしてしまったが、残る1体はできるだけ原型をとどめて仕留めた。


『グレートボア:肉は牛肉に近く、臭み・脂肪分は少ない。歯ごたえ強め。レアステーキをお勧めする』

想像するだけでよだれが出てしまう。火を起こして今すぐ食べたい欲求もあるが、それは抑えてその辺の丈夫そうな(つる)で縛り腰と結んだ。


「本当にありがとうございました!!」

少女は落ち着いたのか、涙で潤んでいた目を腕でぬぐい、俺に礼をしてくる。

頭を下げると再びいい感じのアングルになってしまい、俺のロリコンステータスがレベルアップのファンファーレを鳴らしそうになるので、スッと視線をずらす。


「おう、怪我はないみたいでよかった。」

「あ、あのケンヤさんとお呼びしてもいいですか?」

俺が落とした身分証を俺に返しながら意を決したように声を出す、なんか全部が一生懸命って感じで微笑ましくなってくる。まだ老化には早いのだが…

「構わないよ、俺はなんて呼べばいい?」

「あ、エイミアって言います!気軽にエイミーって呼んでください」

先ほどの怯えて居た時とは打って変わって、年齢通りに元気よく話すその姿に微笑みが隠せない。だが第一印象でキモい変態って思われたくない俺は、ポケットにしっかり身分証を入れながら表情を作る

「わかった、エイミーって呼ばせてもらうよ。ところでどうしてこんな森の中に?どうやら一人みたいだしどう見たって女の子が一人で来るような雰囲気の場所じゃないよね?」

そう聞くと、少女は視線を落とし、地面に置かれているバスケットへと向けた。その中身は…と視線を合わせると先ほどのグレートボアと同様に、効果や味について表示された。


『ナオソウ:毒性無し ほうれん草に似た味。摂取することで自然回復量が個人差により5〜15%上昇する。茹で汁にも効果があり、患部に直接当てることで、摂取するよりも高い効果がある。茹で汁に魔力を注ぐことで”緊急回復薬(ポーション)”となる』

…魔力か


「”ナオソウ”か…誰か怪我でもしてるのか?」

今知った情報をあたかも知っていたように振る舞う

「お詳しいんですね。実は最近この辺りで魔物が増え始めて村の人が何人か被害にあって…」

先ほどまでの明るい表情が嘘のように暗い顔をする。

「でもだからって、エイミーのような女の子が…」

「…薬草を取りに行くって言ったら、おばあちゃんに止められました。でもそのおばあちゃんも…だから私が取りに来るしかなかったんで…きゃあ!」

俺はエイミーの涙を指で拭い、お姫様抱っこをする形で持ち上げる。始めてやったがエイミーが軽すぎて実感が湧かなかったが、そんなことはどうでもいい

「なら一刻も早く帰らなきゃな!俺が送ってやる、方向はどっちだ?」

感動のあまり涙を流しそうなのをぐっとこらえる

「え…あ!あっちの方向に約3キロです」

困惑したような声をあげるが、すぐに理解してくれたようで、エイミーは南西の方を指差した。

「よーっし!」

「?」

ダンッっと地面を両足で蹴り、高く飛び跳ねる。その一飛びで思ったよりちいさかった森を飛び越える

予想外なほどに飛んだことで、一瞬前まで俺のやっていることにハテナマークを浮かべていたエイミーが悲鳴をあげる

「きゃあああああああっ!」

「お!あれかな?」

森から少し離れたところに、学校の校庭ぐらいの広さで木の柵に囲われた村が見えた。

その周りはほとんど何もなく、ちょっとした川が流れている程度だった。

そして俺とエイミーとグレートボア()はさっきまでいた森と村の中間ぐらいに着地する。受け身も取らず豪快に足から落ちると、膝ぐらいまで足が地面に刺さった。絵面的には結構衝撃的なのだが、思ったより痛みもなく、ちょっと力を入れれば簡単に抜け出すことができた。


「これでショートカットできたな!」

ズボンについた土をポンポンと払いながらそう言うと、

「と、飛ぶなら最初に言ってください!寿命が縮まるかと思いましたよ!!!」

エイミーは高ぶった感情のままで抗議する。その表情には暗さがなく、少女の顔だった。

「もっかい飛ぶ?」

と手を差し伸べると、それを突っぱねて

「陸でお願いします!」

と言われた。

もう村までは数百メートルというところだったので、俺は先行するエイミーのペースに合わせて歩いた。

「あ、そうだ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「もうこの村もダメかもしれんな…」

目も鼻もヒゲで覆われた顔ともわからず男女の区別すらつかない者、このムロメ村の村長が、倒れて呻いている人々を見てそう呟いた。

つい数日前までは男手が無いながらも活気があってみんな協力してきたのだが、急に現れた魔物によって、次々と倒れた。

幸いにも死んだものはいなかったが、そのダメージは大きく、村長の声に反論の声をあげるものすらいない状況だった。


村人の数は30人程度で、被害数は20人。このまま治療とも呼べぬ治療を行っても3日も経たずに死者が出るだろうし、もしかしたら今すぐにでも、魔物が襲って来るかもしれない。そうなれば…


「村長!!大変です…エイミアの姿がありません」

「なん…じゃと!!?」


治療を行っている村長の家の戸が勢いよく開けられ伝えられた内容は、実に重たい現実だった。

「エイミーが?…もしかして、薬草を…」


右肩に血をにじませた布を巻きつけ横になっている女性が、今にも消え入りそうな声で呟く

「まさか…森に?」

村長の顔から一気に血の気が引く

薬草というのは、大概危険地に生息しており、ムロメ村の周辺では北東にあるカムラの森と呼ばれる、危険度Dランクのアズシン国指定危険エリアで、もし実力の無い者が近づけば死は免ら無いとされる、村でも立ち入りを禁止している場所だ。


残っている者の中でも一番若かったエイミアが死んでしまえば、この村の希望は完全に絶たれることになる。

村長は愕然とする。

カランッ

先ほど開けられた戸の先で、木が落ちるような音が聞こえ、それを持っていたものと目があった。

エイミアと同い年の男の子”タル”だ。

どうやら、先ほどの話を聞いてしまったようで、表情がどんどんと変わって行く。

タルは一度落とした木製のスコップを(クワ)を持って駆け出す。

その理由を村長はすぐに察し止めるために家を飛び出した。

村長のほうがわずかに足が速く、村の入り口辺りでタルの腕を掴み引き止めることができた

「止めんなよ!俺はエイミアを助けに行くんだ!」

「無理じゃ、お前が行ったところで…あそこには凶悪凶暴な魔物が巣食っているんじゃ。中でもグレートボアという魔物は縄張り意識が強くカムラの森では敵なしの強さを持つまさに悪魔のような魔物じゃ。奇跡的にエイミアが生きていたとしても、助けることなど夢のまた夢じゃ!だからタル!お主だけでも生き延びるのじゃ」

言葉が強くなるのとともに、腕の力も強くなる。

村長に気圧されたのかタルは、勢いを失いがっくりと力を落とし俯く。その様子を見た村長を手を離し同じように俯いた。


ひゅううううっドン!!!

何かが村の近くに落下したようで、力なく村長はその音の方向を向いた。


「…グレート…ボア?」

先ほど悪魔と語ったグレートボアが、目の前に落ちてきた。

村長は膝から崩れ落ちただ呆然と、死体(・・)のグレートボアを眺めていた。

タルもあまりの迫力に死んでいると気付かず、腰を抜かしその場で尻餅をついた。


「終わりじゃ…」

小さく呟いたその声には、絶望は微塵も含まれおらず、諦めだけが全てだった




「どうして投げたんですか!」

「え、だって引きずるのってあんま良くなくね?この後食うつもりなんだし」


そんなやりとりが聞こえてきた。


どうやら頭がおかしくなりすぎたみたいで幻聴が聞こえてきた、と村長は勘違いする。


「あれ?村長どうしたんですかそんなところに…タルも…」


諦め希望を失った村長とタルの目の前には無傷でバスケットを抱えるエイミアと、見たことのない服装の男が居た。

幾度も自らの目を疑ったが夢でもなんでもなく、エイミアがそこにいた。

「…よかったぁ」

互いにほおを引っ張りあい、現実を確認した二人はそう呟いた。


活動報告の方ではネタバラシをしないように気をつけながら裏設定や、細かいことを書いていこうと思いますのでそちらの方もよければ見てください!

ブクマやしおりもよろしければお願いします。


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