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神秘を求める男〜女体を求める異世界人〜  作者: 環 九
第3章〜エルフの美少女〜
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43話〜不思議なきのみと食レポの男

ふぅ…平日毎日更新の目標は今日も達せられた

ミリュの機嫌がなんとか戻った後、俺たちはリティに誘われてエルフ王の居る城で夕食を食べることになり、神樹へと向かっている途中だ。


ミリュを含めてリティ、クルフ、リノさんと

5人で街中を歩いていた。

今度は仕方なく男の方も目を凝らして見るが、細く頼り無い糸が伸びている者も居るが半分近くは糸が無かった。


「なぁミリュ、これってどういう事だ?」


ミリュには一方通行ではあるが俺の意図が通じている筈で、怠惰のスロウがこちらの話を聞いている可能性を考慮すれば必要最低限の会話に止めることが必要になってくる。


「どう…って?このハーレムみたいな状態の事をきいているのかしら?」


だが帰ってきた返答は少し呆れたような表情を浮かべた嘘では無い言葉だった。


嘘では無い

ミリュも、怠惰のスロウに盗聴されている可能性を考慮しているのかと一瞬思ったがその節は見つけられなかった。


もしかしたら、俺が興奮状態とか強い意志を持っていないと通じないのかもしれないな、意外と融通がきかないものだ


「お兄ちゃん楽しみにしてて下さいなの、ママの作るご飯はとーってもおいしいの!」


鼻歌を歌いそうなくらいルンルンとしながらも顔で不機嫌(・・・)そうに先陣を切っていたリティが振り返って天使のような笑顔を見せる。


「そうですね、母様の手料理なんて何年ぶりでしょうか」


とリノさんが呟いて、その内容にクルフが一瞬驚きに目を開くが納得したのか、俺に少し視線を向けて「そうだな」とだけ言った。


「そこまで言うのなら期待していようかな、ところで…リノさんはどうして人間が住む地域でしかも受付嬢なんて…」


歩きながら尋ねると


「ケンヤさんに会うためですね」


と予想だにしない言葉が飛んできた

が、その言葉をリノさんにとっても予想外で、ずっと俺の腕を握っているミリュの握力上昇する。


「あ、えっとちがっ……違くないんですけど、正確にいうと非常事態に備えてエルフ王は自分の子供をいろんな国に忍ばせています。特に私はエルフなのに耳が人間と同じということで、人族の住む地域を担当していました。」


「な、なるほど、つまり冒険者機関の受付をしつつ、強い人間がいた場合その者に緊急時助けを乞うということか…」


まぁ作戦としては間違ってないし、国一つで解決出来ない事態も起こりうる可能性もこの世界では少なく無いだろう。


だが、自分の国の命運を他種族にってなかなかの判断だぞ?


ーーーーーーーー


「それは仕方のないこと、ケンヤ殿はお気づきかもしれませんが、エルフとドワーフの得意分野はあくまでも先手必勝、つまり準備に準備を重ねることで勝利を盤石なものにしていくのです」


神樹の中にある食堂でいくつかある机のうち一番厨房に近い場所に全員が座り今度はエルフ王と他の全員が対面する形となった。

俺の左隣にはミリュ、クルフ、リノさんが、右隣にはリティとまだ帰ってこないアリアさんとタルの席が空いた状態で置いてある

なんかエルフ王は寂しそうな顔をしているが…


「まぁ確かにそれは一理あるが、その言葉全てを信じるとしても、わざわざ自分の娘を自分の管理外に出すってのはどういうことだ?エルフってのはその見た目の美しさから攫われるってこともあるんだろ?」


見た目が美しいと言ったところで妙な反応が俺の隣から上がるがそれを無視してエルフ王が口を開く


「確かにその可能性もあるが…それよりも万が一エルフの国が滅んだ場合、子供達は生き残れるだろう、そうなれば私の血が絶えることはないだろう」


「王が滅んだことをそんな簡単に想定していてはダメだろ?本音は?」


「嫁の貰い手とかいないかなぁって理由をつけて国から出させた」


ヤバイなこの王、口調さえも崩した本音と思われる一言に、理解できなかったリティを除く全員が口をあんぐりと開けていた。


「それならリティの旦那さんはお兄ちゃんなの!」


だが先手を打ったのは蚊帳の外と思われたリティであった。

純粋無垢で余計な駆け引きを知らない彼女の一言は強力であり、俺の頭はクラっとしてしまうが未だにロリの扉は開いていないのでなんとな意識を保つ


「そ、それなら私も」


と声をあげたのはクルフであったが、その言葉の続きを俺は察してしまったが、クルフはその言葉の持つ意味を察してしまい顔を紅くして黙ってしまう。


となりに居るミリュに至っては優しく微笑みながら俺の方を見て居るが、その目は一切笑っていない


なにこの空間

怖い


「お待たせ〜ご飯の用意ができましたよ〜あ、あなたは少し後でお話があります〜」


突如厨房から出てきたエルフの女性は多分エルフ王の妃、つまりリティ達のお母さんに当たるのだろう。秘める魔力の量はクルフに劣るのだが、間延びしたような言葉に含まれる威圧感は、ミリュでさえもびくりと体を震わせるほどだった。


エルフ王は顔を引攣らせて、コクリと頷いた。きっとこの後のご飯の味などしないのだろうな…


そんなことを考えながら準備されていく食事は想像通り野菜ばかりで肉の入っていないベジタリアンなメニューであったが中には少し不思議な見た目の大きな木の実がソテーされてあった。


全員で手を合わせて食事にする。

大皿でみんなでつつくということはしないようで、それぞれの目の前にほとんど同じ量の料理が並べられている。


まずはサラダに手をつける。

どれもこれも見たことのないものばかりで、以前のように鑑定も使えないいま、実食するしか味を知るすべは無い。


木製のフォークをキャベツのような葉野菜へと突き刺す


パキッ


みずみずしい音がフォークの先端から伝わるそしてその音が示す通り割れたと表現できる部分からは水分が漏れ出る。


まるで蜜のようにトロりとしたものを一緒に口の中へと放り込む。


噛みしめると乾燥したものではなく、水分を多分に含んだもの特有のパリパリ感がそこにはあり、内包するとろりとした水分には天然のノンオイルドレッシングを思わせるような甘みと酸味、そして塩っけがあった。


さらにその葉野菜の下には、全て細かくみじん切りされた数種類の野菜がそれぞれの楽器で持って様々な音を奏でているよう


それがこの天然のドレッシングによる指揮によって激しく心を揺さぶるオーケストラとなる。


たしかにこれはサラダだが、テキトーに作ったのではできない代物だ。

野菜によって少しずつ大きさが異なる

ゆえに異なる音を奏で、

ゆえに味わいが変わっていく。


こうなればすでに俺の胃袋はエルフ王の妃に掴まれており、残る料理も次々と手を伸ばし野菜料理にと関わらず俺の心は肉を食べた時よりも満足していた。


そして残すは謎の木の実らしきもののソテーであった。


ナイフを入れる。

まるでバターを切るような手応えで繊維さえも容易く切る。

これは使ったナイフがすごいのではなく、この木の実がとんでもなくて柔らかいのだ。


そう、それは長時間火加減を気にしながら煮込んだ角煮のよう

そしてその俺の予想を肯定するように、切り口からはよだれを誘うように脂が流れ出す


一度中間あたりで切っただけで大きさはひとくちと呼ぶには大きすぎるものだったが堪らず頬張る。


ナイフで切った時には感じられなかった確かな歯ごたえがあり、満足だった心を十二分に満たす。


歯を立てるとやはり先程は無かったはずの繊維を潰すような食感を感じるが、それは紛れもなく肉のものでどこにも木の実などの要素は見られなかった。


「これは…一体…?」


口を開いたのはリノさんだった。

てっきりこれはエルフの国の特産品だと思っていたのだが実際は違うようす


「これはオークの肉です〜」


間延びした言葉の中に違和感を覚える単語が含まれていた。


「ママ?」

「母様…それは一体どういうことでしょうか?」


状況を理解できているのはエルフ王とその妃だけで、神眼を持つミリュでさえもわからないらしい


そしてエルフ王の妃が、とくに気にした様子もなく口を開いた


「あなた達が使った魔法はね、対象の肉なんかをぜーんぶ溶かして木の実を付けるの、その実の味はその肉の味を再現する〜。この魔法のお陰で私たちエルフはベジタリアンを貫きながら肉をたべれるのよ〜」


オークを食べる

その事にはとくに抵抗はない。

なにせこの異世界に来てからまず先に魔物を食べたのだから。


だがこの魔法の怖さは別にある。


気づけないのだ、食べるまで

それに何が含まれているか

その恐ろしさに気づきつつも全員が全員その味の誘惑に勝つことができず食べ切った後にはどうでもよくなっていた。


ミリュ「美味しい…私もこれくらい作れたらケンヤ喜んでくれるのかな?」

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