38話〜エルフの王と断る男
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エルフ国の中心にある周囲よりも20メートルは高い巨木ーーーー神樹ーーーー
その中は豪華絢爛、さまざまな装飾があり、部屋の数も数えるのが億劫になるくらいであった。
そしてその中の一室、アズシン国の応接館の部屋二つ分くらいの広さに楕円形のテーブルと木だけで作られているのに、草花の装飾が施されている非常に座りにくい椅子が並べられていた。
そして俺とエルフの王は対面するように座っている。
エルフ王の顔は高校生くらいの青年…と言ったところか、しかし身にまとう雰囲気は中々威厳たっぷりである。髪色は金の髪と茶髪が入り混じっておりエルフ特有の耳の長さは他のエルフに比べるとどこか中途半端であった。
座り順としてはエルフ王の方には左側にリティ、クルフ、右側にリエリフ、エルフのおじいさんそして何故かリノさんがいた。
俺の方には左側にミリュ、右側にマリアさん、タルが座っている。
「この度はエルフの国を救ってくださりありがと「お礼とかそういうのはいらん」え?」
本当は城の玉座の間でおこなう筈だった、ものを俺がごねたことで、ちょっとした会議室みたいなところで行うことになり、やっと…と言った思いのこもったエルフ王の言葉を、俺が遮る。
そして、俺は右手の指を人差し指から中指まで順番に上げていく
「一つ俺はこういうのが苦手だ、二つ俺は130人のエルフの女性を救えていない三つおっさんにお礼言われも嬉しくない」
そう言い放つとミリュとタルを除く全員が驚きにポカンとしており残った2人も揃ったようにため息をついて片手で頭を押さえた
静まり帰った部屋の中で、まず口を開いたのはエルフの王だった。
「ですが、ケンヤ殿がいなければエルフの国は滅んでおりました、救世主様に何もしなかったとなれば末代までの恥と言えましょう」
たしかに王直々のお礼とかめっちゃいいものがもらえそうな気がする
だが、ことわ……あ!
「お礼というか教えて欲しいことがある」
「な、なんだ!?私が知り得ることならなんでも教えよう」
エルフ王は慌てた様子で俺の発言に反応する。これ好機と見たのだろうか…まぁいいや、と俺はオーク王の持っていた折れた鉈を見せて
「この鉈を作った奴の名前と遺体があるならその場所に連れて行って欲しい」
そう言うと、エルフの王は鉈を見た途端に、少しだけ険しい顔をして
「確かにこの鉈の鍛治師を知っています。ですがエルフの国が滅ぶ助力をしたものに会ってどうするおつもりですか?」
「エルフの国が滅びかけたのは、俺の到着が遅れたこととオーク王が攻めてきたことが原因だ、こいつの製作者のせいじゃねぇよ」
すると、そうですか…と呟いてリティとクルフに目配せをする。
「ご案内致しましょう。」
「私も一緒なの」
そう言ってたちがある2人、俺も合わせて立ち上がり
「タルとマリアさんはどうするんだ?」
ミリュは俺と同時に無言で立ち上がっているの付いていくという意思表示なのだろう
「いや、私は少し行きたい場所があるからな、そこにはタルも連れて行きたい」
なに!?マリアさんとデート…だと!?
いや、まあそれはないな、相手はタルだし
「リノさんは…?」
とどこか遠慮がちに尋ねて見ると、首を振るだけで断られてしまった。
きっとなにかあるのだろう
なにせ彼女は耳が長くないエルフなのだから。
ミリュ「え!?そうなの?」




