37話〜大地の怒りとエルフに託された男
2人のエルフからほっぺにチューをもらったことで妙に力が湧いてくる感じがした。
どうやら、先程のチューは愛情表現や挨拶ではなく本当にエルフの加護と魔力を分け与えるものだったようだ。
その結論に至って僅かに肩を落とすが、それでも俺に力を与えたことで、息切れを起こしている2人の表情や動作はなんか興奮する…
っていうか、クルフは後ろ姿ばっかりだったから気づかなかったが、前びらきの服を着ていたんだな。
しかもエルフにしてはある方のCよりのBカップ、だがしかしエルフ族の不思議能力か、はたまたその服の持つ特性なのかわからないが谷間は当然見えるが、それ以外がどんな角度からも見ることができず、そうなればもちろん頂きを見ることもましてや、それが浮いてくることもない
あんなゆるゆるなのに超完全防備
くそっエルフ族め!このような秘密兵器を所持しているなんて、なんと恐ろしい
そんな邪だと自覚する思考を悟られないように、クルフとリティの2人の頭を撫で
「ありがとう、あとは任せろ」
そういうと、既に限界に至っていたのか2人は簡単に意識を手放してしまい、安心した表情で寝息を立てていた。
「そこまで信頼するものかな?」
と呟いてみたが、それが分からないわけでもなかった。
俺はまだなにもしていないのに、オーク王が歩みを止めていたからだ
「ようオーク王とやら、どうした?来ないのか?」
「ならばこれを解くがよい」
オーク王が指差し俺に訴えるのは、足に絡みついた数千本の蔓だった。
「いやいや、さっきみたいに切り進めば良いじゃないか?敵に解いて貰おうなんて甘い考え、本気で持ってるわけじゃないだろ?」
そう言うとオーク王は悔しそうに唇を噛みしめ、先程同様鉈を振り上げ切りつける
が
切れない
あの蔓は無秩序に絡みついている訳ではない。俺の意思のもと三つ編みにしたものを一層目、二層目に縦横ぴっちりと編み込んだ蔓を巻きつかせてある。まさかここでコスプレ衣装を1から作る技術が活かせるとは…
更に蔓には、魔装を行なっており強度は鉄や鋼を凌駕し多少切れたところで自己修復をする。
これを振りほどくには音速を超える速度で粉微塵に切り刻むか、炎で焼き払うかをしなければならないが
それは不可能だ
なぜなら神級魔法で作り出した粘度のある水がその植物の中を通い切れたところを切り離さず、燃える部分を鎮火し、癒す。
「それでもお前を殺すはこの俺しかいない。」
自信満々だったオーク王の顔は絶望に変わる。
ほかの残っていたオーク達は既に植物の栄養源になっており、そちらに回っていた蔓もオーク王を縛るためにこちらにやってくる。
「待ってくれ!」
「待つわけがないだろ?テメェは130人ものエルフの女性を俺の目の前で殺したんだ、細胞ひとつ残らずこの森の糧になれ」
水龍裂神剣を天に向けて掲げると、その水分に反応したのか、茶色い蔓が俺の体を伝って刀身に向かっていく
そしてあっという間にその水は吸収され、刀身は自ら木に成り代わった。
なんの装飾もない木の刀身、大きく仰け反り真上に掲げても切っ先は真横を向くほどのそれはこのエルフの国の怒りそのものだとわかった。
「水龍裂神剣でさえ切れなかったのに木剣でどうにかなると思っているのか!!」
オーク王は鉈を持つ腕を蔓に縛られる前に上段に構えて防御の姿勢をとる
ーーーー 一閃
が、絶対の信頼
自信の根源であったドワーフ製の鉈は抵抗することなく、容易く切れ落ちた
そしてそれは同時にオーク王が真っ二つになったことを意味した。
ケンヤ「取り敢えず、みんな来る前にクルフの服がどうなっているか…」




