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神秘を求める男〜女体を求める異世界人〜  作者: 環 九
第3章〜エルフの美少女〜
32/59

32話〜最恐の店長とメジャー的な男

「リノさん!?」


ここはアズシン国と誰の領地でもない草原との境目にある関所のような場所。本来国を囲っていた壁にトンネルのような穴が空いており、そこに関所があったのだが壁を取っ払ったことでちょっとした小屋がポツンと国境に建てられているだけだった。


しかしそこには会おうとしていたが冒険者機関にもいなかったリノさんの姿があった。


だがその姿は俺にとっては見覚えがある、だがこの世界では珍しい所謂(いわゆる)道着に袴姿だった。


「この方が私にケンヤさんのことを紹介してくれたのです。」

「勝手だと思いましたがケンヤさんなら必ずエルフの依頼に答えて頂けると」


まぁそれは当然のことなのだろうが…と俺が思っているとリノさんの視線が俺から逸れていき俺に付いてきていたミリュやエルフの美少女そしてタルとマリアさんが居た。


タルはなんか、エルフを魔王の魔の手から〜とかかっこいいこと並べていたのだが、結局のところ美少女目当てだろう、よくわかるから特に思うところは無いのだが…


それよりも何故マリアさんが来たのかが分からない。


マリアさんはアズシン国の大佐であり、現在の国の状況を考えれば戦力を落とすことは好ましくないと思うのだが…まぁそれよりもエルフの国との交流を深めることがアズシン国のメリットになるほうが良いと考えた結果なのだろうか?だがおそらくスタインは気が気じゃないところだろう。

なにせあんなゴリゴリムキムキよりもイケメン細マッチョの方が女子受けが高いと男が思っているのだから。


マリアさんから口止めされているのだが、エルフ美男子のようななよなよして線の細い男はまったく興味がないとのことだが、それを伝えないのは嫉妬されるのが愛らしくて仕方のないこと…らしい


「それじゃあ、行きましょうか」


そう言って振り返るのはタンクトップ巨乳のサリアさん…ではなくフードを深く被ったおじいさんだった。知らなくても良かったことなのだがどうやらこのおじいさんもエルフのようだ。まぁ当然と言えば当然だ、エルフの御者であれば迷うことなくエルフの国にいけるし国内に入ることに対して問題も起こらないだろう。


「さてこれから3日ほどかかりますが、その間にエルフ国の現状の確認をしましょう。」


馬…っぽい魔物が走り出すと、一瞬にして速度を出し始め感覚的に時速100キロくらい出し始めた。

どうやらエルフの技術の中には魔物を使役する方法を発見したらしく、馬車に至っても生活の基準に至っても戦争の武力に至っても全て魔物の力によって底上げしているらしい。ちなみに座っている順は、進行方向に向いて左から、俺、ミリュ、リノさん。対面する形で俺の前にエルフの美少女リエリフ、マリアさん、タルとなっている。


「始まりは20年くらい前のことなのです。怠惰のスロウがエルフの国にやってきたのは…」


「怠惰のスロウ?っていうと色欲のラスト同様に魔王軍幹部ってことか?」


リエリフは俺の問いに対して頷いて答え、話をつづけた。


「スロウは怠惰の名を冠する通り堕落しのんびり生きている人間なのです」

「それってただのダメ人間…」


タルの呟きに苦笑いを浮かべるが、すぐに真剣な眼差しとなり


「それだけであれば何も問題無かったのです。その怠惰が他人に干渉しさえしなければ」


どうやら聞いたことによるとその怠惰のスロウというのはラスト同様魔人らしく女性の姿をしているとのことだ。巨乳で怠惰の癖にスタイル抜群、深い紫色の髪が特徴で微睡を感じさせる目つきは妖艶にも見えるとのことだ


情報として不備のない完璧なものだった


「欠落しか無いと思うんだけどねっ!」


隣に座るミリュが肘をぐりぐりと押し付けながら言い放つと、俺は質問をやめるとそれ以降スロウの容姿に関する情報は得られなくなった。


そのあと聞いたことは特に必要性のあることはなく、数百年前までは最強の魔法使いだったとか魔力量は推定でも100万を超えるとか、エルフの国全域が怠惰の効果範囲だとかいたってどうでもいいことを話しているだけだった。


そうこうしている内にあっという間に時間が経っていき、日は沈み掛けていた。

因みに馬車に近づく魔物の姿はいくつかあったのだが馬もどきの魔物が踏み倒したり、ミリュの目にもとまらぬ速度で構築された遠隔神級魔法(ゴッズ)で蹴散らしていた。


「今日はこの村で宿をとりましょう」


そう言ってエルフのおじいさんは馬車を止めるとそう言って後ろを振り返った。

オープンカー状態の馬車から外を眺めると、そこはムロメ村よりも数倍大きく村というよりは町…だが木の柵で囲われている様子からは町っぽくも見えない。


しかし設備のほうはしっかりしており、お店や宿なんかが数多く並んでおり、ここが商人や旅人の休憩場所になっていることが見て取れた。


エルフのおじいさんについていくと、そこは二階建ての木造住宅風の宿屋だった。


「ここは昔からやっている宿屋で、今では初代店長のひ孫さんが営んでいたはずです」


そういった説明しながら扉を開けた


「あーらいらっしゃぁい!ようこそエデンへ!!」


衝撃的な光景がそこにはあった背が高く筋肉質な腕や足が不自然なまでのフリフリピンクの服装に身を包んだ推定年齢40歳のおっさんがそこには居た。


「がはっ!!」


俺の頭は強烈な負荷に耐えることができず一瞬にして膝から崩れ落ちてしまった

「まさか…あのケンヤを一撃で倒せる男が居るなんて…アタシで勝てるかどうか…ぐはっ」

「いや…ミリュさん…あれはどうにも…なら…な…」

「わたし…よりも強力な…破壊者が…」

「おじい様?これは一体…なんなのです?」


エルフのおじいさんを除いた全員がその場で倒れ混むと、生き残ったおじいさんはため息を付きながら

「手加減して頂かないと困りますぞ戦場の死神”殿」


というが、店長は何が原因か本当に分からない様子で小首をかしげて見せた


戦場の死神?ってことはこのオカマ戦える系なのだろうか?


「んー?ワタシは何もしていないんだけどねぇ?まぁいいわ旅の疲れがでたのねぇ。イリスちゃんお部屋に運んであげなさい」


「分かった」


自身の破壊力に自覚のないムキムキマッチョのオカマ店長がイリスという少女に声を掛けるとマリアさんとリエリフを軽々と両脇にそれぞれ抱え一室に放り込んだ、タルだけが別の部屋にぶん投げられたことを見ると男子は当然別々なのだろう。


だがいくら女子二人を抱えられるイリスという少女と言えども俺とタルを同時に持ち上げることはできず、ましてや俺だけが舌を噛むことによって気絶を回避しているとはつゆ知らず肩に担がれた…頭を前にして。


銀色で短く結われたさらさらとした髪に細く白いすらっとした手足、小柄な背丈に似つかわしくはないほどではないがしっかりと俺の顔面直撃に柔らかなそれは当たっていた。触れているからこそ正確に分かるそれはミリュよりも大きくなおかつ柔らかさはサイズ相応のものだった。


「身長159センチ体重47.3キロ、上から89センチ、59センチ85センチ血液型A型ああああああ!!?」

「私の体型をつらつらと言いあげるな変態!!!」


イリスが力任せに俺をタルのいる部屋に力任せにぶん投げると俺の意識は次第に薄くなっていった


…俺って本当に女子からのダメージに弱いな…


イリス「前より大きくなってる…」

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