31話〜助けを求める美少女と即決の男
ミリュ「反省も後悔もないけどなんでか幸せそうなのはムカつく」
気づけば朝だった
そして俺の顔面にはラストとの戦いではなく、ごく最近等価交換で得た青あざがいまだにダメージとして残っていた。
さてこれからはどうしたものだろうか?
なんだか痛い気がする頬を撫でながら今後のことについて考える。正直復興中のこの国に長居する必要はまったくない。
壊すことはできても直す技術はないからな、もしかしたらいくつかのスキルは役に立つかもしれないけどそれよりも本職に任せた方がいいだろうし
何より、女性を求めてきたわけで、なおかついまさらながらゼウの約束もそこそこ放置してしまっているからな。
因みにミリュもサリアさんもマリアさんもレイーナもも平均50枚の写真は撮っただろうそろそろ別な被写体を探さないと、わざわざこの世界に連れてきたゼウを飽きさせてしまう…いや飽きるとかそういう次元ではないだろうが。
と写真を見ながら考えていると、俺としたことがすっかり忘れていたことを思い出した。
冒険者機関の受付であるリノさんだ。
入国したその日に出会った冒険者機関で受付をしているクールビューティ、最後に会ったのが、というより初めて会ったのがラストの来る前日だったのだから、生きているはずだ。
っというわけでとりあえず今後の方針を決めるために話し合いをする場として冒険者機関と同じ建物内にある酒場に向かおう、と決めたとたん俺の何かが反応した。
「AAカップ!!」
急にそう叫んだ俺を、ゴミとかを見るような冷たい目線を送ってくるミリュが両腕を交差するようにして、自らの胸を触りながら
「そんなに小さくはないわよ、それともそれくらいのほうがお好み?」
などと一方的な意思疎通が出来るはずなのに齟齬が発生しているのはなぜだろうか…
「そうじゃない、今この建物内に入った人の中に女性がいて、その息遣いや歩きかたから総合するとまず間違いなくAAカップだ!!」
「あんたの異常性は重々承知の上だったんだけど、それでも今の思考回路はもはや尊敬する」
「お、ミリュから素直に褒められると普通にうれしいな」
「褒めてないんだけどね…っまぁ喜んでくれるなら否定もしなくていいか」
と話していると、先ほど感じた気配が、ちょうど俺のいる部屋の扉の前に立ち、その扉をそっとノックした。
「どうぞ」
「え、そんなあっさり…って言いても無駄か、ケンヤだもんな」
扉を開けると目の前に居たのは俺の判断と寸分狂わない胸がそこにはあった、しかし女性の魅力がそれで全てではない事をその顔が告げており
いつか見た女神様と同等の美しく整った美少女がそこにはいた
だが彼女は人間ではなかった。
「エルフ…でいいんだよな?」
開口一番で俺がそう尋ねると、その美少女はハッとして顔を上げると身長差のせいでここで初めて、深く被られたフードからその顔が見れた。
サラサラとした金色に黄緑を足したような髪は結われることなく自然のままに背中に流れ、ローブの中へと消えていく。瞳は虚空を覗くように光さえも消してしまうほどに金に輝き、色素が薄いのか肌の色は透明感を持ったまま白かった。まごうことなき美少女だ、
「どうしてわかったのですか??魔力も顔も隠してたのに」
「ケンヤだからってしか言えないわね。こいつの前じゃ半径5キロ以内の女性は皆全裸だと思った方がいいわ」
なんつー例えしやがる!
だが否定できないのも事実だが、実際は妄想や想像の域で予測でしかないのだから多少ズレることはたまーにあるわけで、やはり本物をしっかり見たいという思いはあるのだ!
「意味不明な弁解してないで、取り敢えずこのエルフの話でも聞いてあげたら?」
もう何度目かわからないミリュの溜息交じりの発言は既にエルフの美少女が部屋の中に入って椅子に座ってからのものだった。
「時間がないのです、だから手短に話すのです、どうか…私の国を救ってく「よし分かった今から行こう」…え?」
「流石自称女性の味方ね」
完全に呆れたような顔と声と態度でミリュが言う
「分かってるじゃないか、流石俺のミリュ」
と言えば何故かその表情に朱が差しそれ以上の嫌味的なものがなくなった。
「頼んでおいて何ですが…いいのですか?」
「当然だ、女性に頼まれて断れる男がいるかよ、それも飛びっきりの美少女ならば特にな」
「ありがとうなのです!私リエリフって言うです!!よろしくお願いしますなのです!」
これ以上下手に聞き返して俺の気が変わってしまうのではないかと思ったのか、エルフの美少女はパッと明るい表情に変わり深くお辞儀をした。
その体勢によって生まれる隙間をじっと見つめていたのだが、頂きを覗く前に強烈な肘鉄をミリュから受けることでものの見事に吹っ飛んだ。
別枠で更新中のタイトル変更した戦いを求める女もよろしくお願いします




