26話〜怯える女とムカつく男
私のMacが壊れました…
「もう、これしかいないとは…?」
部屋の主ではない客人とも呼べないその男の語尾が詰まったような声に、部屋の主…と言うよりは現在この国の王であるフリードは大量の冷や汗を流し土下座の体勢でおでこを柔らかそうな絨毯にこれでもかと言うほど埋め込ませていた。
頭を下げた向こう側にいるのは、身長190センチを越えすらっとしたモデルのような体型の男。黒に近い紫の髪色はミステリアスな雰囲気を醸し出しており、髪色と同じ色の瞳はすべてを見透かすように深い。顔立ちは体型にあったいわゆるイケメンで、この場にケンヤがいたのであれば、初対面で舌打ちをするレベルだった。
「申し訳ありませんラスト様!もうお渡しできる女は…」
「ウソをついても無駄だ、あとほかにも4人いるではないか、この国に。うち二人は人間の域を超えた存在だとは…」
紫色の髪のイケメン…ラストは少しにやりとした顔で言う
4人…
その数を聞いてフリードははっとする。
軍に属する破壊のマリア、ゼグサが連れてきたミリュとかいう超絶美人、昨日入国した御者のサリア、そして…兄…クリードの娘
目の前に立つ神にも思える力を有した存在がそう言ったのだ、本当にその4人だけしかもう国内にはいないのだろう。
「…」
「連れてこれぬということか…俺が自ら迎えにいく事になるとは」
そう言って背中からまがまがしいほどの黒い霧状の魔力が漏れ出たかと思えば、それはすぐに巨大な蝙蝠のような羽へと変わりラストは窓ガラスを破って外へと飛び出した。
「そこか!」
そうつぶやくと、今度は右手に霧のような魔力が集まり手のひらを少し丈夫そうな建物へと向けると、黒い霧は極太のレーザーに変わり狙った建物を破壊した。
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「おやおや、まさかあれをくらって無傷だとは…」
8割ほど削られた神級魔法の水の壁を消滅させ攻撃された方向へと目を向けた時にはそいつをぶん殴っていた。
今の攻撃力と雰囲気からして相手がラストだと言うことは直感的にわかったのだがそれ以上に
イケメン死ね
ほぼ無意識に魔纏による身体強化を使って、一瞬にしてラストのとこまで跳躍し顔面をつぶす勢いで叩き落した。
そして地面に落下し先ほどの奴の攻撃によって生まれたクレーターよりも深い穴を隣に作り出した。
当然レイーナとミリュがいないのは確認済みだ。
「なにごとであーるか!?」
瓦礫の山からゼグサが砂埃にまみれながら出てきた
まぁ当然知ったこっちゃない
さてと、噂で聞いたグロウを上回るってんならこの程度でくたばるとも思えないが…
「突然殴るとは…ここまで人間は愚かだったとは…」
砂埃が晴れクレータの中心に立っていたのは、先ほどと顔の造形を変える事なく、余裕そうな様子で服の埃を払うラストだった。
着地した俺はラストに対して鑑定を使う
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名前:ラスト
称号:魔王軍大罪の色欲
魔力量:460000
スキル:限定的蘇生(S) 掌握(S)魔王の素質(A) 誘引(A) 魔力創造(A)
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おいおい、なにこの魔力量?神様チートである俺の半分の魔力に限定的とは書いてあるが蘇生?チートじゃん!?
正直魔力的に圧倒的に下回るグロウにすら負けた今、それと同等かそれ以上の実力を持つって言われてるやつに勝てる気がしない…
だがしかし
イケメンは抹殺してやる!!!
「愚かで結構だ、どうせその愚かな種族の女を狙いに来たんだろ?」
「くくく、面白い人間もいるとは…その通りだ、しかしその2人の美しさは今までで最高と言えるな…まさかもう1度その顔に会えるとは…」
「ヒッ!!?」
ムカつくイケメン面を少し歪ませて一点を見つめると、離れたところにいたレイーナは嫌そうな顔をして悲鳴をあげた。
「くくく、とかカッコつけてる割には悲鳴あげられてるじゃねぇかラストさんよぉ!?」
怒らせることにデメリットはあってもメリットなんてないが煽らずにはいられない。
だが俺の言葉を聞いていないのか
特に表情を変化させることなく未だににやけヅラでレイーナを見る。
「初めてこの国に来た時にヤッた女の顔もお前みたいな感じだったからなぁ、またヤレるとは…」
今度は舌舐めずりをする。
うん、顔イケメンだけどきもいなこいつ、絶対モテないタイプのイケメンだわ
「ところでさ、今まで連れてった女はどうしたんだ?一つの国の女をほとんど持っていったんだ、そろそろ身に余るだろ?」
「人間の女が一番魅力的になるのがいつか…お前にわかるか?」
「女性は常に魅力的だからなその質問の意味がわからないな」
意味のわからない質問に対して俺は即答してみせる。すると、ラストは1度ためいきをつくと
「死ぬ時だよ、絶頂に達した瞬間に殺すととんでもなくいい声で鳴くんだよ、俺にとってそれが唯一人間の存在意義だ…それもわからないとは…」
「わからなくていいな」
そうか、この国で俺が出会うはずだった女性はこいつに…
しかもこいつのスキルがあれば安らかに殺すことも可能だが今の言い方だと苦しんで死んだってことだよな…
あれ、どうしてこんなにも冷静なんだろう。
あ
もう殴ってるからか
まるで体と頭が別々のようで俺が考えている間にも俺の体は先ほどよりも濃い魔纒を発動しラストが仰け反る前からどんどんと追撃を与える。
手応えはある
しかし、またダメージを与えられている気がしない
防がれている気もしない
「無駄だと気づかないとは…」
間髪を入れない連撃の音の中、ラストの声だけがはっきりと聞こえる。
そしてそれを耳がとらえた直後、先ほどよりも細いレーザーが俺の腹部を捉えた。
攻撃に専念していた俺は防ぐこともままならず500メートルは飛ばされ城を囲っていた壁に直撃した。
ガッ
背中を強打したことで肺の空気は一気に吐き出されてしまった。
一瞬視界が眩んでしまうが、運よくか敵としてそもそも見られていないのか追撃はなかった。
地面に手をつきながら立ち上がる
「やはり君は逸脱者か…俺と同格とは」
今のセリフは俺に言ったわけではなく、ミリュに対しての発言だった。
そのミリュはというと腕を組んで俺のことを睨みつけながら、殺気だけはラストの方へと向いていた。
確かにミリュの魔力量は、今やラストと同程度
しかし奴から感じる強さは、明らかにミリュを上回る。
だが俺のステータスはスキルにおいても魔力量においてもラスト上回っているはずだし、まさかラストが男装している女という可能性も100%ない。
「お前よそ見していていいのか?」
「やはり人間の男は馬鹿で野蛮で愚か、しかしここまで馬鹿だとは…」
ミリュが俺のほうを見ながらそういうと、今までに発していなかった殺気をラストから感じ取れた。殺気…というより目視出来る魔力は禍々しいまでに黒く靄がかっており今までの様子から見るにあの魔力は自由自在に操ることができるみたいだ。それこそ音速を超えて質量を持ったものとしてレーザーのように射出したり空を飛んでいた時のように羽として背中から生やすことが出来るみたいだ、おそらく奴の持つ”魔力創造”のスキルの効果だろうか
いいな、あれ。あのスキルがあればどんなことだって出来るな!
「だが、その前にお前を何とかしないとな」
俺の持つ再生スキルは男からのダメージであれば瞬間的に回復してくれるみたいでおそらく致命傷でなければすぐに回復するのだろう。
だが完全回復ではないようで、この再生だけで2割ほどの魔力を持っていかれてしまった。
さて…どうすればいいのだろう?
どうしたらこいつの能力を奪いながらもこいつの生命を断てるだろう
前書き通り 今まで書いていたMacが壊れましたのでアイファンでゆっくり書いていきます!
くそっ!バトルシーンになるとエロが不足してしまう!!!




