24話〜城の外で見つけた女と神級魔法を扱う男
10/18は2話更新しました!
「くそ…あのミリュとかいう女が手に入ればきっとあのお方も満足してくれたはずなのに…そうすればこの国も」
本当の国王、クリードを城の地下へと幽閉したフリードは自らの寝室の中を落ち着きなさそうに行ったり来たりを繰り返しながらブツブツと独り言を言っていた。
「もうこの国に生きた女はいったい何人残っているというのだ…」
次第に頭を抱えてその場に座り込む。
「目をつけられた時点でもうこの国は終わっていたのか?…いいや、まだだ…俺様が国王程度で収まる器ではない!いざとなれば…あのクリードの娘を……」
などと自分の世界に入り込み叶わぬ夢を見て喚いているフリードをよそに出来る限り気配を殺し、部屋の様子を伺っていた人影が慌てて離れ、城からも出ていった。
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「朝だぁぁぁ!!」
思いのほか長かった1日が終わり、清々しいほどの朝を迎えた。
昨晩は全然眠れなかったけどね
何故かって?
教えなくてもわかるだろうが教えてやろう
ミリュさんをガン見してるのがバレてしまい殺されない程度にボコボコにされてしまった。
痛くて眠れない
しかも、ここで改めて気づいたが、女性に傷つけられた場合は回復がとことん遅いみたいだ。
「朝から元気…ね?」
「なんでお前が疑問系なんだよ!?」
なんであんたそんな顔してんの?みたいな顔してミリュが小首を傾げる、どうやらあれは無意識らしい
脱出不可能な13コンボをかましたのが無意識とは…
「とりあえず訓練所に行くか」
「そういえばあのケンヤを負かした男に呼ばれてたわね」
と俺の発言に対して、ミリュはどこか不機嫌そうに答えた。
「そんなに俺と…したかったのか?」
「そうじゃないわよ!!私を負かしたあんたが負けたら私まであいつより弱いってことになるじゃない!」
そう…なるのか?
いや、これ以上反論したらミリュの逆鱗に触れてしまいそうだ。
「今度戦う機会があったら絶対勝つから」
「当然よ!」
そんな会話をしている間に泊まった宿の若い女将さんが朝食を持ってきてくれた。
なにせ、ゼグサが少し多めにお金を払ってくれたからな。
まぁ味や食感に関しては及第点ともいえずこれを食べるくらいなら、魔物を飼って丸焼きにしたほうがいいというレベルだった。
しかし、これでも割といい値段のする食事というのだから驚きだ
パサパサのパンに、素材の味しかしない青臭い青緑色のスープを飲み干した。
数十日間以上も断食をしても問題無いミリュは見た段階で食べるのを拒否したが、俺はここの女将さんのことを思えばどれだけ不味くてもご馳走に思え、全て平らげた。
連絡の予定はなかったので全て…とは言っても少しだけだが、荷物を持ち出して宿を出た。
やはり街中に女性の姿は無く、それでもなぜかわからないが活気にあふれていた。
なぜこんなにも女性がいないのに、この街の男どもは元気なのだろうか、もしやみんなゲイ!?
「って…あれ?」
俺の女センサーが反応した、どうやら3キロ圏内に女性がいるようだ。
「ちょっと!?訓練所はあっちでしょ?」
訓練所?男との約束なんか知ったことか!
そんな重いを言葉に出さず、体全身で表しながら走るよりも早く歩くよりも静かに気配の方へと向かっていった。
近づくほどに鮮明にわかる。
俺はその女性と話したことはないが見たことがある。
到着した先は、使われているかどうかすら怪しいくらいボロボロに見え、換気用の開口がいくつかある、所謂アジトっぽい建物だった。
声が少しこもっおり、周辺には聞きたくもない盛ったような男の声が数人
「人の気配がするわね…入り口は見当たらないけどここに用事でもあったの?」
どうやら中がどうなっているのか気づかないのかそれとも興味がないのか、ミリュは俺の行動を理解できずにいた。グロウとの模擬戦の時はかなり伝わっていたはずなのに、なにか理由でもあったのだろうか…
それよりもだ
恐らくまだ始まっていないが、この男どもは一人の女性を犯すつもりなのだろう。
そうなれば俺の耳には悲痛な叫び声が聞こえずっと残り続けるだろう。
「中にいる女性だけを助ける、力を貸してくれ」
「男はどうするのよ?」
「糞はしっかり流さないとな」
俺の研ぎ澄まされた五感は女性の今いる場所をミリ単位ではっきりとわかる。
まず建物の内部を範囲選択し、女性の場所だけをくり抜き範囲外とする。
神級魔法によってコンマ数秒で建物を覆い尽くす魔法陣が展開され一瞬にして天をも穿つほどの渦が発生し、それによって5人のごつい男が建物の破片と一緒に巻き上げられていった。
「なんだこりゃぁぁぁあ!!?」
「うわぁぁあああ!!」
などといった声が聞こえる。
そのままグルグルと男どもを回しながら、一緒にあげてしまった家具や破片などを建物内に戻す。
初めて使って見たが神級魔法は完璧に俺のイメージを投影されておりこれだけの規模の魔法で作られた水に関しては0から生成したにも関わらず消費した魔力は1万程度だった。
原魔法でこれをやろうとすれば劣化版な上に数倍近い魔力が使われていただろう。
「すげえな、神級魔法。やっぱりミリュと契約してよかった」
そういって振り向けば、ぽかんとした顔で口を開けているミリュがいた。
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