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神秘を求める男〜女体を求める異世界人〜  作者: 環 九
第2章〜アズシン国で〜
22/59

22話〜不純な欲望と国内最強の男

いつも読んでくれてありがとうございます

俺は武器を持っていないので右腕を体の前で構え左腕は浅く握って腰の位置で止める。この男との戦いでは一瞬の隙さえも許されない…だが…俺の本能がこんなダンディなおっさんよりも観客席に座ってグロウの戦いぶり見たくて集まってきた軍人の女性へと移される。

なんともまぁファンタジックな世界だ、先ほど国王が侍らせていた気品ある女性も素晴らしいと思ったが、さすがは軍人ということだけあって近接戦闘を得意とする者は筋肉質でかなり引き締まっている、魔法主体とする者は前者よりも少し丸っこいが、小柄なものから大きな双丘をたわわに実らせているものもいる。

俺専用の軍が作れるっということはあの中から自由に選んでもいいっていうことか!


「ようやく覚悟が決まったようだな、ケンヤ」

「あぁ、後悔するなよ俺に戦いを挑んだことをな」


拳を構えた俺と練習用ではない本物の片手剣を構えたグロウ。


グロウがこの手合わせの前に決めたルールはどちらかが降参するか、戦闘不能になるかで決着とする、実戦形式とするために合図や審判はなしとするらしい。


つまりこの戦いはすでに始まっており微動だにしないのはグロウから仕掛けてきた駆け引きというやつだろう。

まさか異世界にきて初の駆け引きが美少女との恋愛とかではなくこんなダンディなおっさんとは…頼むから腐の遺産は作らんでくれよ。


俺もグロウもにらみ合いが始まってから1分しか経過していないのにもかかわらず、俺の額からは滝のような汗が流れていた。


濃密なまでのプレッシャーが俺を襲う。

これほどまでに相手の動きを注視し続けるということが難しいとは思わなかった。

ただ一瞬だけのパンチラの為なら6時間でも待てる俺だが、やはりというべきか、男相手には発揮できないらしい。


誘われているのはわかっているが、これ以上睨み合っても不利になるのは俺の方だろう


一気に決める気持ちで両腕に魔纒をして地面を蹴り走る、地面が割れ陥没するほどの無駄(ロス)が生じる

マリアさんの走りはこんなものではなかったはずだ、と頭にはマリアさんの動きが鮮明に浮かぶ

破壊スキルの応用とも言える走り方だが、それでなくても無駄のない完璧な動き

そのイメージが体に伝わる


二歩目


空気抵抗がなくなり体が滑るような感触になり踏み込んだ力そのままが全て推進力となり、狙ってはいないが変速的となり、予想よりも早くグロウに到達したことで一瞬の隙が生まれた


俺自身も左足で3歩目を踏み込み右で殴るはずが利き手ではない左で殴ることになったという精神的なズレ

その些細なズレで生じたほんのわずかな遅れでさえもこの男にしてみれば無限の手を与えてしまうことになる

表情を変えぬままにグロウは一瞬とも言えない隙を闇に葬り片手剣の側面で俺の拳を流してた

モンスターさえも一撃で粉々に打ち砕く俺の拳を…だ。

何かの間違いかと思って常に発動しっぱなしの自分の鑑定情報を見てみても何も変わりなく現在が最も力を発揮している状態だと示していた。


よそ見が命取りとなることを改めて再認識させられた。


俺の拳を逸らしていたはずの剣は既になく、グロウは体を回転させ受け流した力をそのまんま俺への攻撃に繋げてきた。


速さも力も流石国内最強と言われるだけある、だけど俺のステータスよりは下


腕だけと、部分的にしか魔纒をしていなかったのを全魔力を使って全身を覆う、当然間に合わないが、剣が当たる場所を優先にしたことで必要最低限のダメージに留めた、だがその必要最低限は俺の左肩から右腹部にかけて深さ5センチほどの深手を与えた。


傷口から血が噴き出す


周囲から軽く悲鳴が上がる

軍人とは言え見習いは人間から血が噴き出す光景を見ているものは少ないだろう

あれ?そう言えば俺もそうだ、女の子を守る力欲しさに格闘技はやってたが当然生死をかけてなんかいない、それなのにどうしてあんな簡単にモンスターの命を奪えた?

簡単だ人間ではなかったから、だからあんなにも殺すことに抵抗はなかったのだ

しかし、グロウは人間だ意識できない何かが俺の心にあり、無意識に抵抗していたのかもしれない

けれど相手は軍の中で最強と言われる存在だ、当然幾千…いや幾万それ以上の人間を殺してきたのかもしれない、その剣でその拳で


敵わねえ


たった一撃でそれを思い知らされた

傷口の出血はほんの数秒で止まり既に塞がりかけている、だが完治というわけではなく魔力がかなり無くなり痛みもまだ残っている。

流石にもう続ける理由もないよな、ハーレムのチャンスは惜しいけど…惜しいなぁ…


「ケンヤぁぁぁ!!!」


静まり返っていた訓練場の壁がビリビリと震えるほどの轟音が1人の女性の口から発せられた!

流石のグロウも驚きに視線をそちらへと向けたほどだ、まぁ戦闘中ならそんなことしないだろうが明らかに俺が戦意喪失していたのだから仕方ない


「アタシに勝ったくせにそんな人間に負けるなんて許さないからな!!」


広場と観客席の間にある高さ40センチほどの 塀に仁王立ちになったミリュが俺に指差しながら先ほどよりは小さいもののまだまだでかい声叫ぶ


「誰が諦めたって言ったよ」

「分かるんだよ!あんたとは魂で繋がってんだ」


な!そんなの初めて聞いたぞ、いや、さっきの会議中にこの俺の心理を完全に読み取っていたのだから納得できる。


「いやいや、あんたの(よこしま)な考えとか顔見れば余裕でわかるから」


「え!?まじで?」


こっちはわからないのにあっちは一方的にわかるとかズルイ!!

今度四六時中全女性が赤面するような妄想に(ふけ)ってやろう


「やめなさい!そうね、でももしあんたがその男に勝てたらその妄想を叶えてあげるわ!」


な、なんだって!!!?

俺の妄想を叶える?ミリュが?グロウに勝てたら?


「ミリュ!ちゃんと心の準備をしておけよ!!」


「ほう、まだ私に勝つつもりか?」

「いやいや、お前こそ今の俺に勝てるつもりか?」


体が望むままに拳を構え標的(グロウ)を見つめる。

先ほど植えつけられた圧倒的格差が消えたわけではない、だが俺はやらなきゃいけない、ハーレムなどという曖昧なものではなく、ミリュとイチャイチャするために俺はやる!


「素直かっ」


そんなミリュの声が聞こえた気がした。


妄想してしまい自然と口角が上がる、その様子を見てグロウが生唾を飲み込んだのがわかった。

口を閉じて、真剣な目を俺に向ける、おそらくさっきと同じ重圧がかかっているはずだが、汗が流れることはなかった。

グロウは百戦錬磨の戦士だ、当然俺の付け焼き刃ような格闘術では動きを簡単に読まれてしまう…

魔装の容量で地面に魔力の膜を作り出しそれを思いっきり蹴り、体が吹き飛ぶような推進力を得る                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      


容易く音速を超えた速度に達するが亜光速でさえも対応できるグロウは俺の動きを完璧に捉えて直撃するタイミングで剣が振り下ろされる。


「いくら早くても不意打ちなしの直線的攻撃とは芸がないね」


グロウがそう言ったのと同時くらいに俺は浮いた体を左手で空気を掴み剣の軌道から無理やり避け、その左手を軸に体をひねりそのまま遠心力を乗せて体の望むままに蹴りを繰り出す。その遠心力で俺の鼻から流れていた血も周囲に散らされる


右足がグロウの脇腹へと直撃する。


とっさに体を流したことで幾分か衝撃は減らせたものの、ダメージは確実に与えられ口から吐血し膝をついた。

歴戦の戦士グロウが膝をついた姿に、周囲から小さいながらも悲鳴が上がる。

だが、膝をついたのはダメージからではなく次の攻撃への動作だと疑っている俺は追撃を仕掛ける。


考えずにを意識していたはずだが無意識的に剣の持っていない左手側から攻撃を仕掛ける

がわずか数瞬後それが悪手であることを実感させられた


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