21話〜大精霊とハーレムを作りたい男
更新遅くてごめんなさい!
訓練用に作られた刃のない金属製の剣、と言うよりは仕様的に見て棒と呼んだ方がいい代物を二人の男が構える、ロリ巨乳であるどう見ても少女は自前の質の良さそうな杖を取り出し揃ってタルへと向ける。
戦闘の構えに入る為の行動というだけなのにも関わらず、タルの恐怖心は大きく煽られ肩をビクつかせた。そんなタルの様子を興味津々に見つめるはこの広場にいる俺以外の全員だ。
俺が下手なことをしてしまったせいで、タルも異常な期待をされてしまっている
俺の目では明らかに戦力が偏っているとわかっている。
当然負けるのはタルの方だろうな、そう平然と思っていながら観客席的な場所で座って見ていると、この一方的ないじめの舞台を整えた張本人である、このアズシン国の軍の中で頂点に立つ男、大将グロウが隣から声をかけて来た。
「あの3人には悪いが、これも経験だ」
「一方的ないじめのどこが経験になるんだか、せいぜいタルのプライドやらなんやらが踏みにじられ、あの3人に人を虐げる快感が生まれてしまうくらいじゃないか?」
ふざけたことを言うグロウに対して、俺は少しおどけたような表情と声のトーンで言い返して見せると、少し驚いた表情をされた。
「君ほどの実力者が、彼の実力を知らないのか?」
一体こいつは何を言っているんだろうか、前にタルを鑑定したときはムロメ村の中でも一番低いステータスであったはずだが、今では精霊との契約のおかげで少しぐらい底上げされているだろうが、そこまで大差はないだろう…
あれ?
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名前:タル
称号:大精霊使い
魔力量:10000
スキル:魔法の才(A) 魔力炉(S)先読み(B) 英雄(C)
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なんかめちゃくちゃ魔力量が上がってる?
精霊と契約したのって今日のことだよね?
「どうしたそんな顔して」
「精霊と契約したら急に強くなるものなのかねぇ?」
よっぽど変な顔をしていたのかグロウが心配半分な顔で訪ねて来た返答に俺は独り言のように呟いた。
「まさかとは思うが、精霊契約をしたのはごく最近なんて冗談は言わないだろうね?」
何かに気が付いたのか引きつったような表情を見せるグロウに対して、俺は嘘をつくなんて器用なことはできず
「そのまさかで今日の昼間くらいに契約したばっかりだったんだが…」
「あ、それはまずいな…一応彼も気をつけるかもしれにが万が一の時はまた助けに入るのを手伝ってくれないか?」
「危ない事態になっても俺が助けるのは女の子だけだ」
自らの誤算を後悔しているようなグロウに対して俺は、俺の言い分だけを言って会話を止める。
あのときすぐにタルに対して鑑定をかけていれば気づいたのだろうか?それとも適合といった感じで慣れた結果これなのかという疑問に答えは出なかったが、俺は非常に気になっていた
え?勝負の行方?んなことはどうでもいいんだよ
美人ぞろいと言われる精霊の中でも大精霊はとびっきりの美人なのではないかと言うことだ、本当になんとかして精霊を見たい!!
「いざ、尋常に!!はじめえええ!!」
思考を遮るようにマリアさんの声が広い室内に響き渡る。
その大声を合図として、男二人はタルを囲い、攻撃と魔法使いであろう少女の盾としての二つの役割を担う、それを当然のように受け入れている少女はなんの疑問を持たずに原魔法発動のための言葉を紡いでいる。
装飾の効果で保持している魔力の数倍の量を練り上げていく。割と大規模で複雑な魔法なのだろうか構成に時間がかかるようだ。
そうこうして着実にタルを追い詰める手はずが整っていくのに対して、今だに本人はビクつくだけでなんの行動も起こさないでいた。
「どうした?そんなキョロキョロしても誰も助けになんて来ないぞ」
「そうだ、それに俺たちもこれを止めることはしない、せっかくグロウ様にアピールできるチャンスなんだからな」
男二人は俺に、つまりグロウにも聞こえているとは知らずに本心を吐露する。
タルは小手調べと振り下ろされる演習用の剣を大きく避けるようにのけぞった、その動きで一手目を避けるが、二手目以降の手立てはなく反射的に手を伸ばして防ごうとする。いくらきれない剣であってもあの速さで振られれば骨折は免れないだろう。
いくら力があってもそれを扱えないのならそれは宝の持ち腐れと言えるだろう…
流石にボコボコにされるような感じになったら止めに入ろうかな、あいつら高揚感で止まらなくなりそうだし
などと考えているうちにタルに剣が直撃した途端、振るった張本人である巨体の男の動きがピタリと止まった。一瞬止まるのならわかるが運動エネルギーが全てタルの体で吸収されたように本当にピタリと止まった。それによくよく見て見ればタルの体に剣が当たる5センチくらい手前で止まっている。さっきのリムドがやったような光速の一撃による俺自身の思考の加速かもと思ったが、それにしては広場にいる4人の動きも観客席で見ている他の軍の人間もいたって普通に動いている。
つまり、あの剣は本当に止まっているのだ。しかも止めた本人と思われるタルは視線を別のところに移して驚いている。
「え?それってどういう…うっ!」
何か独り言を言ったと思えば、急にうめき声をあげて一瞬意識を失ったように見えた。
いやその見立ては間違いなく、先ほどと同じように立つタルの体の主導権を握るのはタルではないのはすぐにわかった。
先ほど鑑定で見たときよりも数倍はあろうかと言う魔力が体の外まで濃密に漏れ出しその高度濃度の魔力だけで、青年たちの剣を止めていた。
「なに!?一体どうしたの、もう止めておけないよ」
男たちが壁になっていることで状況を判断できない少女は限界まで構築した魔法を起動したそうに今か今かと焦った様子で声を上げる。そして臨界点に達したのかわずかに魔力が漏れ出した途端に魔法陣が少女を中心に現れコンマ1秒ほどの間をおいて地鳴りが響く
「水流よ我が対象とする者を切り裂く牙となれ”水 牙”」
あからさまに人一人に使う魔法にしては度がすぎるほどの魔力を含んだその水 牙だったが、グロウを含む誰もが助けに動こうとはしなかった。
それもそのはず、戦争で用いてもそれなりの戦果を上げられそうなロリ巨乳少女の水 牙が持つ迫力や孕んでいるが、それ以上にタルの体を操る何かが持つ圧倒的なまでの存在感で高さ5メートルは超えそうな水 牙が小柄なタルよりも小さく見えた…いや逆なのだろう。
その見た目通りゆっくりと突き出されたタルの手に当たった水 牙はいともたやすく消滅した。
この時のタルの魔力量は10万にまで上昇していた。
「ん?殺してはダメか…仕方ない君の頼みだもの」
そうタルの口から聞いたことのない上品な女性の声が発せられたのを確かに聞いた。そして小さく魔力をまとった指を一度だけパチンとならして見せた。
「”弾雷”」
指さきから3人に向かって音速をはるかに上回る速度で電撃が飛んでいき直撃すると服が破けてしまうのと同時に倒れてしまった。
残念ながら前かがみに倒れてしまったためにじっくりとはいかなかったが、あの巨乳があらわになったところを俺は心のファインダーに収めることができた。
グロウがいなければスマホを構えることができたのだがな…
そして3人が倒れ込んだのちにタルがまとっていた雰囲気が霧散し同じように倒れてしまった。
それまでの様子に少し驚いていたマリアさんだったが
「これまで!!勝者は…うーん…」
両者とも倒れている状態だし判断がつけられないのもわかるが、これは間違いなく
「タルの勝利だ、少し放っておけばすぐに目がさめるだろう全員観客席に移動してやれ」
と俺が何かを言う前にグロウが声を上げる。それと同時に立ち上がり俺のを方をじっと見た。
男に見つめられても嬉しいことは万に一つもないのだがな、まぁ言いたいことはわかってしまった。そして俺が察したことに気づいたのかグロウもダンディな顔で笑ってみせる。
「結局やるのかい」
「それが私の目的だったからな、この国には凄腕の回復魔法使いもいるからボロボロになっても立ち向かうといい」
「そいつはいいことを聞いた、ならグロウ大将を半殺しにしても問題ないよな?」
グロウの挑発に敢えてのって立ち上がる。
「だが君はどうせ本気を出せないだろう?」
「どうしてそう言える」
「君は自分の本能でしか戦えない、そういうやつだろう?さっきマリア君を助けた君を見て気づいたよ」
「だからなんだってんだよ」
俺の言葉に返答する前に、軽々とぴょんと飛び、先ほどまでタルと軍人見習いの3人が戦っていた広場の真ん中で着地した。
「先ほど君はメリットが欲しいと言ったな、ならば私に勝てば君専用の隊を作ってやろう」
俺専用の軍?そんなものいらな…
あ…
この世界って魔法というものがあるがゆえなのか、軍人の中の女性比率がめちゃくちゃ多い!
つまり!俺専用の軍が作れるということは
ハーレム隊が作れるということではないか!!!
読んでくれてありがとうございます!
バトルシーンに集中しすぎるとついエロ要素を忘れてしまいます…




