20話〜命がけの模擬戦と強さを証明したい男
更新まばらなのに3000PV行きましたありがとうございます!!
ゼグサとミリュはアズシン国の国王に呼ばれ、残された俺とタルはどこで待とうかと考えていた。
付いて来いと言わんばかりの眼光で訴えるミリュだったが、黒装束の男がゼグサ以外の同行を拒否し、食い下がっても面倒だと思いそのまま見送った。
あれだけの変態的なスキルの持ち主であってもミリュが本気でやれば骨すら残らないだろう。
「さて、どうしようか」
「ゼグサさんも行っちまったからな」
「それなら軍の練習場にこないか?」
!!?
俺が全く気づかなかった
白と赤で構成されたマントとグレーのシャツに黒いズボンという結構ダサめで目立つ格好のダンディなおっさん。
それが正面から近づいていた筈なのだが、それが全く認識出来ず、声を掛けられるまで反応すらできなかった。
俺はこれでも体を鍛えるために適当にかじった程度だが格闘技をいくつか習っていたのだがその時空手の有段者や、運良く日本チャンプのボクサーとも手合わせしたことがあり、強者は強者なりの雰囲気というものがあったりする。
しかし、目の前のそいつは、強いと本能で感じるだけで、特有の雰囲気どころか何も感じることができないのだ。
あからさまに驚いているタルを横目に、見抜かれている気もするが冷静さを装いながら
「あんたは誰だ?」
驚きの表情のタルがそのまんまの顔で俺の方を凄まじいスピードで振り向く
「ふはは、この国で私のことをそんな風に呼ぶのは王くらいだと思っていたが…改めて自己紹介しよう」
どうやら俺がミリュの足に夢中だった時にやったみたいだが、それよりも足の方が大事だろ
「私はアズシン国軍 大将のグロウだ。それで、これから軍の練習場で手合わせでもどうかな?」
アズシン国軍の中で最強であろう”大将”
当然だろうけど、マリアさんよりも強いのは間違いない
ーーーーーーーーーーーー
名前:グロウ
称号:究極の努力家
魔力量:35000
スキル:剣の極み(S) 拳の極み(S) 死にたがり(SS) 心眼(A) 鬼神化(S)
ーーーーーーーーーーーーー
何こいつ?異世界人?
「それって俺にメリットあるのか?」
「ふはは、私と取引というわけか、実に面白い男だ…そうだな何かしら君が欲しそうな物を考えておくとしよう。それに勘違いしているようだから言っておこう、これは大将としての命令だ、黙ってついて来てもらおう」
おっと、少し怒らせてしまったのだろうか、声に”威圧感”が含まれている。
俺はある程度抵抗した上で、少し鳥肌が立つくらいだがタルは少しちびってしまったようなそぶりだ。
グロウは振り返り出口の方へ歩き出す、最初のように気配を消さないようにしたのは、俺たちについてこいと言っているようだった。
それから城の一階に降りると、入って来た城門からではなく入り口から見て左奥の壁にある人の身長分くらいしかない高さで先ほどまであったものよりも分厚い扉を開けると、遠くの方から人の声や甲高い金属音が響いた。
「ん?様子がおかしいな、まるで誰かが戦っているような…」
「マリアさんの声ですね」
「え?まじで?」
俺の耳には、叫ぶマリアさんの声がというかそれだけがはっきり聞こえていたのだが、グロウには誰かの識別はできていなかったようで、マリアさんの声だと伝えると、とんでもねぇ化け物を見たような表情に変え、歩いていた足を駆け足に変えた。
左右に複数扉がある30メートルくらいある通路の先にあるひらけた場所に行くと、そこは円形のコロッセオのような広場になっており、その中心ですでに先ほどとは違う細剣を構えたマリアさんと両手剣を持ってにやけヅラ、オールバック銀髪の
たしかリムドとかいう奴が居た。
「またか…」
グロウが諦めたようなため息をつく
「止めないのか?」
返答には首を振って答えた。
「もう何度目かわからないし、結局は戦わせて発散させた方が後々に響かなくて済むからな」
そういうと、広場を囲うように設置された観客席のような椅子の最上段にグロウが座り腕を組む。
俺とタルもそれにつられるようにして少しだけ距離を開けて座った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:リムド
称号:閃光
魔力量:12000
スキル:剣の達人(A) 解体(B) 防御無効(A)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「まったく馬が合わない奴だよ!!」
「それはこちらのセリフだ」
マリアさんとリムドがつばぜり合いをしながら叫び合う、驚いたことにリムドの実力もなかなかのものでほとんど互角のような状態だ。
だがマリアさんの方はミリュとの戦いの時に見せた感じとは違い、全力という感じではなかった。
それはリムドの方も同じな気がするが、それでもステータス上だと魔力量では上回ってスキルでは負けているって感じか。
お互いに剣を振った反動で距離を取ると、マリアさんは小柄な体をさらに縮めて体全体をバネのようにし、リムドは対称的に腕を上げて頭の上で剣を構える。
先に動いたのはマリアさんの方だった、踏みつけた地面は砂埃を上げ、体の動きによって発生した乱気流で砂埃の筋がマリアさんに追随する。
あまりの速度に空気抵抗や摩擦が発生するがそれらすべてを”破壊”のスキルによって無くし、構えられた細剣は魔装されていないため銀色のままだったが、そこに発生する空気抵抗すら破壊しているようでブレることなく光の残像だけを残し、切先は腕へと向かっている
これは決着か
そう思ったのは、マリアさんが動き出して、接近したほんのコンマ2秒程度の間にリムドが動かせたのは右手の指くらいだったから
しかし、その直後まるで時が止まったように思えた
誰も動いていない中、リムドの剣を持った腕だけがゆっくり動く
よくよく見れば、マリアさんもほんのわずかずつ動いているのだが、リムドの方が圧倒的なまでに速いのだ。
だが軽傷を狙っているマリアさんとは違い、リムドは首を狙っていた。
こいつ…マリアさんを殺そうとしているのか!?
そう考えが至った時、すでに俺の体は動いていた
そしてそれと同時に一度の舌打ちが聞こえた気がした。
マリアさんとリムドの間に入り、魔力でもって防御を図る。しかしリムドの剣が俺の魔力に触れると柔らかいトマトのように一瞬の抵抗ののちにあっさり割れてしまう
たまらず左腕に魔纏を施し防御とする
がリムドの剣が俺に届くことはなかった。
なぜなら凄まじい速度であったはずの剣先を親指と人差し指のたった2本の指でグロウが止めてしまったからだ。
「お前…今殺意を込めて居たな?」
グロウの言葉にはこれでもかというほどの重圧感と威圧感が込められており、たかが声に魂ごと心臓を握られた気分になった。
ミリュとマリアさんの戦いの時に思ったが、対象ではない俺ですらこれなのだ
リムドは剣を手放し力なくひざまづいた。
「それと…」
もうグロウの意識はリムドの方には向いておらず、先ほどの雰囲気のまま俺の方へと向き直る。
心臓の鼓動がうるさくて周りの音が一切拾えない、背中にはこれでもかというほどの冷や汗が流れては震えていた。
「君は一体何者でこの国に何しに来た?」
喋ろうとしても口が固く閉ざされているのか、それとも喉が渇いて張り付いてしまっているのか、言葉を発することがままならない。
だが、グロウの視線が確実に俺を捉えて離さない。一瞬だけ何をいうか迷ってしまったがずらしていた焦点を一点に集中させて
「俺はただの人間だ、少し女の子が好きなだけのな」
すると険しくなって居たグロウの表情は一転して怖いくらいの満面の笑みを見せた
「ふはっはっはっは!やはり君は面白い男だ!すぐには無理だがいずれは私の後継にしたいものだ」
「なっ!?」
グロウの冗談めいた発言に俺は、適当に流して居たのだが、いまだに立てないでいるリムドは驚きの声をあげた。マリアさんは今尚俺の腕に抱かれた状態ではあるが、人妻ということもあってときめくことは一切ない。
だけど、俺の腕から離れて少し微笑みながら
「助かったよ、いくら私でもあれは多分深手を負っていた。殺されかけたことに、納得はしていないけどあんた強くなったね…次やるときは私も本気をだすよ」
あ、
これ激励とかじゃなくてただの脅しだ…
表情全体で見れば微笑んでいるのだが、目は笑っておらずあからさまなまでの殺気が針のように突き刺してくる。
「その辺にしてやれマリア。誰かリムドを場外に連れて行ってやってくれ」
さすが大将と言うべきか、グロウの言葉に弾かれるように軍の中でも結構な実力者っぽい人たちがぞろぞろと集まり、そのうちの二人がリムドの肩をそれぞれ抱えると他に集まったものは落ちている武器やら何やらを取りリムドのあとを続いて出て行った。
「さて、ケンヤくんそろそろ手合わせ願おうか」
「え?やるの?」
リムドが俺たちが入って来た入り口から出て行きいくつかすぎた扉の中に入っていくと、唐突にグロウが手合わせの申し出をして来た。
正直さっきの一件でお流れになることを願っていたのだが…
あ、そうだ
「それよりもさ、あいつの入隊試験的なのもやってくれよ」
そういって話をそらそうと視線を送った先には、まださっきのグロウの剣幕に圧倒されて口をあんぐりと開けているタルがいた。
事情が飲み込めていないようで、視線は俺とグロウを行ったり来たりするが徐々に俺の行った言葉が理解できたのか、顔を青ざめて
「ちょ、ちょっと待ってください、お…僕にはアズシン国軍隊長であるグロウ大将と戦える力など持っていません。」
それは当然だろうと誰もが思っているが、タルは真剣そのものなのだ。
「確かに、タルくんの実力も大将として知っておきたいところだ。だが私とでは実力に大きな差がありすぎてしまう…そうだな」
そういってちゃっkり自分は強いからアピールをしていたグロウはキョロキョロとあたりを見回して3人の男女を呼ぶ。
一人はいかにも普通な剣士といったイメージの青年で、強さはスタインの3分の1くらい
もう一人は大きな盾と頑丈そうな鎧に身をつつむ大柄な男、体のでかさだけでいえばスタインとためを張りそうな気がするがステータスを見れば、普通の剣士と称した男と大差ない
3人目に選ばれた女性は、服装からはダボっとした綺麗な文様の入った白いローブを着ているせいで俺以外にはスリーサイズはわからないだろうが、明らかに着痩せするタイプなのだろう。
おっぱいの大きさがEカップの身長が140センチ
いわゆるロリ巨乳といった感じだ。二次元から飛び出したような衝撃的なピンク色の髪の毛をサイドテールにして、まとめた髪は魔法能力の向上の付与が施されている髪留めで止められており、それにさえ気づけば彼女の装備品のほぼ全てに魔法関係の能力向上の付与がなさている。
まず間違いなくあの男の娘服屋のニーナの作品だろう。
「これからこの3人と戦ってもらう、当然だが命や障害が残るようなダメージの攻撃や魔法は禁止とする。それ以外は実践だと思って存分に戦ってくれ。なぁに危険があれば私が責任をもって止める。」
確かに俺もタルの今の実力を知りたかったところだが、まさか3体1でしかも一人は女性って…羨ましすぎる!!
俺なら、まず男二人を秒殺して、女の子とゆっくり楽しむところなのに!!
「この3人は、少し前に入団したばかりだが、強さは冒険者言うC程度に該当する。3人もCランクがいれば上級クエストであるランクBのクエストも受けられる、それぐらいの実力者だ。そんな彼らとどう戦うのか見てみたい」
見てみたいと語尾だけ見ればお願いのようにも受け取れるが大将が、いった言葉は全て命令だと思わなくてはならないほど手際よく準備されて、椅子から立ち上がるのは拒否していたタルは見兼ねた兵士によって捕まり、広場へと降ろされた。
正直本当に申し訳ないと思ってます!できる限り更新スピードを上げますのでよろしくお願いします!!




