17話〜破壊の聖母と試される男
2200PV行きました!!
いつも見てくれている皆様ありがとうございます。
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名前:スタイン
称号:破壊する者
魔力量:2500
スキル:闘神(A)気合い(S ) 魔力変換(A) 豪腕(S) 戦闘狂(A) 破壊(B)
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名前:マリア ♀
称号:破壊の化身
魔力量:10000
スキル:闘神(S) 破壊(A) 肉体強化(B) 直感(A)
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「えっと…なんか脅されてるとか、弱みを握られているとかではなく?」
目の前の少女を嫁だとかと言う、ふざけた筋肉野郎と可憐なる金髪美少女は一瞬キョトンとした顔をするが、怒ったりすることはなく。
「がっはっは!この俺がそんな女々しいことをするわけないだろう!それにアプローチをしてきたのはマリ「余計なことは言わなくていい!」がふぅっっ!!」
スタインが豪快に笑いながら照れると言う少し器用なことをしながらノロケ話でも始めようかと言うところで、凄まじい速さと威力の膝蹴りがスタインの顔面を弾き飛ばした。
推定体重120キロくらいはありそうな重量級のスタインだが、そんな重さも感じられないほど軽々と吹き飛び、広場を囲っていた木々のうち、結構太めの大木に直撃するとたやすくその木をへし折ってしまった。
その明らかに違和感を覚える光景に俺たちを開いた口をふさぐことはできなかった。
「そうか、そうか!登録試験か、邪魔して悪かった。スタインは私の夫だ、豪快で雑な奴だが悪い奴ではない、さっきの見て信じられないかもしれないが、結構強いからな」
とスタインのことを話すと、顔面が少し凹んでいる以外は、そこまで大きなダメージはなさそうな筋肉野郎はニヤついているように、口角を上げていた、随分と嬉しそうだ
「ところで、」
と俺が視線で、先ほどまで金髪美少女、もとい豪腕のスタインをも吹っ飛ばしたマリアさんを囲んでいた男たちへと向ける
「あぁあいつらは、私の部下だよ」
「アズシン軍大佐、通称”破壊のマリア”それが妻の肩書きだ。」
「非常に不服な異名だけどね」
スタインが軍の上層部と強いつながりがあるって言ってたのはそう言うことか。
あれ、ゼグサは…
「大丈夫ですか?」
「結構やばいのであーる」
タルとサリアさんが、スタインが吹っ飛んだ後衝突した木のところへと向かっており、そこにはボロ雑巾のようになったゼグサがいた。
だがサリアさんはの服装的にあれだけ前かがみになるととんでもない絶景が見えているので、俺は心配しない。
むしろかわれ!
「ではそろそろ始めるとするか!」
「そうね、あんたがうちの旦那に勝てるとは思わないけど、登録試験は勝つ必要がないからね、気負わずにやんな。」
美少女なのに言葉遣いが男前で、でも表情は少女のように爽やかな微笑みを見せる。
だが、その瞳にはすぐに鋭く、百戦錬磨の軍人そのものといった顔つきになり
「でも、そこのべっぴんさんとは一度手合わせ願いたいな」
そういって視線を向けた先には少し退屈そうにしていたミリュだった。
「アタシと戦いたいの?」
「そうね、どうしてこんなところにいるのかって言うくらいの圧倒的に強さをあんたから感じるよ。別に本気でなくてもいいから一度ね?」
マリアの提案に対してミリュが面倒だなぁという表情をみせるが、なんとなく美少女VS美女の一戦に興味があった
「別にいいじゃないか、お前の強さも見て見たいし。」
「そう、ならしっかり見ておくことね、これからずっと一緒にいるんだから」
仕方ないなという顔をしつつも、少しだけ乗り気になったのか体の魔力が少しだけ体表面に集められる。
俺のやった魔装…と言うか自身にやるときは魔纒と呼ぶべきか。
それを見よう見まねっと言った感じだ。
だがそれでもずっと強くなったのは、見た感じと周りを囲う雰囲気でわかった。
「だ、だが今回はケンヤの登録試験が優先だ、悪いがその後でも問題ないか?」
スタインはそれを本能で感じ取ったのか、声と喉を震わせて声をかけた。
すると充満していた何かかが消え去り、マリアさんが耳元で早く終わらせてねみたいなことを言っていた。
その声で、再び本調子にもどったのか単純なスタインは大きく息を吸い込んだ
「これより、狩人の登録試験を始める!!試験の合否は俺に一任されている。よってひとまず俺の攻撃を受けきれる、もしくは避けれるような実力があればひとまず合格とする。その後も少しばかり手合わせをしたのち、狩人としてのランクを決める。ちなみに俺が与えられるランクはAランクまでだ。質問はあるか?」
「いえ、ありません」
「そうか!なら始めるぞ!!」
先ほどまでのグダッとした感じはなく、スタインの放つ真剣な雰囲気は俺の気持ちさえも引き締める。
ミリュの方が強いとわかっているのだが、きっとミリュにはこの雰囲気は出せないだろう。
おそらく何度か戦い人を殺した者だけが持つ雰囲気。
濃密なまでの殺気をまとっている気がする。
スタインの構えは両の拳を肩よりも上に上げてより大きく見せるカマキリのような感じだ。
それに対して俺は、とりあえずボクサーのファイティングポーズのようにする。
「合図は私がやろう」
俺の構えが完了したことを見ると、マリアさんが通る声で叫んだ。
俺とスタインは目をそらさずにほぼ同時に首だけを動かし肯定をする。
「いざ、尋常に…はじめええぇぇぇ!!!!!!」
気づけばスタインの拳は巨大になっていた
いや、それほどまでに近づいていた
あの一瞬でか!!?見えなかった、俺が?
能力値が上?いやいや、関係ないのか、避け…無理だな…
受けきる!!!
額で!!
命の危険を感じたのか、一瞬知覚速度よりも早く接近していたスタインの攻撃が当たる直後に加速した思考が時を止めたように感じた。
スタインのバカみたいにでかい拳は的確に俺の顔面を狙っており、込められた力はどう見てもグレートボアを一撃で葬り去れるような感じだった。
すでに奴の魔力はほとんどなくなっており、スキルにあった”魔力変換”によって身体能力を向上させているようだった。
ゴッ!!
鈍い音が響くが、どちらも大したダメージにはならなかったものの、俺の額からは一筋の血が流れ落ちた。だがそん傷も少し経てばちはあっという間に固まり、傷口の修復も始まる。
想像以上の攻撃速度と威力はきっと魔力変換と闘神のスキルによる者だ。
だが奴のもつ独特の雰囲気は決して俺には出せない経験の差というもの。
俺の視線の動きや体のどこに力を入れているのか、それを瞬時に直感的に見極めて隙をつかれたのが先の一撃をかわせなかった原因だろう。
「今の一撃を耐えるか…なら前言通り、登録試験を合格としよう。ならば次はランクを決める、全力でこい!」
先ほどの不意打ちに近い攻撃は、俺の最低力量を見極めるものだったのか
次はと言って、構えたまま攻撃のそぶりを見せないスタイン。
俺からの攻撃を待っているのだろう。俺とは違い意識の全てが俺の行動全てを捉えようとしている。
だけど…無意味なんだよな
威力よりも速さを優先するために腕ではなく足に魔纏を行い駆け出す。
湖でミリュに言われたことがあったので相当手加減して魔力量20000くらいにする。
しかしその脚力は俺の想像をはるかに上回り、地割れが起こり気づけばスタインに体当たりしていた。
直撃の瞬間、俺の目の前にはスタインの顔面があり、あと数センチずれていたら俺は自らの唇を切り離す覚悟をするところだった。
音速にも近く加速された、人間ミサイルの衝撃は相当のもので、構えていたスタインの体を吹き飛ばすことは叶わなかったが10メートル以上も後退させた。
そして仁王立ちしていたスタインはあまりの一撃にそのまま気絶して倒れてしまった。
「だい…じょうぶかな?」
俺自身もダメージで少しだけふらついてしまったが、それを直撃したスタインが死んでいないか不安になっていた。
まぁ男が死のうが問題はないのだが、それによってマリアさんが悲しむのは相当に心苦しいし、罪悪感で死にたくなる。
「大丈夫、大丈夫。あれぐらいじゃ死にやしないよ。それにしてもあんたの実力を見誤ってたね、よければ手合わせしてもらいたいけど」
と冗談か本気かわからない表情で言ってくるが、それは叶わない。
なにせ俺は女性とは戦えないからね。
「がっはっは!!よもや負けてしまうとは、俺もまだまだ精進が足りないようだ!」
ちゃんと大丈夫だったようだがダメージのせいか、声は少し小さめ。
だがスタイン特有の豪快そうな笑いはそのままだった。
「それじゃあ、俺はお前の登録申請してくるから」
「あんたは見ていかないのかい?」
足早にスタインは建物内に戻ろうとするのをマリアさんはちょっと眉根を下げて引き止めた。
「負けて恥ずかしいんだよ、それにお前が負けるとは思わないからな。」
「…」
再びスタインは冒険者機関の建物内に向かい中へと入って行った。
それを無言で見ていたマリアさんの表情は少し照れているような感じに見えた。それだけで、あぁこの2人はお似合いで愛し合っているのだなっと思った。
「それじゃあ、私たちもやりましょうか?」
「そうね、アタシはケンヤほど甘くないわよ?」
「ふふっまだ荒削りで力を使いこなせてないようだったけどね。半分くらいの力って感じかしらね?」
マリアさんがこちらに向きミリュに申し出る。その際ドヤ顔でミリュが対抗する。
だが、やはり経験によるものなのか俺の動きを見てステータスの面ではスタインと大きな差があることを見抜かれたようだ。
「いや、多分2%くらい…」
のはず、なにせ全力は魔力量100万全てを魔纏に費やすことだ。ミリュの水 の 傀 儡 を倒した時でも30万くらいだったから、俺自身も全力がどれくらいかわからないからな。
「ってあれ?どうしたんですか?」
周囲を見回して見ると、タルとゼグサの2人はもう知ってたみたいな顔をしており、他は全員揃って唖然として口を大きく開けていた。一度俺の本気を見ていたはずのミリュまで驚いていたのは意外だったが
「あんた、一体なにものなんだい?」
驚きのまま俺に聞いてきたマリアさんに対して、異世界人と答えられない俺は
いつも通り
「正義の味方です」
とだけ答えた。
すると、マリアさんはもう一度微笑むと、少し距離をとって、ミリュと戦うのに必要な距離をとる。
それをみた俺たちは、ミリュを残して周囲を20メートルほど開けて囲った。
マリアさんの下っ端らしき軍人も同じような感じで直立のまま2人を見ており、これから起こる戦闘の一瞬も逃さないような覚悟を秘めた目で見ていた。
それはゼグサもタルもサリアさんも同じで、その3人は揃って腰を下ろしていた。
どちらかといえば、ゼグサは軍人側なのだが、マリアさんが戦っているのに自分は座っていていいものなのだろうか、と上下関係がどうなっているのを疑問に思いながら、俺も腰を下ろした。
俺自身のダメージはとうの昔に消えており、使用した魔力もほとんど元どおりになっていた。
なんとなく感覚的だが少しだけ回復する速度が上がっている気がした。
周囲は木々に囲まれた、冒険者機関所有のこの広場。その中心に5メートルくらいの間合いを開けてたつ美女と美少女、二人とも構えという構えはないのか、自然体のままで対峙する。
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