15話〜Cカップの美女と入国した男
初の感想&評価いただきました!ありがとうございます!
1500PVも超えてめちゃくちゃ嬉しいです、これかも不定期更新ですがよろしくお願いします!!
「ここが…アズシン国」
遠目では銀色のようにも思えた巨大な石造りの壁は見る限り1キロは続いているようだった。
高さも結構あるのだが、その外壁よりも10メートル以上はでかい建物がいくつも並んでいるのが確認できる。
そしてちょうど馬車に揺られて歩いてきた道とつながる場所に、巨人が通るのかと思えるほど巨大で重厚そうな木と鉄で作られた扉があった。
「止まれ!」
さらに近づいていくと、キビキビとした若い男の声が響いた。
それに反応して、サリアさんが馬の動きを止める。
馬が止まるときに生じる慣性がより大きく揺らすことを俺は忘れていない。
「ご苦労であーる。私だ」
先に馬車を降りたのは、バーコードハゲを四角い帽子で隠したゼグサだった。
そしてその帽子には、小さな黄色い宝玉が3つ縫い付けられていた。
「軍曹長でありましたか!お勤めお疲れ様です。」
門兵が一目見て名前ではなく階級を告げたところから、あの宝玉は階級を表しているのだろう…
「この者たちは私の手下であーる」
ゼグサが久々に偉そうなそぶりを見せながら、俺たちの方へと視線を送るっていうか
誰が手下だ?こいつは後でシメる必要がありそうだな。
そんな殺気を込めていると、ゼグサが少しだけ引きつったような表情をした。
「ですが決まりですので、身分証の提示をお願いします。」
てっきりサリアさんは国の中に入らないものと思っていたが、一緒に身分証を提示していた。
「確認した。今回はザグサ軍曹長の紹介ということで通行料は免除とする。だがそちらの2人は身分証を持っていないのか?」
「ぼ、僕はムロメ村から入隊希望で参りました、タルと申します」
そういって視線を送る先には、アズシン国に初めてきたことによる、緊張で目が泳ぎまくっているムロメ村の少年タルと
水色の髪をショートボブのように短く切りそろえ、鋭くつり上がった瞳の中は、エメラルドのように輝いる美人がそこにいた。
真面目そうな青年さえも、見惚れてしまうほどの美人。
胸の大きさはCぐらいなのだが、まるでモデルのような印象を受ける。
というより、明らかにレベルが違うオーラがある
まぁそれも当然と言えるだろう…
だってこいつあの水龍だもん。
「彼女のことは気にしないのであーる」
そう気にしない方が賢明なのだ
「で、ですが規則ですので」
「深入りするとクビが飛ぶのであーる」
物理的にな
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「これは一体どういうこと!?」
全裸の美女が俺に飛びかかってくる。その光景は眼福ものでしかなく、ゼグサは少し顔を反らしながらもその目は確実にその美女を捉え、タルはあまりの刺激の強さに鼻から赤き鮮血を垂れ流しつつも男しての本能から、美女…というかおっぱいから目をそらせずにいる。
「多分俺のイメージを乗せた魔力に体が変化したんだろ…本当にできるとは思わなかったけど」
「どうりで随分大量の魔力を送ってくると思ったら…それにしても龍であるアタシの姿を変えてしまうとは、どんだけこの姿にしたいと思ってたのよ!?」
「いや、もう少し巨乳を想像してた。だけど、Cカップ…俺のイメージ力ですら無理なんだから、多分もうどんなに頑張ってもDにはならない…ごめんな」
「謝る気なんてないくせに!」
顔を背けつつ、「ふんっ」って言ってみせる水龍は容姿も相まってツンデレそのものだ。
「だがうまくいってしまったことで問題も発生している気もするが、その辺はゼグサに一任するとして。服どうしようか」
「あら、気にしてくれるとは思わなかったわ。アタシとしては特にこのままでも問題ないのだけど」
「俺も問題ない。だけどタルがいつまで経っても復帰しないからな。」
そのあと、サリアさんがバッグから出した、紺色のタンクトップをもらいそれを着せる
が、むしろエロい!
ノーブラノーパンで、サリアさんよりも胸が小さい水龍のそれは、少しでも屈めば簡単に横からも前からもチラチラ見えてしまう。
足も水のような透明感があり、その10割がタンクトップの下からしっかり見え。
…それにここにはしっかり、俺のイメージが投影されているのか、ツルツルだ。
このままじゃ、またタルがぶっ倒れてしまうな…
「それじゃあ水龍は…」
「せっかくだから名前を決めてくれない?あなたのせいで人間みたいになっちゃったんだから…」
「うーん…そうだな」
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「随分珍しそうだな、ミリュ」
まぁ、ダークパンサーにヒョウって名前をつけた時のことを忘れていたんだわ。
水龍…もといミリュはそもそも俺の魔力をもらって、底上げされた強さが、さらに名前をつけたことで、さらに強くなってしまっているようだ。
本人曰く、水龍の伝説となったミリュのひいじいちゃんの半分くらいの強さということだ。
本物の水龍ってどんだけ強かったんだろうか。
ちなみに、名前をつけたことによる変化は、体には現れず、結局Cカップのままだった。
「そうね、普通は龍なんて近づいたら街や国は大混乱になるから」
「そりゃそうだな…まぁまず先にお前の服でも揃えるか…ゼグサ買ってくれるよな?」
「こ、断れば…」
何も告げずにニィッと笑ってみせる
「わ、わかったであーる!」
青ざめた顔でおそらく服屋さんの方へと進み出す。
アズシン国の街並みは外から見た通りの感じで、実際に行ったことはないがフランスやイタリアなんかのようなイメージだ。国を囲っていた壁に使われていたような銀ではなく、白っぽく丸みを帯びた石が組み合わさって家の形を成していた。
今通っている場所は商店がメインなのか、扉の横には武器やなら武器の薬屋なら釜の絵が書かれた看板がかけられている建物があった。
扉は開けっぱなしになており、それぞれの店の中からは活気のある声が響いてきた。
「さて、ここなら女性用の服がそろうのであーる」
そう言って立ち止まった店は、どっからどう見てもボロボロで、店としてのていを成していないようにも思える。
だが店内に並ぶのは紛れもなく女性用の服で、素人目に見てもデザイン性に富んでおり素晴らしい出来なのはすぐにわかった。というか…これ
「ところで、どうしてこの店なんだ?服屋なら他にもあっただろ、安いのか?」
「いや、ここの服はどれもかなりの値段であーる。だが女性用の服を置いている店がここしかないのであーる」
ここしかない?だが服屋は他にもあったはずなのに…
あぁ…そういうことか
この国には極端に女性が少ないと思ったが、それは今だけに限ったことではなく女性用の店を作る必要がないくらい女性がいないのだ。
俺の嗅覚が言っている
城にたくさんの女性が集まっている…と
「店主はいるのであーるか?」
ゼグサが店の中に入って声をかける、
店内も外観と同じくらいボロボロだが、1セットごとに並べられている服はどれも綺麗に丁寧に作られており、ゴスロリ系とジャンルは偏っている気がするが、作成者のセンスが見て取れるものばかりだった。
この国でなければもっと大きな店を構えることができるとすぐにわかるほどだった。
そして店の奥から出てきたのは
店に並んでいるものよりも一層豪華なゴスロリ衣装のひとだった
「いらっしゃいませ、ニーナの服屋へようこそ」
服の端をつまんで丁寧な礼をする。
その姿にタルは顔を赤くしている、まったく免疫のないやつだな
だが、ミリュの方は、その店主よりも俺のことを見て驚いているようだった。
「どうした?ミリュ」
「どうしたって、あんなにも女好きのあなたが好きそうな格好、見た目のあの子に一切興味を示さないなんて…病気?」
「いやいや、あれ、男だぞ?いわゆる男の娘」
「「え!?」」
ゼグサはそれを知っていたようで少し目をそらすだけだったが、ミリュとタルは、これでもかというくらい驚いていた。タルはともかくミリュには神眼があるだろうに騙されるとは…
しかし、本当に肌にも体型にも気を使っているようだな
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職業:魔法技工士
名前:ニーナ♂
魔力量:5000
スキル:魔道具作成(A)
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スキルを見ても魔力量を見てもそこまですごそうには見えないのだが…
それでも、並んでいる服は俺の鑑定を通しても一級品だ、きっとそれに対する情熱のなせる技なのだろう
「お兄さんよくわかりましたね、ニーナ少しショックです」
「あーケンヤが女の子泣かした!」
ニーナの潤んだ瞳を見て、タルが反射的に声を上げる。
「悪いが俺は男には厳しい、よってタルを殴る」
当然本気ではないが、タルの頭を小突いた。
「まぁいいや、とりあえずこいつに似合う服を見繕ってほしい、頼めるか?金はこいつが払うから」
「あら、軍曹長様が払われるんですね!ここぞとばかりに高いものを売りつけようかしら?」
金の匂い感じた途端営業スマイルに戻すニーナの商売魂に感心せずるを得ない。
ゼグサは、少し懐に手を当てて一つため息をついた。どうやらもう諦めているようだ。
ミリュは、どういった心境なのかわからないが、ニーナが持ってくる服をみて少し楽しそうであった。
龍として見たときは、そこまで感じなかったが今の状態であれば、普通の女の子に見えなくもない。
まぁ、多分ミリュが暴れれば、龍の時の比じゃないくらいの被害が起こる気がするが…
だが羞恥心というものがないため、その場でマントを脱ぎ捨て始めると、流石に男の娘であるニーナも顔を真っ赤にして、試着室へとミリュを放り込んだ。
「それにしても本当にすごいな、この服に至っては全魔法防御の付与までされてるぞ」
「え、それは本当であーるか!?」
「お兄さんいい目を持ってるね、でも女性用の服しか付与できないから意味ないんだけどね」
「ならこの国から出ればいいじゃないか、どうしてこんな女が少ないクソみたいな国にいるんだ?」
「お前の性格知ってるから何も言わないが、なかなかひどいであーる」
だがそれは本当のことだろう、男だけの国とか何が面白いのだろうか、滅んだところで誰も文句も言わないだろう。絶対そうだ
「それはできないんだよ。私は異世界人の末裔だから、この国から出ることを許されないの」
「異世界人?」
もしかしたらこの店の中の雰囲気とかが、俺がいた世界と少しだけ近い感じがするものそれが原因なのかもしれないな
「そう、彼女(?)は300年前の英雄ターナの末裔であーる。いつか先祖返りをするのではないかということで、国から出ることを許していないのであーる」
「そういうことです」
先ほどまでの明るさをもった表情はどこかに消え、陰りを見せた。
おかしな話だな、国からの命令でここから出れないのに、国の方針のせいでこんな生活を強いられているなんてな
まぁ男だからどうでもいいが…
「どうかしら?」
試着室のカーテンが開いたかと思えば、そこにいたのは、髪色と同じような青系統でまとめられたドレスを着たミリュだった。
ニーナの好みの派手で豪快なドレスではなく、パーティに来ていくようなアフタヌーンドレスににたシンプルなものだ。胸元はリボンで閉じられて露出という点では少し物足りない感じもするが、モデルのような見惚れる美しさは健在だ。
「いいんじゃないか、結構似合ってるよ」
「褒めても何もでないわよ」
「褒めてないさ、本当のこと言ってるだけだからな」
ミリュはまたそっぽを向いて照れたような表情を見せる。
随分人間のようなそぶりをするやつだな…羞恥心とかないくせに
「では合計で金貨13枚です」
「そ、そんなにするのであーるか!!?」
足早に店を出たその後ろで、ゼグサの悲哀が込められた声が聞こえて来た。
これは後で聞いたことだが、軍曹長であるゼグサの年収は金貨20枚くらいらしい。
あまりにも悲しそうな顔をするので本気で申し訳なくなってしまったのは内緒だ。
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