1話〜神秘を追い求める男〜
世界は神秘で溢れている
超能力・魔法・幽霊
非現実なものは全て科学で存在しないと証明されつつあるとても夢のない世界
そんな世界の人口は70億人
そのうち女性の数は大体35億人
…つまり
神秘の数は70億
世界はおっぱいで溢れている
ここは県内でも中間くらいの学力としてある意味有名な共学の県立高校。
スポーツ面でも大して有名なことはなく、生徒の自由を尊重するという校風のいかにも現代っぽい学校
そんな学校に通う俺の名前は 一全 健也
とてつもなく健全な男子高校生だ。
夏真っ盛りの今、窓から差し込む太陽光は容赦なく肌を焼く。
高校最後の夏だ、心に寂しさを残しながらもこの光景を心のファインダーに収めるべく、授業そっちのけで目の前の楽園へと視線をうつす。
周囲からの熱は教室の中に蒸し蒸しとした暑さを作り出す。
その暑さは不快感を生むには十分すぎるもので、それは俺も例外ではなく額にはじっとりとした汗が滲んでいた。
生徒たちは節電をうたった冷房の温度設定に愚痴を垂れているが、俺は寧ろその汗に感謝したいぐらいだ。
学校指定の”白”のワイシャツ
汗のせいで肌に密着する状況
色気付いた年頃の女子の”下着”
これだけ言えばわかるだろう?
そう!!”透けブラ”だよ!
教室の全ての女子の背中を見ることができる
一番後ろの席という特恵!
だが中にはカーディガンという無粋なものを着用している女子がいるが…
そこはまぁ仕方ないか…
ため息をつきながら今度は笛の音がなる校庭へと目を向ける
するとそこには目を見開く光景が窓の外に広がっていた。
これぞ最上階の校庭側に窓がある3年生の特権だ!
直射日光を浴びながら、短距離走を走るのは…2年4組だな
高校2年生といえば性徴期真っ只中ということもあって体つきは徐々に大人の女性といった感じだが、この4組に至っては半数がまだ幼児体型であるという、ある種のマニアにとっては天国とも言えるクラスだが、全員が全員ロリではない。
冬が過ぎて厚手のブレザーを脱ぎ捨て羽化した姿は、見るだけで鼻血が出そうになるほどの進化を遂げている者もいた。
中でもこの2学年では1位2位を争う美人”巨田 乳”、名は体を表すという言葉通りの高校生にしてEカップ!!
美人体育教師”鈴木先生”のホイッスルに合わせて巨田が駆け出す、重いものを身につけている割に速く走る。だが速く走るほどに足から加わる衝撃がたわわに実る双丘へと伝わり激しく揺れている。しかも彼女は陸上部ということもあって走ることに手を抜くことはなく、走りきった後はちょうどこちらを向いて前かがみになり息を整えるのだ。
ここで俺の本領発揮となる
通常3階から校庭を見たところで視力的な問題で人の顔が認識できればいい方だろう。
だが俺は違う!!
女子を見るとき発揮される視力は10.0オーバー
動体視力はプロボクサーのジャブさえスローモーションに見えるレベル。
つまり、俺は強調された谷間をしっかり見ることができるのだ!
さらに時折隙間からはぷるぷると柔らかそうな乳房だけではなく、ピンク色の下着がちらちらと見えてしまう。
まぁ下着まで見えてしまうのは他の女子生徒も同様で…あれ?
幼児体型の生徒たちの中には俺の目をもってしても下着が見えないものがいる
…うまく隠しているのかと思ったがまさか…ノーブラ!?
いくら微乳とは言っても危機感なさすぎだろ!
まぁ周りは女子ばっかりだし、先生も女性だからそうなるのも仕方ない気もするが…ってよくよく見たら小さなさくらんぼまではっきり見えるじゃないか!
いくらロリコンではない俺であっても目覚めてはいけない扉が開いてしまうかもしれない
…
それよりも、だ!
この教室からは、プールもしっかり見ることができる!!
噂によればこの学校の設計は今の校長らしいからな、この配置は絶対に狙っていたであろう。
今度話す機会があれば平身低頭で感謝を述べたいところだ。
そのプールには今、男の視線を全て寄せ集める学園のマドンナ的存在の女子生徒がそこにいた。
25メートル泳ぎきって、梯子のようなものに登りプールサイドに上がると、キューティクルで天使の輪を作る艶やかな黒髪からは水が滴り落ちる。その姿でさえも絵になってしまう。
顔立ちは女優並みで締まりのいい体に、巨田 乳ほどではないにせよEカップに迫りそうな大きな胸、安産型と言われるようなおしりという、神々しいまでの見た目からあだ名は”美神”と呼ばれる彼女の本名は”神沢 美奈”で、所謂俺の幼馴染だ。
まぁ幼馴染といってもそこまで深い関係ではなく、ほとんど腐れ縁のような感じだ。
だが、幼馴染といえども女子は女子、俺は関係や肩書きくらいで女性の扱いを変えるつもりは無い。
持ち前の視力をフル活用して見つめる。
ちなみに好みで別れるかもしれないが、この学校には指定の水着、所謂スク水というものがなく、皆思い思いの水着を着用しているため、中にはかなり露出の高い者もいたりする。未熟な小さく微笑ましい太陽から、美奈のように大きく輝く太陽、
うん…サングラスがなけりゃ失明しちまいそうだ。
スパァアン
うんうんと頷いている俺の頭上で教室中に響くような快音が鳴り響く。
乾いた音とは裏腹に俺に与えられた衝撃は結構なものだった。
「っった!!」
俺の口からは自然と痛みを訴える言葉が出る。そばには人の気配がありそちらの方を見た
!!?え?
「ちょっなにこのゴリラ?動物園から脱走!?やべぇじゃん!」
「やべぇのはお前の方だろうが!一全!!俺の授業を上の空でききやがって!」
え!?なにこいつこれで先生なの!?たしかにワイシャツにスラックスだけど…っていうか
「ゴリラ先生!!これは立派な体罰ですよ!僕はただ健全な男子として女子生徒を視姦…もとい拝見していただけです!これのどこが悪いんでしょうか!?」
俺は胸に手を当てて、心からの叫びを高らかに宣言する。
周りの目?いやいやその程度で俺の信念が揺らぐわけがないだろ
「全部だこのド阿呆!!」
再び俺の頭部に丸められた教科書が振り下ろされ
本日二度目となる快音と衝撃を教室内に響かせた。
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校内にチャイムが鳴り響きそれを合図として各クラスから徐々に活気が溢れてくる。
仲の良い生徒同士で机をくっつけたりして昼食をとっていたり、購買部に行ってパンを買ってきたりしている。しかし…入学当時からこの学校には動物が多い気がするな…
っていうかさっきのゴリラに殴られたところがまだ痛いな…
「かぁあっ!あのゴリラめ、おもクソぶん殴りやがって!俺じゃなきゃ体罰で訴えられてクビだぞ!」
ズキズキとする頭頂部を抑えながら机に突っ伏しながら叫ぶ
すると
「「きみ以外にあんなことする人は絶対いないと思うけどね」」
同じような声でセリフが重なって聞こえてきた
これは、と思い顔を上げると
「楓と桜か…どうした?俺に用事か?」
声の主を見ると普通の人には見分けがつかないほどそっくりな二人の美少女がそこにいた。
同じクラスの”秋野 楓”と”春野 桜”だ。少し赤みがかった茶髪を後頭部で結った、所謂ポニーテールの髪型に、童顔でぱっちり二重で奥行きのあるライトブラウンの瞳は、人の目を引きつける魅力がある。それらを踏まえた彼女らの評価は『愛され系美少女アイドルユニット』といった感じで、ファンも隠れファンもおそらく学校1位の人気ぶりだ。
そんな美少女が俺に一体何の用だろうか、なんだか悪巧みを考えた子供ような笑みを浮かべているな。
「「えへへ、今日、私たち髪飾りを忘れちゃったの!」」
実は彼女たち楓と桜は双子では無いのだ。
入学当初はまぁ美少女であったのだけど、髪型や仕草、好みなんか二人とも似ても似つかないほどバラバラだったのだけど、二年生半ばにはお互いの趣味や好みなんかが何もかも全部うつってしまったみたいで、その頃から区別がつきにくくなってきたらしく、同時期から色々勘違いが生まれてしまいそれからは、楓はもみじをモチーフにした、桜はさくらをモチーフにした髪飾りをつけていたのだ。
それがなければ普通区別をつけることができないだろう。
「へーそれで?」
俺の言葉を待ってましたかのようなタイミングで二人は口を開く
「さて健也くん!」
「質問です!」
「桜はどっちでしょう!?」
「そっち」
交互に喋りながら楽しそうにクイズを出してきた美少女二人の期待を裏切るように、少しの間もおかずに答えてやった
「「えぇ!?うっそ!当たっても偶然とかだったのに、的確に当てるなんて」」
「むぅーさすが健也くんって言いたいところだけど」
「ちょっと悔しい感じだよ!」
「でもどうして私が桜だってわかったの?」
美少女二人が顔を近づけて、ちょっとふくれっ面で問いただしてくる。
ふぅ…全く俺が健全男子高校生の鑑ともなる男子だったからこそ平静を保って入られたが、普通の変態男子なら血圧上がってぶっ倒れるところだぞ、全く…
やべ、鼻血でそう
「簡単だ!」
俺は机からノートとシャーペンを取り出して、楓と桜の二人を簡単にさらさらっと全身の絵を描いてみせる。ぱっと見そっくりなのだが、よく見ると区別をつけられる箇所が割とたくさんあるが…
「「え?これ私たち?健也くんって絵上手いんだね?」」
「まぁな、色々な諸事情でうまくなったからな。それよりもここに注目してほしい」
とシャーペンのノックする側で胸の部分を指し示す。これを実物の方にやれば誰がどう見てもセクハラ不可避だからな。
それぐらいの常識はわきまえているからな、紳士だもの
「桜の方が胸がでかいんだ、トップとアンダーの差が楓は13センチで、桜が14センチだ。もっと正確に言えば桜のほうがアンダーが1センチ分細いんだな」
さっきまで活気にあふれていた教室が一瞬にして凍てついたように静まり返った
まぁ当然といえば当然だろう、この高校最大のファンクラブを持つ美少女ユニットだからな、クラスの中の男子はもれなく会員だろう、そうなれば当然二人の個人情報、しかも胸のサイズなんか国宝クラスの情報だろうな。
「「健也ってやっぱり変態だね」」
二人して同じ顔で胸元を隠すようなそぶりで、睨むように目を細めてくるが、顔が可愛いので威圧感とかはない
「急に呼び捨てになったな…まぁいいが、ほかにも髪の毛の質感が楓の方がしっとり系で平均心拍数は桜の方が早いぞ?」
「普通の男子ならかなりドン引きして二度と近づきたく無いところなんだけど」
「健也だとなんでか許せちゃうんだよね」
「ふっふ!それは俺が超絶的なイケメンだからではないか?」
「「それはない!」」
と最後の最後で二人からのツッコミを受けることになった。
そのあと二人はまた別の人にさっきと同じクイズをするのか教室をでていった。
それを見送ると、クラスの活気は徐々に戻ってきた。
あ、ちなみに俺のお昼ご飯は
なにかを模したかのようなお椀型のような半球形のふわふわもちもちとしたパン二つと牛乳だ!
健全だろ?