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雪の降らない冬の街中で  作者: 鯣 肴


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第十五話 見守った訳 前編

 これは――僕の視点じゃあ、ない。


――遠回しな告白から数時間後、二人以外の者たち、某所ファミレス――


「いやぁ、ほんと、よかったよ」


 ぽろぽろ。事の首謀者こと、馬引は嬉し泣き。


「そうよねぇ」

「そうねぇ」


 立子と冬美もそれに頷く。しんみりと、ほっこりと微笑んで。微笑ましいものでも見たかのように。そして、その通り、二人も、対面の一人も、つい先ほど、そんな微笑ましいものを見たのだから。


「上手くいくのは分かってたけどよ。けどよぉ。それでも本当に、よかったよ」


「そうよねぇ」

「そうねぇ」


「これで少しでも、恩は返せた、かぁ? なぁ?」


「ええ、きっとね」

「そうに違いないわ」


 三人はそれぞれに思い出す。こってこてなお膳立て。各々、二人から話を聞き出して、どうにかしてやりたいと考え、そんな三人で腹を割って話し合って、同じことを皆考えていたようで、だからこそ、綺麗にやれたのだろうと三人は思う。






「雪ちゃんをすっぴんであいつの前に突き出させたのは本当、よかったと思うぜ。ダメになるかも知れないが、後を考えると結局隠し事なんてもんは無いほうがいい。それが大きなもんであればなおさら、なぁ」


 そう、馬引は、対面の二人を見る。


「ほんとそう」

「開き直りってほんと大事」


「それと、受け入れてくれること、だよな」


「あの子たちは私たちを変な目で見なかった」

「それも、最初から。あっ、そうなんだ、って感じで自然に受け入れてくれた」

「そんなこと今までなかったものねぇ」

「ねぇ」


 ウンウン、と自分が言われた訳でもないのに、得意げに馬引は腕を組んで頷く。そして、


「あいつは俺の自慢の親友だし、雪ちゃんはあいつととても合いそうだった。根っこが似てるような気がしたって感じかな? だから最初、無理やりくっつけようとしたんだが、何か違うなぁって。お前らもだいたい似たような感じだったよな?」


「えぇそうよ」

「雪ちゃんとの付き合いは浅いけど、あの子、私たちを女の子として最初から扱ってくれてたし。言い出す前からいきなりよ」

「驚いて聞いてみたらね、『なんだかそれがとてもしっくくるからよ』って、言うのよあの子」

「不思議な子よ。けど、とっても優しい子」

「けれど、そんな自分に自信が持てない子。化粧のこと、すぐに分かったわ」

「恐らく、夏は越えられないだろうなってことも」


「流石にあいつが鈍いとはいえ、流石にそのうち気づくんだろうなって思ってたが……、急に雪ちゃんの化粧、無茶苦茶上手くそつなく自然になってたの、お前らのお蔭か」


「えぇそうよ」

「ふふそうよ。けど、貴方も色々やってたでしょ?」


「あぁ。あいつが暴走しないようにな。あいつ、臆病な癖して、煩悩に溢れてるからな。それも、ちょっとこじらせた気持ち悪い系の。女に幻想抱いてる感じの」


「あぁぁ~」

「そうねぇ~」


「雪ちゃんの前に出るときには、『嫌われるぞ』って言って釘させてたからいいが、俺と二人でいるときなんか、あいつ……、将来雪ちゃんと付き合って、結婚して、それで、とか、……。はぁ、今思い出してもきっついわ」


「よく手、出さなかったわよねぇ」

「ねぇ」


「あいつは本当に臆病だからな。自分に自信が無いんだよ。だから、手を出すことはない。だがよ、気持ち悪いことをぽろっと口走るなんてことはいつあってもおかしくなかった。まっ、そんな心配は要らないだろうがよ」


「またまたぁ~」

「何となくわかってたでしょ~」


「まぁな」


「過保護過ぎない? って思うけどねぇ」

「ブーメランよそれ」


 そうやって、三人は楽しげに笑うのだった。

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