プロローグ
いつまで続くかは分かりません
宝玉の光は、全てを浄化し消し飛ばす。
一つの命も、一つの大地も、その大いなる輝きの前では等しく塵に同じだ。
その輝きを宿す大いなる龍は、聖なる光輝で全ての天地を焼き払う。
己が生命を惜しむならば、宝玉に映し出されぬ事を祈る他ない
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「えー、今から20,000年前、高度な文明を持っていたシュラ王国はこの宝玉によって滅ぼされた」
彼は大きなあくびをしながら空を見上げている。
「さて、ここで問題だ。皆方、この宝玉の名前はなんだ?」
彼はそのまま居眠りを始めた。
だが、
突如甲高い音が鳴り響き……
空から幾本もの光柱が辺り一帯に次々と降り注いだ。
大気も、大地も、建物も、その光に灼かれたものは全て一瞬で跡形もなく消え去った。
「まさか……に、20000年前の……宝玉龍か……!?」
「お、落ち着いて下さい!」
「あ、ありえねえよ!宝玉龍は腐の森林に封印されてる、それち300年前からロトヒトロは守護結界も張られてるんだ……あり得るわけ……!」
そう、宝玉龍の復活などありえるわけが無いのだ。だが、目の前で起こっている事態は、シュラ王国をも数刻で消し去った『珖災』と呼ばれる出来事とほとんど同じだった。
何故こんなことが突然起こったのか。呆然としていると、自分達の周囲に神々しい粒子が舞い上がり始める。
それが意味する事は、皆分かっていた。
だが、その場にいた全員が思い描いた結末は、大きく外れることとなる。
「……復元、範囲確定、レイド120%充填……!」
何かの詠唱と思わしき言葉を並べ、手を天に翳す人物がそこにいた。
「守護宝陣」
その呟きとほぼ同時に、珖災が周囲に降り注ぐ。
万物を浄化する光の奔流は、大きく展開された魔法陣に動きを止められていた。
皆が呆気に取られていると、その魔法を放った人物が振り向きざまに、
「何やってるの!?私が止めてる間に早く逃げなさい!!」
とごもっともな怒声をあげた。
見れば、声の主である少女の腕は魔法の反動でか、もう既にズタズタに引き裂かれていた。
それでようやく気付いた生徒達は、一目散に部屋を出ていく。
ただ一人を除いて。