出てくるのは嘘ばかりで
私は今悩んでいる。
そう、手紙のこと。
死んだわけではないので、
書きづらいのだ。
どうしよう。
愛してるは重い?
好きは軽い?
普段言うと
緊張する言葉。
なのに、
最後の手紙となると
軽かったり重かったりする。
凄く大事なもの。
印象に残るように、
笑ってくれるように。
「よし。」
一生懸命考えて、
いざ書こうとした時だ。
「あ、あれ…」
利き手が思うように
動かない。
文字が歪んでいく。
何でなの。
いつもそうだ。
やりたい事があった時、
やらなくてはいけない時。
自分の中の何かが拒んで
結局何もなしに終わってしまう。
だめだ。
お願い。
今回だけはどうしても。
震える手を支えて書く。
そんな私を笑うかのように
光が差し込んできた。
悔しくなって
カーテンに手を伸ばす。
ふと、窓を見ると
反射した自分が映っていた。
必死で、手を支えている姿。
「あ、ああ…」
変わってしまった。
自分の醜さに泣いた。
涙を止めようとしたけれど、
止まらなくて、
辛くて、情けなくて。
馬鹿みたいだ。
すると……
「コンコン」
ノックの音がしてきた。
手紙を布団に隠して、
「どうぞ」
と返事をした。
開いたドアの先には彼の姿。
電話をした時、
病院の場所を教えたような…
お見舞いに来てくれたのかな?
彼は私の姿を見たあと、
「風邪、こじらせすぎ。」
と笑った。
バレてはいないみたい。
「うん、確かにね」
嘘つきな私が言った言葉に、
彼は安心したようだ。




