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毒を吸って、吐き出して
プルルルル…
プルルルル…
静かな病室に
電話の音が響いた。
私のスマホから鳴っている。
この番号は…
少し戸惑ったが、
出ることした。
「もしもし。」
「もしもし、千夏?」
彼だ。
彼とは遠距離で、
なかなか会えない。
そして私は、
病のことをまだ
伝えられないでいる。
「今どこ?」
「今は家にいる…」
彼にはじめて嘘をついた。
でも。
「…嘘でしょ。」
「え、なんで…?」
簡単に見抜かれてしまったのだ。
騙せたつもりだったのに。
離れたくない。
もし、知ってしまったら…
「声が変…話してみて。」
「え、えっとね。
風邪をこじらせて!
入院してるの…!」
私はもともと体が弱くて、
入院が多かったから、
それを理由にしてしまった。
「なんだ、よかった。」
ああ、
この世の中の毒を吸う。
吐き出すように嘘をつく。
ごめんね。
あなたとの日々を
無駄にしたくなかったの。




