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海と君の命の欠片
部屋を駆け出した。
走ってたどり着いたのは、
冷たいあの無人駅。
僕は一人
ベンチに座った。
小さな花を摘んで。
青い絵の具で空を描き。
気がついたら、もう夜。
ベンチを立ち上がった。
駅の線路を
歩いて着いたのは海。
君がいなくなった。
だから僕は、
思い出さないように、
ぼんやりと過ごしていたんだ。
でも、でも
広がるのは青、蒼、碧…
君の好きな色。
君の幸せの色。
君と過ごした色。
そんな青ばかりだから、
どうしても。
目の前の景色を、
無視できないんだ。
忘れられる訳がないじゃないか。
涙が溢れ落ち、
海に消えてなくなって。
青色に飲み込まれてしまった。
この世界には、
君の命の欠片が多すぎる。
ふと顔をあげたら、
海は深く、
月明かりに照らされて、
光っていた。
綺麗だ。
思わず見とれて足を浸かる。
水面に写った星が、
また僕の瞳に写った。
君の命も、
どこかに繋がっているんだろう。
「また会いましょう」
そう、聞こえた気がしたから
僕はあの空へ向かって笑った。
ねえ、
紙飛行機ってさ。
折り方しだいで、
どこまでも行けるんだよ。
君に送ります。
紙飛行機を送ります。
僕の事を見ていて。
小さくて、惨めなこの僕を。




