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君のリンゴが赤いとは限らない
細い手足。
白い肌。
赤い頬に唇。
君は白雪姫のよう。
毒リンゴを食べた
白雪姫が、
運命の王子様のキスで、
生き返った物語の最後。
物語はすばらしく。
でも時に恐ろしい。
現実はそんなに
甘くはないはずなのに、
幸せな夢を
見てしまうからだ。
ああ、
あなたは美しい。
キスをして目覚めるような
夢であればよかったのに。
病院のベッド、
彼女の読んでいた白雪姫。
その物語が
ずっと僕を。
こんなにも好きなのに、
助けてあげられなくてごめん。
顔を濡らしていた僕に
「大丈夫だよ。」
たった一言、
小さい声が聞こえた。
大丈夫なんかじゃないでしょ。
苦しいよね。
辛いよね。
心配させてごめん。
「無理しないで。」
顔をうつむかせ、
そうやって
言うことしかできなかった。
あぁ、本当に僕は
ダメなやつだ。
大切な彼女を
連れていかないでください。
僕の幸せを、
奪わないでください。
魔法使いの呪文さえも、
神様には叶わない。
世界はきっと、
ハッピーエンドだけではないんだ。
僕と君の育てたリンゴは、
かじれないほど固い、
青いリンゴだったから。




