お嬢さんはじゃじゃ馬でした!!
早いところ俺TUEEEをさせたいものです。
お気に入り登録ありがとうございます。
「ここが私のお家です!どうぞ!」
連れてこられたのは大きなお屋敷。もはや城と言っても過言ではない。
「お帰りなさいませお嬢様。そちらの方は?」
そういいこれまた綺麗の装飾のされた鎧姿の男が言ってきた。
「こちらの方は私が暴漢に襲われているところを助けてくださったのです。
今日この街に来たばかりで宿もとってないそうなのでお礼もかねて家で一泊してもらおうかと思いまして。」
そういうと騎士はすこし汗を流し
「そうでしたか。それでは旦那様にこのことを先にお伝えしてきます。」
そういい騎士さんが手招きをすると庭のほうで警備をしていたもう一人の騎士さんがやってきた。
「そういうことだから旦那様に先にお伝えしてきてくれ。」
「わかりました。」
要件を告げられた騎士さんは颯爽とその場を去っていった。
「さぁ、グラノラさん!お家の中へどうぞ!早く家族にも紹介したいです!!」
中はやはり貴族らしく意匠が施された家具や家具などがある。
しかし胃もたれがするほどの華美なものではなく見ていて良い感情の浮かぶ程度に抑えられている。
実に趣味が良い。
「どうですか?気に入っていただけましたか?」
そう言いながら奥から一人の男性がメイドと先ほどの騎士2さんを引き連れてやってきた。
「素晴らしい美術品です。並びあう美術品同士の調和も良い。考えられた空間ですね。」
その言葉を聞き男性は頬を緩ませた。
貴族の多くは自分の財力やその美術品を集めるために動かす駒の多さを知らしめるため多くの物を飾る。
しかしこのクエンス家はそうやって己のすごさを表しつつも美術品を美術品たらしめている。
「気に入ってもらえて何よりですよ。私の名前はルイエ=クエンス=マルリオです。
この街を治める貴族ですが娘の恩人ですしマルリオと呼んでください。」
「ご丁寧にどうも俺の名前はグラノラと言います。娘さんが大事に至らなくて何よりでした。」
そうして二人は微笑みあった。
~食前の会話にて~
「それではお客人としてどうぞ今日は泊まってください。もちろんお食事も一緒にどうぞ。」
そういって客間に連れていかれた。
「お言葉に甘えさせていただきます。それにしてもマルリオさんは気さくですね。」
するとマルリオさんははにかんだ顔で
「そうですね。あまり偉ぶるのは得意じゃないんですよ。いきなりなめた態度をとられましたらそれ相応の対応しかしませんけど、ちゃんと礼儀のある方にはこちらも礼儀をもって接するようにしてるんです。
それはそうと、家の娘が助けられたというのはどういったことなんですか?」
そう言いマルリオさんはこちらを品定めするかのような顔でこちらを見てきた。
といか、娘を助けたことが本当かどうか確認せずに家に居れたのかよ。
エリンの様子から嘘じゃないってわかったんだろうけど。不用心だなぁ。
「俺は今日この街に着いたんです。来る途中に荷物を捕られて、その中に身分証も入ってたので門のところで新しく身分証を作って貰ったんですよ。それからギルドへの道を尋ねて大広場まで出たところでエリンちゃんが筋骨隆々なおっさんに肩がぶつかって折れたなどと絡まれておりましたので助けが必要か聞いたところ、助けてくれ。とのことでしたのでその男が彼女に暴力を振れないようにして見回り中の騎士さんに引き渡したんです。これが彼女との馴れ初めですかね。」
その話を聞いたマルリオさんの表情は能面を思わせるほど静かなものになり怒気をはらんだ声で
「エリン!!また一人で街に行ったのか!あれほど誰か大人と行動しろと言ったのに!
罰として明日と明後日は勉強の時間を2倍だ!」
そういわれて見るからにエリンは落ち込んだ。
「だって退屈でしたもん。」
そう言ううと彼女は泣き出した。
「だから行っても良いが今回のように有事の際に誰かが助けてくれるとも限らん!だから一人で行ったということに怒っているんだ!別にお前のことがキライだから怒ったり勉強をさせているわけではない。
お前のことが大好きなんだ。だからもしものことがあったら嫌なんだよ。お前はお父さんのことキライかい?」
尋ねられエリンは赤くなった目を擦った。
「嫌いじゃないです。私もお父さんのこと大好きです。」
逆に大好きと言われマルリオさんの頬が緩んでる。怒ってる最中なのに締まらないなぁ。
「そ、そうか。お父さんもお前のこと大好きだ。もしお父さんに一人で歩いてる時に今日の暴漢のような輩が殴りかかってきてボロボロになって帰ってきたら嫌だろ?」
「嫌です!お父さんがそんな風になるなんて考えたくもないです!」
「今思ってる気持ちがお父さんの今思っている気持ちだよ。心配なんだ、ちゃんとこれからは言うことを聞けるね?」
「あ、心配かけてごめんなさい。今度からはちゃんと大人の人と行動します。」
「よーしいい子だ。」
マルリオさんはエリンちゃんを抱きかかえるとむちゃくちゃに撫でている。
髪がぐちゃぐちゃになって少し不機嫌そうだけど口は笑っている。
「どういうことがあったのか分かりました。お礼を言わせてほしい。娘を助けてくれてありがとう。」
やはり人助けはいいものだ。他人を喜ばせた分、自分にも返ってくる。
「いえいえ。人助けは当然のことですよ。こちらこそ泊めていただきありがとうございます。」
グラノラは気恥ずかしさを感じながらもその謝礼を受け入れた。
お腹減った。