クエンスへ入りました!
20話ぐらいまでは基本的に俺TUEEEEの土台作りですので魔王などが出てきて物語がきちんと出来上がっていくのはそのあたりからです。
「グラノラさん見えてきましたよ!あれがクエンスの入り口です!」
プコンさんが興奮しながら言ってくるのでこちらもつい馬車から身を乗り出し見てしまった。
「大きいですね!あんなのどうやって建てたんだろ?」
大きい。これ以外の言葉が出ないほどに大きい。
少し大きめの学校ぐらいの大きさはある、壁の上からクエンスの街のシンボルであろう旗が覗いている。
「昔この街を作るときに土系統の魔術師を数百人集めて土を盛っては硬質させ、盛っては硬質させをいく億も繰り返して形を整えてようやくできたらしいですよ。その時の費用がとんでもなかったらしいですけどこの街を作った時の利益をこの街の領主様の祖先が見込んで作ったらしいです。」
そうだったのか。硬質化か。見た目は土色ではなくすでにセメントのようになっている。
これは魔法を本格的に学ぶのがいいかもしれない。そうグラノラは思った。
「あそこが入街する受付です。最後尾に並びに行きましょうか。」
~クエンス門前~
「ようやく順番が来たみたいですよ。さすがに3時間も待つとは思ってもいませんでしたね。」
最後尾に並んだが列がとにかく長い。人間自体はさほど多くはないのだが荷馬車の数がとんでもないのだ。
それを一つ一つ怪しいものがないか門番さんたちが確認していく。 おつかれさまです。
「そこの馬車の者!この街に来た理由と身分証を提示せよ!」
どうやらようやく荷物チェックなどをしてもらえるようだ。
「私の名前はプコンといいます。この街へは日用雑貨などを売りに来ました。
それとこちらの方なんですが、ここに来る途中盗人に荷物を捕られたらしいので身分証の発行をお願いします。」
どうやら俺のこともついでに紹介してくれたようだ。
「わかった。それでは荷物の確認が終了次第真偽のチェックをしよう。」
そういい門番さんは急いで荷物を確認し始めた。
「おそらくここでお別れですのでこれが護衛費です。それとこの干し肉も少し分けましょう。」
「なぜ干し肉なのです?」
「ギルドへの登録費でおそらく今夜の宿代がないと思いましてね。野宿するのにごはんがないのはつらいでしょうだから、おすそわけです。」
この人は商人の癖に優しすぎる。
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせてもらいます。」
そうこうしていると荷物検査の終わったようで門番さんが近づいてくる。
「荷物のほうはかまわない。それではそこの金髪のお前ついてこい。」
「それではプコンさんお世話になりました。またどこかで!!」
するとプコンさんは笑顔で
「ええまた会いましょう。」
そう言い門番さんに連れられ建物に入るまで手を振っていた。
~門の中にて~
「ついてこい。」
門番さんがぶきっちょにそう言った。
そしてついていくと分厚い扉のついている部屋の前についた。
「お疲れ様です!隊長!そちらは身分証紛失者ですか?」
どうやらここまで案内してくれた門番さんは偉い人みたいだ。
「そうだ。これから真偽を確認する、俺が出てくるまで気を抜くなよ。」
まぁ身分証がない時点で疑われるのは分かっていたけど少し凹むな。
「わかりました!そこの者!剣はこちらでいったん預かる。」
言われるままに剣とほかの荷物もすべて渡した。
「それでは中に入りこれより新たな身分証を発行するための簡単なテストをする。」
そうして中に入ると質素な木で作られた机と椅子があった。
その机の上にとても美しく水のように透き通る水晶が置かれている。
「それでは席についてその水晶の上に手をのせろ。これから簡単な質問をするすべて、はい。と答えろ。」
そういわれて俺は綺麗な水晶の上に手をのせた。
『我願う、かの者の虚言を光にて照らし出せ。』
すると水晶が一瞬強い光を放った。
「よし。これでお前の言ったことの真偽が分かるようになった。これより質問を始める。」
何も悪いことをしていないのに緊張してしまう。すでに水晶は俺の汗でべっちょりだ。
「まず一つ目、お前は犯罪者ではないな?」
「はい。」
水晶に異変はない。
「二つ目、お前はこの街を犯すためにここに来たのではない。」
「はい」
水晶に異変はない。
「三つめ、お前はこれからも犯罪を犯すつもりはない。」
「はい。」
水晶に異変はない。
「最後に、ここへ来るのは初めてか?」
「はい」
水晶に異変はない。
「よし。もう手を放してもいいぞ。それでは身分証を発行してくる少し待ってろ。」
どうやら俺は何も問題はなかったようだ。
しかし気になることがある。最後の質問は一体なんなんだ?
しばらく水晶を眺めているとさっきの門番さんが戻ってきた。
「これが新しい身分証だ、もう無くすなよ。」
そういって門番さんは俺に一枚の淡い銀色をしたカードを渡してきた。
「そのカードは普段は何も見えない。特定の言語によりそのカードに記載されている犯罪歴などが確認できるなにも悪事を働いたことのない人間であれば特に何も表示されない。
その身分証はこの街でのみ使える。もっとちゃんとした身分証が欲しいのであれば追加料金を払うかギルドで登録すると良い。ギルドカードはどこの国でもどの街でも使えるもっとも信用のある身分証だ。」
どうやらこのカードは俺が犯罪者ではないことを生活するうえで保証するだけのようだ。
「一つお聞きしたいことがあるんですが。」
俺は先ほどの質問の中にあった、ここに来たことはあるか?これが気になって仕方ない。
「先ほどの質問の中にあったこの街に来たことはあるか?これって聞く必要あるんですか?」
すると門番さんは少しバツの悪い顔をして
「先日初めてこの国に来たという人間が貴族を殺して逃亡したんだ。だからまたそんなことが無いように真偽の質問でここに来たことがあるか確認をして、来たことある人間には犯人捜しのために少し多めに質問をするようになるんだ。 その場に身分証が落ちていたからどこかの街へ行くときはまたこの街で作ったように身分証を作るかもしれない。だからね。ほかの街でも協力して確認をしていくことになったんだ。」
そういうことがあったのか。物騒だなぁ。
「わかりました。それでは俺はもう行ってもいいんですよね?」
門番さんは大仰に頷き
「あぁいいぞ。行ってもいいが決して変な気を起こさぬように。」
「わかりました。時間的にまだ日も落ちていませんしギルドに行ってみようと思います。
ここからギルドへはどう行けばいいですか?」
すると門番さんは懐から少しくたびれた地図をだし、
「今がこの場所だ。 ここからまっすぐ進み、大きな広場がある。そこを右に行けば龍の頭に剣を刺した絵の描いている看板が見えるはずだ。そこが冒険者ギルドだ。」
なんともやる気マンマンな看板である。
「ありがとうございます。 それでは行ってきます!」
こうして無事にクエンスに入ることができたのだ。