冒険者のテンプレは臭いです!!
うぅ、遅れて申し訳ありません。
誤字脱字の訂正随時やってこうと思いマッスル。
クエンス家を後にしたグラノラは冒険者ギルドへ行くためエリンを救った広場まで戻っていた。
「たしか、門があっちだからギルドはこっちだな。」
エリンにお兄ちゃんと呼ばれほくほく顔のグラノラは上機嫌だった。
~~~冒険者ギルド~~~
「ここがギルドか、結構大きいな。」
冒険者ギルドはこの街の建物の中でもさらに大きな部類だった。
竜の頭に剣を突き刺した幕が大々的に垂れ下がっていた。
扉を開け中に入ると何とも言えない男の臭さがした。
特に腋臭の匂いは鼻に付く。
中の設備は受付と机が4つ、そして壁掛けボードだった。
非常に簡素な作りである。
これには理由がある。
冒険者は職業上少々野蛮な物が多い。
喧嘩などで物が壊れるなど珍しくもなく、予備をストックできるように安いものと少ないもので構成してあるのである。
もちろん物を破損させた場合は罰金がある。
さっそく登録しようと人のいない受付へと行った。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
金髪ですこしくせっけのある女性とは呼べない女の子が対応してくれた。
「ギルドへの登録をしたいのですが。一応紹介状も預かっています。」
そういってマルリオさんから受け取った一通の手紙を渡した。
その手紙の封をしてある蝋の家紋を見て受付の女の子は白目を向いてしまった。
「どうしたの!ちょっと大丈夫!?」
奥からとてもではないが若いとは言えない女性が走ってきた。
そして鋭い目でグラノラを見つめ。
「なにかこの子にされたのでしょうか?少し様子を伺っておりましたが手を出した後に気絶したように見えましたが。」
このおばさんはどうやら俺が彼女に何かしらの方法で気絶させたと思っているようだ。
「いえ、なにもしていないのですが。 紹介状を渡したところ気絶なされて。」
そうして彼女は女の子が持ったままの手紙へと視線を移した。
そして彼女は目を数回パチクリさせてこちらへ頭を下げてきた。
「も、申し訳ありませ!どうやらこの家紋を見てプレッシャーに耐えられなかったようです。」
そのあまりの声の大きさに周りの冒険者たちもこちらを見ている。
「いえ、それはかまわないんですけど登録させてもらえますか?」
「はい!それはもちろん、ですがギルド長に報告をしてきますので少々お持ちください。」
そういうと彼女は全速力で二階へ走って行ってしまった。
一人取り残されたグラノラは少しだけ周りの冒険者の話に耳を傾けてみた。
「おいおい、あんな貧弱そうな男が紹介してもらったんだってよ。
生意気だな。やるか?」
「そうだな、新人にここでのルールをいっちょ教えたるか。」
どうやら俺に喧嘩をさせたいようだ。
会話をしていた男たちがこちらへ近づいてくる。
「おい、そこの金髪のお前。紹介だって?それも受付のねぇちゃんが卒倒するほどの人からの。
ちょっと生意気だな。どうせその体からして金でも払って書いてもらったんだろ?
そんなことで俺らの仕事をバカにされるのは気に食わねぇんだよ。ちょっと面かせや。」
げひた笑いをしながら男がそういってきた。
「すまんが俺は登録をしに来たんだ。喧嘩はまた今度にしてくれ。」
そのグラノラの言葉を自分をなめていると勘違いした男は怒ったようすで胸倉をつかんできた。
「先輩に対して何をなめた態度とってんだこらぁ!」
そしてそのまま拳を、ぶぅん、と振りかざし殴ってきた。
これにはグラノラも我慢できなかった
「こんな人のいる場所で喧嘩するんじゃねぇ!!」
そして受付のおねぇさんに訓練場のような場所はあるか尋ねた。
「ここの裏手にあります、幸い今は予約も入っていませんし使ってもらっても構いませんよ。」
グラノラは喧嘩を仕掛けてきた男たちと喧嘩を見物しようとする野次馬と共に訓練場に来ていた。
「今なら土下座しながら許してくれと頼んで来たら2、3発でゆるしてやるぞ?どうする?」
先ほど殴られてから我慢をしているグラノラにとって、もはや我慢の限界だった。
「ビビり過ぎてなんもいえねぇのかよ。オラァ!!」
そう言いながら男がこちらへ殴りかかってくる。
「試合開始だ!」
グラノラは興奮のままにそう叫んだ。
まず、男の腕を叩き落としたグラノラは相手の勢いを使って腹に掌底を打ち込んだ。
男はグラノラの一連の動作の速さについて行けず腹を守ろうとするも間に合わなかった。
そしてそれは男にとってもっとも致命的であった。
腹を守るために上げていた手を次のグラノラの攻撃をいなす為に使えないからだ。
グラノラは男の手が動くよりも早く拳を顔面へ叩き込んだ。
手加減をしているため骨が折れるようなことはないが、脳震盪をおこし男は倒れた。
その様子を周りの人間は口をぱくぱくさせながら見ていた。
「さぁ、次のやつはどいつだ?一度に全員かかってこい、めんどくさい。」
その言葉を合図に周りに居たやつらは自らの置かれている状況を理解して脱兎のごとく逃げ出した。
「ふぅ、ひと段落したか。」
すると一人の男がこちらへ近づいてくる。
ドン引きするほどの笑みを浮かべながらだ。
「マルリオさんの紹介があるだけあってめちゃくちゃ強いじゃないか。
二度目のパンチなんて一瞬ぶれて見えたぞ。
俺はここのギルド長のバンだ。登録に来たんだろ?とりあえず俺の部屋に来いよ。お茶ぐらいならだすかよ。」
こうしてギルドでのひと悶着は終着したのだった。