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ニートな彼女  作者: 反兎
2/12

女らしさと人まかせ


俺こと小野ハジメは幼なじみの近藤マチ(ニート)の為にいつものようにお使いに行く。


だいたいマチが頼む物はお菓子と惣菜だ。

健康的じゃない。

それに『ニート=引きこもり』のマチがこんな食生活じゃ身体に良くないよなぁ…とは思いつつ頼まれた物を買ってしまう。

しかも最近ではマチの好みが判るようになり何だか複雑だ。


コンコン…


「買ってきたぞ〜」

ハジメはそう言いながら家に入る。テレビの声は聞こえるのに、いつもながら返事はない。

「おい、聞いてんのか〜?買ってきたぞ〜」

「ぅん…?あぁ…、ありがとう…」

マチは寝ていたのか俯せのままの格好でハジメの方を向き右手を差し出す。

ハジメはテレビがついていたから起きていたのかと思った。

「何…お前寝てたの?もう16時だぞ、どんだけ寝て…」

この時ハジメは異臭を感じた。

「くさっ!!?マチ、お前臭いぞ!ありえない程異臭を放ってるぞ!!お前いったい何日風呂入ってねーんだよ!!」

「うん…?あぁ…、…一週間ぐらい…?」

マチは面倒臭さそうに答える。

「いっ、一週間!!?何で一週間も風呂入んねーだよ!?」

「…面倒臭さいから…?」

まだ眠たいのかどうでも良さそうに言う。


(あぁ〜…、駄目だ…)

ハジメは頭を抱え込んだ。

これは女としてありえない…。

というより、だらし無いにも程がある!!

せめて…せめて女の人にはいい匂いを醸し出していて欲しい!!と思うのが男としての心情だろ…(涙)



マチの住んでいるプレハブは8畳あるかないかぐらいの大きさで、ちゃんと水が引いてある。トイレと台所っぽいのはあるが風呂はない。

だから多分、このプレハブがある家の風呂を借りないといけないのだろう。

俺は家の人間とマチがどういう関係なのか知らないが、いちいち風呂を借りないといけないというのも面倒臭さいっちゃあ面倒臭さい……


−−それでもだ。


風呂には入ろうよマチ。


「おいコラ、起きろマチ!」

ハジメは足でマチの肩を突く。

「うぅん…、何…?」

「お前風呂入って来い」

「後から入る…」

「今すぐ入れ!!じゃないと俺ここに居れないだろ」

少し間があく。

「…、じゃあ帰れば?」


………。

(確かに。別に俺ここに居る必要ねーや)

ハジメは納得した。


「そうだな。じゃあ俺帰るわ」

「おぉ〜…、じゃ〜…」

マチは俯せのまま右手を軽く上げてハジメに挨拶する。

ハジメはマチのプレハブから出て家に向かう。

だが何か忘れているような気がする…。

(何だろう−−?)

思い出そうとするが思い出せない。

(まぁ、そのうち思い出すだろう)と深く考えずにそのまま帰路につく。


「ただいま〜」

「おかえり。マチちゃんは元気だった?」

晩飯の用意をしながら母親が聞く。

「…相変わらず」

(家でだらだらしている。しかも女とは思えない臭いを発していた)とは言わずにおいた。

「そう、なら良かった」

笑顔でそういう母親に何だか複雑な感情が沸く。


「良かった」ってどういう意味なんだ?元気でいるならそれでいいって事か?!

じゃあもし俺がマチと同じように引きこもっても同じ事を言ってくれるのだろうか…

などと考えてしまうハジメ。


(俺が親なら子供があんな風になったらどうしたらいいのか分かんねー…)


ご飯を食べている時もお風呂に入っている時も帰ってからずっとマチの事を考えるハジメ。


(明日早いから寝よ…)


明日は朝から仕事がなので布団に入る。


(マチの事はまぁ…何とかなるだろう…俺が…)


そう思いながらハジメは眠りに落ちる−−−ところで、帰る途中にどうしても思い出せなかった『何か』を思い出した。

ハジメは寝坊して焦って起きるみたいにガバッと起き上がりそして叫んだ。


「金貰うの忘れた!!」


ハジメは頭を抱える。

(あぁ〜すっかり忘れてた…、あの臭いが強烈過ぎて−−)

今さら言うのも何だか気が引けて、ハジメは結局

(…ま、いっか)と諦めて寝る事にした。


多分お金の事ならマチが言って来るだろう。それよりマチの『女としてどうなのか』という方がハジメには気になって仕方がない。


その頃マチは−−


そんなハジメを尻目に1週間ぶりのお風呂に入り、さっぱりした気持ちでハジメの買って来たものを食べる。


「あいつ最近、買って来て欲しいもん買って来るようになったな……。さすがパシリ体質…」


呆れながらも感心するマチ。そしてマチもここで気が付いた。

「あ!お金……、←(一応考えてる)ま、いっか」

マチは(ハジメが言ってくるだろう)と気にせず食べ続ける。


こうして2人とも相手が言ってくるだろうと相手任せにした。


そしてハジメは不本意ながら奢るはめになり、マチは得をした。


だがマチは奢ってもらったなんて露知らず。





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