友達②
それから僕は、蓮兎とちはやと過ごすことが多くなった。この2人は、一緒にいてなんだか楽だ。
僕が2人と一緒にいるようになってからは、僕に媚びてくる女子も男子も減った。
…灯も…来なくなった。
僕にはそれだけが気がかりだった。
しかし、蓮兎とちはやとつるむようになって、学校が楽しくなったのもまた事実だった。
灯と一緒にいたときも、もちろん楽しくなかったわけじゃない。でも、灯にはなんだか振り回されっぱなしだった。その点、2人は僕の意見を尊重してくれる。それがなんだか嬉しかった。
『これが…友達なんだ…』
そう思った。
「陽くんて、そういう風に笑うんだね。」
突然ちはやにそう言われた。
「え…?」
びっくりした。そう言われたことにもびっくりしたし、何より自分が笑っていたということにもびっくりした。
「僕…笑ってたかな?」
「うん。陽くん笑ってた方がいいよ。その方が何倍もかっこいい。」
ちはやは、そういうことをさらっと言ってくれるからこまる。
「ちはやはまたそういうこと言って。勘違いされるぞ。」
そして、それを蓮兎がつっこむ。僕はこの2人のやり取りが好きだ。
「でもまぁ、俺もそう思うよ。かっこいいかは別として、笑ってた方が絡みやすい。陽いっつも無表情で怖えもん。」
と蓮兎がニカっと笑う。
僕…そんなに怖い表情してたのかな…?
きっと、していたのだとしたらそれは、毎日が楽しくなかったのだろう。でも今は、蓮兎がいる。ちはやがいる。毎日が楽しい。この2人にはとても感謝してる。
…でもなんだろう。この、心の中にぽっかりと穴が空いたかんじ。
こんなにも毎日が楽しいはずなのに……。
あっ、そうか…僕にはやっぱり…。




