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友達
「いつも大変だよな。だいじょぶか?疲れてんだろ。」
そんなこと言われたのは初めてだった。
思わず、声がした方を振り向く。
声の主は見るからに好青年だった。
背が高く、よく日に焼けている。坊主頭なのは野球部だからだろうか。
何よりも驚いたのは、そこにいたのは彼だけではなく、もう1人女子がいたことだった。
「俺、烏丸 蓮兎。よろしく。」
「あたし、乙訓 ちはやです。よろしくね。」
そう名乗った彼女は、女子としても小柄で、すごく落ち着いた感じの子だった。
パワフルな灯とは正反対な感じ。
「俺、神原 陽。…よろしく。」
自分から名乗るのは、灯と出会ったとき以来だった。
「あのね、あたしずっと陽くんと話したいと思ってたんだけど、入学してからいつも朱里ちゃんと一緒にいたし、最近はなんかいろんな人に囲まれてたしで…。だから、あたし今陽くんとしゃべれてすっごくうれしい‼」
そう言って笑った彼女の笑顔はどことなく灯に似ていた。




