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神の悪戯  作者: 羽毛 330
第一章 ペン回しをし続けた男
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5話 かにから見たルンル殺害事件 上



 飯田かには静かに自室でため息をついた。


 もう既に、この館から飯田さくが失踪してから30年の月日が流れていた。


 勿論、さくが失踪したという事実を知る者は、かにとルンルのみであった。


 しかし、実はルンルはさくが失踪した次の日に死亡していた。


 自室で倒れているところを他の使用人が発見し、必死に蘇生を試みたが、彼はもう死んでいた。


 医者の解剖結果によると、死因は心臓発作とみられた。


 彼は高齢だったため、その死因を誰も疑問に思わなかった。


 そして彼の死は人々から悲しまれたが、時と共に忘れられた。


 飯田かにはそんな昔の事を思い出して、再び深く息を吐いた。


「すまんな、ルンル…そなたに非はなかったんじゃが、あれを知られたからにはああするしかなかったんじゃ。」


 そう、実のことを言うと、ルンルはかにに殺されていた。


 かには、昔を回想し始めた。







 かにがルンルを殺した動機を説明するためには、さくが失踪した30年前のあの日まで遡る必要がある。


 あの日の朝、さくは起きてから、部屋にいる神に「ペン回しを1億回しろ」との使命を授かった。


 実はその場面をかには目撃していた。


 その日の朝、かにはたまたまさくの部屋の前を通った。


 そうすると、なんとドアの隙間から、見知らぬ男が見えるのではないか。


 かにはすぐに部屋に突撃して男を捕まえようと思ったが、そうすると男が興奮してさくに危害を加えるかもしれないと思い、その策はやめた。


 そこでかには仕方なくじっとドアの隙間から成り行きを見守る事にした。


 しばらくすると、さくは起きて男の存在に気付き、酷く取り乱した表情になった。


 しばらくした後、男が口を開いたのである。


「私は神である。お前に使命を与えにきた。」


 …その後はあの朝の出来事そのままであった。


 そして神と名乗る男が空に飛んでいった後、かにはようやく自室に戻った。


 彼は何回も、先程の信じられない出来事を脳内で反芻した。


「さくがペン回しを1億回しないと、国民全員が死ぬ、か…何かの悪戯だと思ったが、あの男は最後空を飛んで、何処かに行ってしまった。そんな人間離れしたことができるということはあの男が神というのは本当なのだろう。ということは使命も本当ということか…」


 かにはこれは大変な事になったと思った。


「息子が使命に取り組めば、息子の人生は崩壊する。かといって使命を達成しなければ国民全員が死ぬ…どちらにせよ最悪の結果だ。」


 彼はそれから長い間熟慮した後に、ある結論に至った。


「さくの好きにさせよう。さくが使命を果たす道を選んでも、使命を放棄する道を選んでも私は何も邪魔はしないし、援助もしない。全てをさくに任せるのだ。」


 それが彼が深慮の後に導いた最善策であった。


 かにには、さくに自分の信じる道を歩んで欲しかったのだ。


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