第六話
淡いオレンジと紫が混ざり合う夜明けの空が、森の天蓋を透かして広がっていた。
木々の影が、この世界の秘密を囁くようにそよぐ。
朝露が草葉を濡らす。
足元で、水が跳ねた。
森の空気はひんやりと肺に染み入り、微かな土と樹脂の香りが鼻腔をくすぐる。
リクは疲れ果てた体を、ゆっくりと起こした。
血と汗、剣戟の音、そして仲間を失った瞬間の重い沈黙――それらがまだ体にまとわりついているかのようだった。
だが、胸の奥には確かに熱い鼓動が息づいていた。
心の奥で脈打つ力を感じ取った。
(これが、俺の力だ。この世界を、俺を変えるための鍵……!)
リクは強い決意を胸に刻んだ。
胸の内で自問した。
「俺は、これからどう生きるんだ?」
孤独と裏切りの記憶が、心を強く締めつけた。
地球での最後の夜、先輩との思い出が蘇った。
「失敗は次へのデータだ。お前ならできる」
その言葉は、冷たい森の空気の中で、ほのかな温もりを与えてくれる。
だが同時に、別の声が耳の奥でこだました。
あの刃のような無言が、心を切り裂く。
彼女の瞳に映っていたのは失望だったのか。
それとも、何か別の感情だったのか。
それはまだ分からない。
「スキル発動が、俺にだってできたんだ……」
リクは深く息を吸い込む。
「この力で、俺は変わる。俺は強くなる!」
肩の痛みが疼いたが、それを無視して一歩を踏み出した。
「この世界を、俺がリブートする! 過去も、未来も、全部デバッグしてやる!」




