第二十二話
祭壇の青いゲートが静まり、石柱の脈動も止んだ。
冷たい石床がリクの体を刺すように感じられた。
彼はスキルを使った後、倒れて意識が薄れた。
暗闇の中、レオンの言葉が少年に届いた。
「おい、リク。そろそろ起きろ」
リクがゆっくり瞳を開ける。
彼はレオンの膝の上で目を覚ます。
虚ろだった瞳に光が戻る。
「……レオン? どうして……」
少年の声がかすかに途切れた。
レオンは少年の頭をポンと軽く叩いた。
「バカ、お前が忘れてどうする。俺は全部覚えてるんだからな」
レオンは少年を膝から下ろして立ち上がった。
そして彼を力強く引き起こした。
「レオン! もう大丈夫なのか!」
「ああ、俺としたことが……どこからか分からねえが、魔王の力に操られてたんだな。勇者だっていうのに」
レオンは自嘲しつつも、目に真剣さを湛えた。
少年の胸が温まった。
「よかった……レオン、戻って来たんだね」
だが、彼の表情が曇る。
「リク、俺の過ちは許されねえ。だが……償わせてくれ。今度こそ、勇者として正しい側に立つ」
レオンは深く息をつく。
「今度は全部背負うことにするよ」
少年の胸に安堵が満ちた。
「レオン……一緒にやろう」
刹那、祭壇の空気が一変する。
空気が重くうねり、黒い影が現れた。
ヴァルスの黒い甲冑にひびが入った。
赤い瞳が兜の隙間から弱々しく光った。
かつての威圧感は薄れていた。
魔力の無限供給の代償がその体を蝕んでいた。
「愚かなバグども……」
少年とレオンが視線を交わす。
ヴァルスは低く唸る。
「神域で全てを終わらせ、貴様らの希望も抵抗も打ち砕く」
その声には、かつての傲慢さと微かな焦りが滲んでいた。
祭壇の奥で、ゲートがうねる。
ヴァルスはゲートに手をかけ、嘲りの笑みを浮かべた。
「お前たちの絆など、所詮は無力だ」
ゲートが発動する。
ヴァルスの体が光に呑まれ、消えた。
重苦しい沈黙。
リクは石床に手をつき、ゆっくりと立ち上がった。
心に熱い覚悟がみなぎった。
「ヴァルスが何を企もうと、絶対に止めてみせる」
リクの瞳に、仲間を失った過去と守るべき未来が映った。
レオンが穏やかに頷く。
「強くなったな、リク」
彼の声に信頼が込められ、少年の心を温めた。
「どんな絶望が待っていても、俺たちは負けねえ」
二人の眼差しが交錯し、絆が少年の胸に刻まれた。
「うん!」
村では、クラリスとリリィが村人たちを率いて魔獣の残骸を片付けていた。
クラリスが村人たちを鼓舞し、
リリィが祈りの力で回復していた。
クラリスは深く息を吸った。
「リク、レオン……あたしだって、負けてられない」
彼女の心に、彼らと交わした約束が蘇る。
「次はあたしたちも一緒よ。絶対に守るから」
物語は新たなステージへ動き出す。




