第40話「P1」
2台を先頭に33台がファイナルラップに突入していく。
『菜央さん、ファイナルラップです!』
エンジニアのテンションもいつもより高く感じる。
『梨音!この周でファイナルラップだ!チャンスはまだあるぞ!』
安住代表のテンションも上がっていた。
ファイナルラップも、2台は接戦を演じていた。
2台はほぼぶつかりそうなままアドバンコーナーへ。
ここで梨音が追い抜きを仕掛けるも、あと一歩足らず。
そのまま2台はもつれるようにダンロップコーナーへ。
ここで梨音が一気に動く。
アウト側を陣取っていた2台。
しかし、勢いよく梨音がイン側にマシンを動かす。
そして2台が並んでブレーキングを開始。
しかし、梨音のマシンが少し進む。
梨音はブレーキペダルを踏み込むタイミングが少し遅かった。
レイトブレーキングだ。
そして梨音は勢いよく菜央より早くパドルシフトを叩いていく。
制動力は菜央に分があるため、梨音はエンジンブレーキの力を使ってさらに速度を落とそうとしていた。
エンジンの唸りがどんどん強くなっていく。
そしてステアリングを切り込む。
梨音が前に出た。
1位浮上。
チームのピットも盛り上がる。
梨音は菜央を従えて最終コーナーまでのコーナーを安定して駆け抜けていく。
あの日飛び出していったGRスープラコーナーも安定して駆け抜けていく。
そして最終コーナーを立ち上がり、ホームストレートを加速していく。
その姿を後ろから見ていた菜央。
「……負けだね。でも、悔しくはないよ。」
菜央の先には小さくなった90号車の姿。
90号車が1番にゴールラインを通過する。
〈相田梨音ー!相田が!KYOJO CUP最終戦を制しました!!〉
『梨音!よくやった!!優勝だー!』
「私勝ったの?やったぁー!」
梨音が高々と拳を上げる。
そしてクールダウンラップを走っていると隣を並走してくるマシンがいた。
91号車だ。
梨音が手を振ると、菜央もサムズアップで返してくれた。
2台並んで残りのコースを走っていく。
表彰台に3人が集まる。
「梨音、頑張ったね。」
「菜央先輩!やりましたよ!勝てた!」
「おめでとう、梨音」
また周も祝福してくれる。
「菜央もおめでとう。チャンピオンでしょう?」
「そうだよ。周。ありがとう。」
周と菜央が握手する。
そして表彰式が始まる。
プレゼンターから3人にトロフィーが送られる。
もちろん、梨音には一番大きい1位のトロフィーが渡される。
梨音がそれを高く掲げる。
すると、グランドスタンドから大きな拍手が上がる。
そして、菜央にはチャンピオンのトロフィーも贈呈される。
そして、梨音は周と菜央を1位の台に上げ、3人で写真を撮ってもらう。
梨音にとってこの最終戦は最高の思い出になった。




