第36話「注目」
午後、スプリントレースが始まる。
「いいか、梨音、変に勝とうとか意識しなくていいからな。やれる走りをすればおのずと結果はついてくるから。」
「代表、わかりました!いってきます!」
2位を初めて獲得した梨音に安住はいろいろアドバイスをしていた。
1周のフォーメーションラップを終え、隊列を整えてホームストレートに戻ってくる。
『グリーン!グリーン!GO!GO!』
安住からスタートの合図が届く。
それとほぼ同時くらいに梨音はアクセルを踏み込む。
しかし、反射神経で上回ったのは菜央だった。
周についで菜央、梨音の順で1コーナーに進入していく。
スプリントレースが終わる。
結果、優勝は周、2位に菜央、3位に梨音が入った。
梨音にとってはこれがKYOJO CUP初表彰台。
梨音が3位に入った事実を知った菜央は梨音を祝福したくてたまらなかった。
表彰台下のトップ3が集まるエリア。
一足先に梨音と周が到着しており、すでに何か話し合っているようだった。
「やるじゃない、梨音。初めての3位おめでとう。」
「ありがとうチョウさん!」
菜央もマシンを飛び降りるとすぐに梨音のもとに向かった。
「梨音〜!やったね!表彰台だよ〜!」
「先輩!やりましたよ!」
表彰式が行われ、トロフィーの授与が行われる。
梨音も初めてのトロフィーに少し戸惑っていた。
翌日行われた決勝レース。
ここでも梨音と菜央は速さを見せ、菜央は周を抜き去り優勝、梨音も手強いとされていた周を追い抜き、一つ順位を上げ、2位でレースを終えた。
この結果を見て、多くのファンは次の最終大会で梨音が優勝するのではないか、と期待し始めていた。
そしてこの頃、梨音の走りを見て、国内外からスカウトの注目の的になっていた。




