第27話「衝突」
「梨音、ほら、夕飯にカレー作っておいたから食べちゃおう」
「あ、菜央先輩、いただきます!」
梨音と菜央は一緒に夕飯を食べ始めた。
その直後、ヘッドセットから悲痛な無線が聞こえてきた。
『小動物か何かとぶつかった!フロント周りが壊れた!ライトも片方使えない!』
「OK、瀬成、そのままピットイン、そのままピットイン、リペアするよ」
「メカニックはドナー車の準備急いで!」
メカニックたちが慌ただしく動き出す。
すると231号車が戻ってきた。
確かにフロントセクションが破損しており、バンパーは砕け、ヘッドライトも片方完全に使い物にならなくなっていた。
メカニックがBRZの市販車をピット内に持ってくる。
「バンパーはずすよー!」
「ヘッドライトはずすよー!」
「サスペンションアーム確認してー!」
メカニックたちが修理のために動き出す。
修理開始から40分、マシンは原型を取り戻した。
「じゃあ、この後は菜央、チェック頼んでいいか?それで大丈夫だったら走り続けて」
「わかりました」
菜央はヘルメットを取りにパドックへと向かった。
ヘルメットを被ってきた菜央はそのままBRZに乗り込み、コースに向かう。
231号車は現在クラス12位。
15台中12位。
『まだ先は長いよ、菜央。巻き返しのチャンスはあるよ』
「わかってますよ。任せてください」
菜央はアクセルを踏み込む。
深夜1時。
グランドスタンドの観客も完全にいなくなり、少し寂しさも感じられるようになってきた。
『OK、菜央、この周でピット、この周でピット、梨音に交代』
菜央は他車との接触などもなくクリーンにピットまでマシンを戻した。




