第26話「日没」
時間は夕方の5時。
少しずつ日が傾いてきた。
ホームストレート上では「Light on」のボードが出されていた。
そして231号車が戻って来る。
「よーし!作業開始!」
メカニックたちがタイヤを外し、ブレーキもバラし始める。
「今、ブレーキを交換してるから、梨音はかなり乗りやすくなると思う。」
「わかりました」
「でも、クルマは壊すなよ?」
「はーい。」
その後日野森は石井と大野と深夜のスティントについて話し合っていた。
作業が終わり、BRZがジャッキダウンする。
梨音が乗り込む。
すると、菜央がシートベルトの装着を手伝ってくれた。
「いい?マシンは絶対壊さないこと。あと、周りを見ること。他クラスのクルマがたくさん走ってるからね。」
「わかりました!」
「でも、一番大事なのはクルマを次のドライバーにつなぐこと。わかった?」
「はーい!」
「よし、じゃあ行ってらっしゃい」
菜央がヘルメットをポンポンと叩き、ドアを閉める。
するとメカニックがGOサインを出す。
梨音が乗るBRZが少しずつコースに近づいていく。
『梨音、そこでリミッターオフ』
ステアリングのPITと書かれたボタンを押すと一気にアクセルを踏み込む。
マシンがしっかりと加速していく。
リミッターが切れた証拠だ。
『すぐ後ろ、128番のフェラーリ来てるから注意ね』
「了解」
ミラーを見るとヤリスや86の間を猛スピードで切り抜けてくるマシンが。
梨音はウインカーを出し、進路をフェラーリに譲る。
真っ赤なフェラーリが梨音を追い抜いていく。
4周後。
「乗れてきた…」
コツを掴んだ梨音は安定して攻められるようになってきた。
ピット。
「梨音、乗れてますね」
「だな。タイムが改善されてきてる」
「これなら大丈夫だね」
「ですね。」
梨音もルーティンをこなし、ピットに戻ってくる。
「お疲れ様、梨音、あとは任せて」
「お願いします!」
梨音から瀬成にバトンを繋いだ。
このタイミングで夜間走行に備えて追加のライトを搭載する。
瀬成にバトンタッチし、そのまま夜間走行が始まった。
どこのピットもだんだん夕飯の準備が始まっており、あちこちからいい匂いがしてきた。




