第21話「天才と称された者」
私はどのレースに出ても最速だった。
そんな私は「天才」と称えられてきた。
気づけば、中3でスーパーFJに乗っていた。
私はここでチャンピオンにも輝いた。
そして高1からVITA-01に乗り、富士スピードウェイチャンピオンカップレース(FCR)のVITAクラスに出場することになった。
そして、この頃、F4に出ることも話に上がっていたがデビュー予定だったIPモータースポーツが撤退してしまったため、F4への出場は諦めた。
実はこのチーム、現在世界で活躍する織田蓮真も所属したチーム。
織田がシートを喪失したのと同時に私もF4への挑戦を逃したのだ。
F4への挑戦の道を諦め、FCRに継続参戦し続けていた。
そんなある日監督からある提案をされる。
「なぁ、菜央。」
「なんですか?」
「今度、このFCRのシリーズの中にKYOJO CUPっていう女性限定のレースが始まるらしいんだ。それに出てみないか?」
この時、私は少し思った。
女性だけのレース?そんなの物足りないんじゃないか。
私が今まで出てきたのは男性との混合バトルだったから。
しかし、そんな心配は不要だった。
ここに集まる女性は日本全国、いや、世界各地から集められた腕自慢の女性たちだからだ。
私はここでも埋もれることなく、結果を出し続けた。
初代チャンピオンにも輝いた。
それからもう一度チャンピオンに輝いた。
この頃、レース業界で菜央はセルモに昇格してもやっていけるだろう、と評価されていた。
しかし、それを裏切るように待っていた結末がシャークレーシングの解雇だった。
それからしばらく私はレースに対して自信を失っていた。
それでも、手を差し伸べてくれた安住代表。
彼のおかげで私はもう一度レースの舞台に戻ってくることができた。
そして、現在に至る。
「そんな過去が…大変だったんですね…」
「そうね。結構大荒れだったね」
「逆に気になるんだけど、梨音はどうしてレースに憧れを持つようになったの?」
「それはですね…」




