第12話「ライバル」
『梨音大丈夫か?!』
「だ、大丈夫です!」
3速のままだったギアを1速まで下げ、もう一度走り出す。
『ケガはないか?』
「ただ回っただけなんで大丈夫です」
『良かった。マシンの方は問題ないか?』
「大丈夫です。特に振動とかも無いです」
『一応チェックするからピットに戻ってきてくれ』
「了解」
その後マシンをチェックしたが、セッションの残り時間がないということで走行は終了となった。
「あのコーナーは…」
「…なるほど」
午前、午後のセッション終了後、2人は今日1日の振り返りをしていた。
「菜央の課題はここで…」
「…なるほど」
「それで、梨音の課題はこの全部かな」
「多っ!?」
「まだまだだね」
「むぅ〜」
そんな和やかな雰囲気が突然壊される。
「あれあれ〜?これはこれは、シャークレーシングのファーストドライバーをクビになった菜央さんではありませんか〜」
「げっ…」
菜央が嫌そうな顔になる。
「あなたがいなくなったおかげでかなりチームの居心地がよくなりましたよ。だって、チームを追い出すように仕向けたの、わたしですから〜」
そう、菜央がチームを辞めさせられたのは関城の誤った情報によるものだったのだ。
それを信じ込んだシャークレーシングの上層部は菜央を捨てる決断をしたのだ。
「ま、あなたが新しく入ったそのチーム、雑魚そうなので私の眼中にはありませんね。せいぜい、そちらの方と一緒に私達シャークレーシングの邪魔はしないようにお願いしますねー^^」
「なんか、クセのある人ですね…」
梨音が若干困惑した表情を浮かべる。
「…ろ…あのやろ…今に見てろ…目に物見せてやる…」
「あ、あの、菜央先輩?」
菜央の中でなにか切れたようだった。




