第11話「成長」
メカニックがGOサインを出す。
90号車、91号車の順番でコースへと向かう。
「ここでピットリミッターを切る…」
梨音はステアリングのPITのボタンを押す。
これでリミッターが外れ、レーシングスピードまで加速することができるようになる。
第1セッション開始から40分ほどが経過。
菜央は久しぶりのレーシングカーながら今までの経験からマシンにすぐに適応し、3番手タイムを記録した。
梨音も菜央の記録に迫ろうとするものの、やはり経験の差はある。
それでも33台中13位と中団に食いついてみせた。
セッションが終わり、お昼休憩。
梨音はマシンに搭載していた小型カメラの走行映像を見ていた。
そして、パソコンの隣で突っ伏していた。
「乗りこなせないよぉ…このクルマぁ…」
その時、後ろを菜央が通りかかる。
「どうしたの」
「え?あいや、このクルマ、この前乗ったF4よりパワーがある気がして、なんか同じ感覚で乗れなくて…」
「そりゃ、このクルマはターボはついてるし、ハイブリッドのブーストもあるからね」
「ちょっと、その動画見せてくれる?」
「え、いいですけど」
そうして菜央は梨音の走りを分析する。
「あんた、とりあえずでアクセルを踏み込みすぎ。ゲームとかと違って自分で調整しないと。コーナーからの脱出の時はだいたい4〜5割、それから3速に上げてアクセル全開くらいでいいよ」
「はーい!」
午後のセッションが始まる。
梨音は走りを改善し、タイムも菜央と大差なくなっていた。
『梨音!いいタイムだ!菜央まであと0.4秒差だ!詰められるかも!』
「了解!」
梨音はさっきまでと走りを変える。
コーナーへの進入速度を上げ、加速のタイミングも少しずつ早くしていく。
しかし、梨音はこのマシンの限界を超えてしまっていた。
コカ・コーラコーナーに差し掛かる。
しかしその時、マシンのリアが滑り出す。
「あ!まずい!!」
梨音は反射的にステアリングを反対に切る。
スピンしてしまう。
「危なかったぁ…」
90号車は進行方向とは反対に止まる。
その前をシャークレーシングの関城が走っていく。
「はん。ヘタクソw」




