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死して尚最強  作者: 0レンジペン
第一章 開拓者試験編
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後日談

 開拓者検定試験が終わり、僕は帰路に着いた。能力試験は結局中止。後日再試験が行われるらしい。連絡は追ってくるそう。


 僕がヴァラタスと戦っている最中に、大勢の開拓者が訓練場へ来ていたらしい。突如発生した門の調査の筈だったが、蓋を開けてみればゲートブレイクと彼らも色々大変だっただろう。 


 現に協会はそれの後始末に追われている。


 開拓者たちによりカミラは急いで救護室へ運ばれてたそう。また訓練場に残っていた他受験者は救護室でのバイタルチェックの後、ゲートブレイクについて話を聞かれていた。勿論、僕も同じ。


 ヴァラタスとの戦闘の後、地上へ戻った際、すぐに男性の開拓者に遭遇した。それとなく全裸の理由を説明し、すぐに協会の訓練用ジャージを用意してもらえたことにより、僕の全裸を多数の人に見られなくて済んだ。


 その後は先程説明した通り。救護室へ行き、門が発生してからの話を協会職員にする。


 僕は包み隠さず話した。ヴァラタスという人語を話せる人型のモンスターが現れたこと。そのモンスターは訓練場に意図的に現れた可能性があるということ。狙いは開拓者協会会長の山田厳龍と葛城ハクアだということ。そして葛城ハクアに城を荒らされたと言っていたこと。


 五英衆と名乗っていたことも伝えた。神父姿のモンスターについても伝えたが、果たして協会側は信じてくれるのか……。最後にヴァラタスが何処へ消えたのか問われ、僕とカミラという女性で撃退したと言ったが、訝しげな表情をされた。


 ちなみにだが、ヴァラタスが出てきた門は突如として消滅したらしい。僕が地上へ戻って来た時には既になかったから、神父姿のモンスターとヴァラタスが姿を消したのと同時に消滅したのだろうか。


 まあ、そんなことはどうでもいい。


 ともかく一段落ついた。マサヨシだかマサトシだかから始まり、カミラとの戦い。そしてヴァラタスとあの神父姿のモンスター。


 正直、逃げられてしまったことに後悔がある。ヴァラタスだけに集中し過ぎてもう一人に気が付かず、そのまま逃げられてしまったのは僕の落ち度。両方とまでは言わないが、せめてどちらか一方は確実に捕まえたかった。


 ユエの仇を見つける手掛かりを僕は逃した。


「……何やってんだよ」


 今回の結果は僕がまだまだだということを表している。能力を得て、復讐するという目的が出来たが、その道のりは長いものだ。


 だが勿論諦める訳にはいかない。反省すべき点があるのだからそこを改善。そして次にあいつらに会った時は絶対に逃さない。さらには奴らの裏にいるかもしれない青黒い角のモンスター。そいつを引っ張り出して確実に殺してやる。


「おい……ちょっと待てよ」


 信号待ちの最中。突然、背後から声を掛けられた。どこか聞き覚えのある呼び掛けに反応し、僕は振り向く。


 そこにはスカジャンピチピチスーツからパーカーとダメージジーンズへ着替えたカミラが佇んでいた。


 先程までポニーテールだった髪型は、現在ハーフアップになっている。


 そんな彼女が一体僕に何の用だろうか。


「その……礼を……まだ言ってないなと思って……」


 しどろもどろになりながら彼女は言う。


 礼というのは先の一件のことだろうか。


「礼ならいらない。傷ついた人がいたら助ける。ユエならそうしただろうから……」

「ユエ?」

「いや、なんでもない。とにかく礼はいらないから、気を付けて」


 じゃあねと、信号が青に変わったので僕は前へ向いて歩みを進める。


 しかし、彼女はそう簡単には引き下がらなかった。


「待って!」


 突然腕を引っ張られ、後ろへ少しよろける。


「開拓者になったらさ、アタシがいる臥雲さんの事務所に来いよ! アタシが臥雲さんに紹介するからさ!」


 カミラは息もつかず捲し立てる。


 なんとオーバーロード級の臥雲ガロウに僕を紹介するという。急にどうしたんだこの子は。ていうか、彼女は臥雲ガロウの事務所にいるのか……って今はどうでもいい。


「いや……大丈夫かな。それに所属したい事務所は決めてあるし……」


 やんわりと彼女の誘いを断る。実際、所属したい事務所があるのは事実。臥雲ガロウの所ではなく、葛城ハクアの所だが……。


 しかし断っても尚カミラは止まらない。


「じゃあ連絡先! 連絡先交換しねぇか?」


 礼、事務所の勧誘ときて連絡先の交換。一体なんなんだこの子は。何故こんなにもグイグイくるんだ。


「それも大丈夫かな……僕たち初対面だし……」


 初対面だからは、断り文句としては弱過ぎるか。なんかやけにグイグイ来るし連絡先ぐらいいいかと一瞬思ったが、まだ十代に見える女の子と二十四歳が連絡先を交換するとは如何なものか。世間一般上、あまりよろしくないだろう。故に断る。てか、少し面倒くさい。


「じゃあ!」

「一体落ち着こう……な? 今日初めて会ったんだし、そんなグイグイ来ないでほしいというか……」


 僕の発言に目に見えて落ち込むカミラ。辺りに気不味く重い空気が漂う。


「そう……だよな。悪かった……今日色々あり過ぎてどうにかしてたわ……アハハ、ごめんな、変に時間取らせて」

「ああ、それじゃあ」


 そうして改めて前を向く。会話の最中に何回か変わっていたであろう信号を渡り、帰宅ルートを進んで行く。


 道中、後ろを一瞥しカミラの姿を確認したが、彼女はとうに姿を消していた。


 一体全体なんだったのか。嵐のように現れては去っていった彼女。もし僕が開拓者になれたら、現場などで再び彼女に会ったりするのだろうか。


「なんか、気不味いな」


 もう少し優しく断ればよかったかな、なんて思いながら、激動の一日はこれにて幕を閉じたのだった。

これにて一章は終わりです。ちょっとした番外編を挟んでから二章へ入ります。引き続き『死して尚最強』をよろしくお願いしますm(_ _)m

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