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クロア変異録

闇への目覚め

作者: ain1218

初投稿です。最後まで読んでいただけると幸いです。

クロアは依頼を受け、森を抜けた先にある人がいなくなった都市の定期調査に行くことになった。


森を抜けると都市の入り口が見えた。

いつもとは何かが違う。

違和感を覚えたクロアは慎重に調査することにした。


都市に入ると、一気に瘴気が強くなる。

これはまずい、そう思って振り返った時。

やつはそこにいた。

とても美しい女性だが、人ではないことを象徴する大きな角や褐色の肌。 悪魔がそこにいた。


勝てない そう悟ったクロアはすぐに逃げようと後ろを向くが、目の前にさっきの悪魔がいた。逃げようと試みるが体が動かない。

自分の体には闇の蔦が巻き付いていた。


女悪魔「こんなところで何しているの?」

クロア「関係ないだろ」

女悪魔「でも知られたからには返すわけにはいかないのよ」

クロア「じゃあ殺すのか。なら早くしてくれ」

女悪魔「なんかそれも勿体無いのよね」

    「いいこと思いついたわ!」


そう言うと女悪魔は顔を近づけてきた。

唇が重なる、それと同時に大量の魔力が送られてくる。

心臓の鼓動が速くなり、悪魔の魔力を全身へと運ぶ。


目に激痛が走る。

痛みが治り、目を開くと黒の虹彩は赤紫色に変わっていた。

背中はバキバキと音を立てながら膨らみ、皮膚を破って、大きな蝙蝠の翼が生える。

額からは強烈な痛みと共に2本の角が生えてくる。

そこで意識が遠のいてく、ぼやけた視界に映ったのは女悪魔の微笑みだった。



目を覚まして辺りを見回すと、あの女悪魔はいない。

自分の体を見ると、皮膚は褐色、人間にはない腰の感覚、体よりも大きい蝙蝠の羽。

これらがもうクロアが人間ではないことを教えていた。


クロア「鏡、鏡を見れば」


廃墟と化した街を走る。

手当たり次第に鏡を探す。

ようやく見つけた割れていない鏡。

それを除くと、人間だったときの顔に立派な角、黒い網膜、縦に裂けた瞳孔、赤紫色の虹彩。

これらの特徴と一致するのは1つしかいない。

悪魔になってしまった。


悪魔になった――そう自覚した瞬間、胸の奥で何かがひっくり返る音がした。

人間だった記憶は、黒い霧に覆われていく。

守りたかったものの顔が、ぼやけて消えていく。


「ようこそ、こちら側へ」


女悪魔が背後から囁く。

その声は甘く、深く、抗いがたい。


抵抗する言葉はもう出ない。

代わりに、翼を広げる音が廃墟の街に響いた。


女悪魔が微笑み、空へと舞い上がる。

クロアだった悪魔もその後を追い、闇の中へ溶けていった。


――人間の街に、二度と戻ることはなかった。


END

感想など書いていただけると嬉しいです

やって欲しい種族などを書いていただくと書こうと思いました

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