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4/10

鳩に豆鉄砲

あの爽やかイケメンのサーシャは、定期的にうちの店にやってくるようになった。


「あ、いらっしゃい、サーシャさん!」


今日も相変わらず、サーベルちゃんを抱えてやってきた。サーシャとサーベルちゃんの来店は、私の目の保養と化していた。

これが恋なのだろうか。


「今日もいつものやつをくれないかな」

「はい、あれね」


私は敬語を使わなくていいよ、と言われたので、友達のような感覚で話している。でも周りの人は私が敬語を使わないと、面食らった顔で私を見てくる。イケメンと仲良く話せていることが、そんなにも羨ましいのかな?と私は思っていた。


私はいつものペットフードを持ってきた。


「はい。やっぱりサーベルちゃんは可愛いね」


私はサーベルちゃんをヨシヨシする。これも日課だ。サーベルちゃんは甘えた声を出す。可愛すぎる。好きが止まらないのはこういうこと。


「サーシャもかっこいいね」


これも日課だ。


「ありがとう。いつも褒めてもらえて嬉しいよ。サーベルちゃんも嬉しそうだよ」


いつもこういうと、くしゃっと笑ってくれる。

私はこの笑顔を毎度拝むのが好きなのだ。初めてかっこいいって言った時は、本人も周りのお客さんも、鳩に豆鉄砲を食らったように驚いてた。

ベラにグイグイ行けっ!と言われていたが、その塩梅がわからず、さすがに突っ走りすぎたのではないかと思っている。


「じゃあまたくるね」

「待ってるね」


今日もまた颯爽と去っていった。


すると、すれ違うようにして、ベラがやってきた。


「よっす。なんでサーシャ様がこの店に来てるの?」


サーシャ様の部分に少し引っかかったが、特に気にすることもなかった。


「よっす。あれ常連さんだよ」


ベラは驚いた。


「え?常連さんなの?」

「うん。もうタメ口で話せるくらい仲良くなった」


さらにベラは驚いた。


「タメ口なの?」

「うん。あといつもあの人に、かっこいいって言ってる」


ベラは開いた口が塞がらない。そのまま顎でも取れてしまうのではないか。


「もしかして、サーシャ様がどんな人かはご存知?」

「ないよ?」


ベラは眉間にしわを寄せた。


「ちょっと言いづらいんだけど、あの人この国の王子様だよ?」

「は?え。王子って、あの王様の息子を意味する王子?」

「はい。その通りでございます。あなたがタメ口で、かっこいいと言っている人は、王子様なんです」


私は頭が真っ白になった。


「じ、冗談がお上手で」

「いやガチだけど?そもそも何でかっこいいなんて毎回伝えたりするのさ」

「いや、ベラがグイグイ行けって言うから」

「言ったけど、まさか王子様に、毎回かっこいいなんて言うと思わないでしょ」

「いや、身分差あっても、この恋実らせるから」

「ガチでいってらっしゃいます?」

「ガチです」


私は決めた。こんなのは当たって砕けろだ。絶対手にして見せるんだから。

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