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街は暗闇を知らない

さっきまで、仏と喋ってたのに、いつのまにか知らないところにいた。

どうやら私は転生したようだ。

にしても、私はなぜ、路地みたいなところにいるんだろう。あと自分の目線が低い。謎すぎる。もしかして人間に転生できなかったとか?いや、そんなまさか。私は特に理由もなく、足元に視線をやった。


「な、なんか自分の足モケモケしてるんだけど...」


そう、自分の足が黒くモケモケしているのだ。


「黒いモケモケ...。も、もしかして、助けた猫みたいになってる!?」


私が驚いて飛び上がった瞬間、ボフッという効果音と共に、足が元に戻った。目線の高さも元に戻った。

さっきのもふもふはどこへ行ってしまったのか。私は疑問に思ったが、特に気にすることはなく、そんなことより、この世界についての方が不思議だ。この世界の仕組みがよくわかっていないのだ。

私は路地を抜けて大通りに出ると、そこが大きな街であることが、すぐにわかった。たくさんの人と建物で、頭がこんがらがりそうだ。私は何かここについての情報が、わかる場所を探した。


たくさん歩いて、やっと案内所のような場所を見つけた。窓口の横に、たくさんのパンフレットのようなものが置いてあった。パンフレットの見出しには


「ようこそ、日の沈まない場所エイヨーグへ!」


と書かれてあった。

日の沈まない場所とは?

案内所に来たせいで、さらにちんぷんかんぷんになってしまった。


「何かお困りですか?」


私は突然声をかけられびっくりした。声をかけてきたのは、若い笑顔が美しい女性であった。宗の名札には


『エイヨーグ案内人:ベラ・アスタホフ(研修中)』


と書かれていた。


「あの〜、わ、私、初めて、ここに、きたので、ど、どういう街か、わ、わからなくて...」


コミュ障の私がこんにちはした。


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。この街は働いている人が多いので、昼夜問わずオフィスに電気がついてます。なので残業や夜勤で夜もずっと明るいですよ。この街の人は夜を知らない。とも言われています」


私は昔勤めていた会社を思い出した。しかし、なぜここまで熱心に働くのだろうか。


「なんでそんな働いてるんですか?」

「あまり案内人の人が言うのも、良くないのかもしれませんが、この街は働いていないと、重い税が課せられるんです。実際私も、大学を卒業した後、就活しなかったので、結構な金額の税を納めましたよ。あと、ここは物価がとてつもなく高いですが、所得があまり良くないので、長時間働かないと生きていけないんですよ」


笑顔でベラさんは語った。

私はその話を聞いてギョッとした。


「なんでそんなことになるんでしょうか?」

「これは私の憶測なんですが、この街はとにかく観光に力を入れまくってます。街に住む人そっちのけです。なのでいつまで経っても労働環境が、よくならないのです。すいません、政治の話をしてしまって」

「い、いえいえ!全然大丈夫です。む、むしろありがたいです!」


私はベラさんにお礼を言って、案内所を後にした。私は転生した路地に戻ることにした。そこでどうしようか考えよう。


私が路地に戻ると、私が転生した場所に何枚かの紙が落ちていた。その中には、あの仏が私宛に書いた手紙があった。


「栞殿へ

無事転生した所だと思います。この街は、どう足掻いても、働かなければならない街です。なので、起業できるように、建物を用意しました。どんな商売をしても構いません。あと転生する時、貴方は猫の状態で転生すると思います。猫から人間に返信する時は『飛び上がる』がトリガーです。逆に人から猫になるときは指パッチンでなれます。

P.S.現世に帰る条件は恋をして、結婚をして、子宝に恵まれ、満足だと思ったら、猫になって17回ジャンプすれば戻ります。

by.仏」


色々ツッコミどころがあるんだが。


その1.もうお店を経営することが確定している。


その2.なぜか猫になれる。


その3.現世の帰り方がキショい。


まじあの仏は仏であるのだろうか?


私は自分の建物に行くため、手紙と一緒に落ちていた地図を手に取った。そこに向かうと、一般的なコンビニより少し小さい店舗があった。私はここで何をするか一生懸命考えた結果、ペット用品専門店をやることにした。


なぜペット用品専門店か?勘のいい人なら、もうお分かりであろう。私が指パッチンをすると、どうなるか。そう、猫になるのだ。

この猫になれる能力を利用すれば、猫や犬などの動物にとって、とても心地よい商品を提供できる。私はそう考えたのだ。

私はコンビニ店長の経験を活かし、いろんなものを発注した。発注などができるこの世界は、意外と現世に近いのかもしれない。

ちなみにこの前は仕事を二日酔いの頭痛で休んだが、本当はすごい働き者の店長である。そこだけは信じて欲しい。


私は無事、店をオープンさせた。私が猫になって厳選したペット用グッズや、私が猫になって食べた美味い飯などをずらっと並べておいた。

この店はペットにとって、至高である。

よって、この店の名前は


「Summum」


ラテン語で至高を意味する。※ひねりなし。

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