貴族会議
「エリアス皇帝はどう思われますか?」
タピア領地と隣接しているケイシー・ノリエガは険しい表情を浮かべエリアスに質問をした。
「ちょっと失礼、ケイシー伯爵は自分の領地の民がタピア領地に出稼ぎにゆく事が問題だとおっしゃるのですか?」
カルロスは指のペンを回しながらケイシーに聞いた。
「はい、モリーナ公爵、彼らがタピア領地に行くと我が領地の人出が足りなくなり領地を治めることが困難になるのです。」
ケイシーは眉間に皺を寄せながらカルロスに言った。
「それはタピア公爵には関係のない話ではありませんか?」
グロリアは立ち上がり不満顔のケイシーを見て笑顔を浮かべさらりと言った。
「アドモ公爵、関係がないとは?」
その言葉を聞きケイシーはあからさまに怒りの表情を浮かべ、ケイシーの隣にいたチャールズ・モンロイ伯爵も同じように不満を隠くさずグロリアに聞いた。
グロリアは扇子を口に当てバカは相手にできないわというあからさまな態度ではっきりと二人に言った。
「だって、そこで稼げないからタピア領地に行くってことでしょ?自分の責任ではなくて?」
グロリアの言葉を聞いたケイシーは一気に顔が赤くなり怒りを堪えきれない様子でグロリアに言った「な、なんですと?!」
ケイシーはヒートアップし、黙って話を聞いていたエリアスに向かい言った。
「皆さんはそう仰いますが、問題のタピア公爵様は帝国の会議にも出席されていない、これこそが大きな問題ではありませんか?エリアス皇帝!」
「ふむ。皆それぞれ不満があるようだな。一度タピア公爵にきてもらわねばなるまい」
エリアスは腰まである長い髪を耳にかけながらタピアに対する意見に肯定も否定もせず会議に参加している貴族に言った。
「エリアス様、来週の貴族会議に私がタピア公爵を連れて参ります」
ダフネは微笑みを浮かべ穏やかな口調でエリアスに言った。エリアスはダフネの言葉に頷き席を立った。
その場にいる全員がエリアスに対い頭を下げ、エリアスは近衛兵達と退出して行った。
会議が終わりカルロス、グロリア、ダフネは街のレストランで夕食をとっていた。
「ね、ね、この間クララから香水が送られてきたんだけど、みんなも貰った?」
グロリアが話し始めた。
「貰った!あれすっごく優しい薔薇の香りでダフネは不眠症だからってクララが送ってくれたの。寝る前の少しつけて寝ると幸せな気分で朝起きられるのよ。もう手放せなくて注文できるか聞いたわ」
ダフネは紅茶を手に持ちながら嬉しそうに話した。
「私も!私の香水は華やかな香りでグロリアはお出かけが好きだからって、もうデートの時なんて最高よ。君は薔薇の精霊かって言われたわ」
グロリアは手にもった紅茶を興奮で少しこぼしたが気にする様子なく楽しそうに言った。
「俺は、カルロスは怒りっぽいからって、怒りたくなったら気持ちを沈める薔薇の香り袋をもらったんだ。今日のあいつ、ケイシーの野朗の話を聞いたときに嗅いだよ」
カルロスは豪快に紅茶を飲み干し言った。
「クララ、本当に頑張ってタピアを立て直したんだ。誰かに文句を言われる筋合いはないだろ?」
カルロスは語気を強め言った。
「あの子、本当に苦労してタピアを守っているのよ。私たちが守ってあげないと」
グロリアはため息を吐きながら言った。
「先程クララに書簡を送ったわ。エリアス様直々の招集だからと書いたわ。あの子来たくないでしょうけど、きっと渋々来るわ」
ダフネがいった。
「めんどくさそうな顔、想像できるな、」
カルロスが笑った。
「あの子全部顔に出るから、、可愛いよね」
グロリアがクララを思い出し表情を緩め言った。
「あの戦い以来だから二年ぶりか、楽しみだわ!!」
ダフネも言った。




