戦いの後またここで
「エリアス様」クララはエリアスを見つめ名前を呼んだ。「クララ、何を見ていた?」エリアスは優しくクララに話しかけた。「この薔薇を、この薔薇はロサブランカに似ていますね」「クララこの薔薇の名前はロサブランカだよ。」エリアスはそう言ってクララに微笑んだ。「まあ、やっぱり、本当に華やかで美しくて薔薇の女王の様で納得しました。ロサブランカとても素敵な薔薇ですね」クララはそう言って人差し指で薔薇の花弁をちょんと突いた。香りが少し強くなった。「うーん。いい香り」クララは笑顔でエリアスを見た。エリアスはそんなクララを見てたまらなく愛おしくなりクララを抱き寄せた。「エリアス様?」クララは驚きエリアスを見つめた。「クララ、嫌なら私を押し退けてくれ。」エリアスはそう言いながら強くクララを抱きしめた。クララも黙ってエリアスをそっと抱きしめた。エリアスは自分を抱きしめるクララをさらに強く抱きしめ言った。「クララ、明日ミスティルテインを持ってゆく、クララの事は忘れない。だから、、戦いを終えたら、、私を愛してくれますか?」エリアスはクララに聞いた。クララはその言葉を聞きエリアスに言った。「エリアス様は、、私がフランシスカじゃなくても愛してくれますか?」クララはエリアスのマントの刺繍、炎と薔薇を触り聞いた。「クララがクララである限り愛しています」エリアスもクララを見つめ言った。「エリアス様、戦いが終わったらまたここで会ってくれますか?その時に、、私の愛をエリアス様に捧げます」クララは顔を赤らめながらエリアスに言った。「薔薇の誓いを、愛の誓いをしてくれるのか?クララ」クララはエリアスを見つめ頷いた。溢れる思いと不安と入り混じり、でも未来に希望を持った瞬間だった。「クララ、戦いが終わったらここで会おう、必ずクララ、あなたを愛している」エリアスはクララの顎先に指をかけ優しくキスをした。クララは幸せが心に広がるのを感じた。ゆっくりと春に雪が溶けてゆく様に暖かい季節に向かう様に、クララの気持ちも明るい未来を感じていた。
「今すぐにでも誓いたい」エリアスは耳まで赤くなったクララの頬に手を当て言った。「エリアス様、私はまだエリアス様が私を忘れてしまうかも知れないと不安で怖いのです。だからそうなっても立ち直れる様に、そうなっても私がエリアス様を忘れる事が出来る様に、臆病な私をお許しください」クララは涙を滲ませエリアスを見つめた。エリアスは何も言わずクララを抱きしめた。二人は抱き合い言葉にできない気持ちを伝える様に静かに薔薇の花の中でお互いの想いと温もりを感じていた。
ロサブランカの薔薇から少し離れた場所でセルゲイは二人を見つめていた。
その瞳は怒りに燃えていた。




