セリオに呼び出され
セリオは廊下で待機するメイド達に声をかけた。
紺色の制服を着たメイド達がセリオの呼びかけに頭を下げ四人の前に現れた。
そのメイドは全員が女性だが、髪は後毛が一本もないほど綺麗にまとめられ、背筋がぴんと伸びており、何一つ乱れが無い。それどころか威厳すら感じられる。そんなメイドを見たことがなかった。その姿に四人は圧倒された。
「このメイド達は皆の生活の手伝いをする者で、訓練されている皇室のメイドだ。その辺の普通のメイドではないから丁寧に接するように」
セリオは四人を見つめそれぞれに一人ずつメイドをつけた。
「このメイドについて部屋に行くように。今日はこれから夕方まではゆっくり休め、夕食はリアナ様と一緒だから正装で来るように。」
セリオはそう言ってクララの方を見て、
「レオン、君には話がある。私についてきなさい」
そう言ってセリオは歩き出した。クララは三人に会釈をし、慌ててセリオについて部屋を出て行った。
クララは緊張した。何を言われるのだろう、、。既に、、嘘をついている。それにイフリートを召喚し皇女様を危険な目に遭わせてしまった。もし、万が一このメンバーから外されたらウーゴに殺されるかもしれない。もう既に私は死んだことになっているから父は躊躇しないだろう。
どうしよう、どうしよう。
精神的に追い詰められたクララは前を歩くセリオに追いつき勇気を出して声をかけた。
「セリオ様、どうか私をタピア公爵家に戻さないでくださいませ、一生懸命頑張ります。誠心誠意お仕え致しますから、、どうか!!」
クララは震えながら深く頭を下げセリオに言った。
セリオは自己紹介の時からレオンの様子がおかしいと思っていたが、やはり何か訳があるのだと勘づいた。この子は思った通り、、、何かある。
「レオン、少し話をしよう」
セリオはそう言って謁見室とは真逆の方向、城の北側にクララを連れて行った。
長い廊下には大きな窓ガラスがあり、その窓からはうっすらと光が差し込んでいる。
窓の外は庭園の緑が間近に見え、美しい緑と色とりどりの花が見えた。
そのまま廊下を進むと行き止まりになっており、突き当たりに重厚感のある扉があった。
扉には鍵かかかっておらずその扉を開けセリオと共に中に入った。
その部屋は円形状の広い部屋で天井までの高さが三メートルほどあり、天井にはファンが取り付けられている。そのプロペラのような四つの羽は木で出来ており美しい彫刻が施されている。羽がゆっくりと旋回し、悠久の時の流れを感じるような穏やかで優しい空気がそこから産まれているように感じこの部屋の雰囲気に少し心が落ち着いた。
周りを見回すと上下左右本だらけだ。ここは図書室だとクララは気がついた。大きな本棚に本が所狭しと並べられている。
とても静かで重厚感のある部屋だが、先ほどのファン同様にどこか有機的な暖かさを感じた。
セリオは図書室の中央に並べられているテーブルと椅子がある一角にクララを案内した。